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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第13章 勝つのはどっちだ
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第199話 細工は流々仕上げを御覧じろ

麗華のステージが始まり、否が応でも会場のボルテージが上がって行くのを確認しながらも5欲の欠片の捜索をしていたのだが、何処を捜索しても1つ足りない。

そんな中でもステージと月食は進む。


「何かおかしいのよね…」


そう言い出したのは金持ち相手に高レートの麻雀で荒稼ぎしている男を監視していたイエローがボソリと呟く。

曰く、イエローが監視していたのは金欲の欠片を植え付けられた男なのだが、その欠片から発せられる波動が本物とは微妙に違うとのこと。

その指摘に気が付き改めて他の欠片を注意深く観察して気が付いたレッドがヤラれたと言わんばかりに


「クッソ!アレはダミーだ!本体は別の所に居る筈だ!」


と叫ぶと皆が慌てるが、こうなるかを解っていたかの表情で落ち着けと一喝するも、もう時間がない。

出現してから対応していたら手遅れになる可能性だってある。

それを踏まえての慌てぶりなのだ。


「今更ジタバタしても遅いっての!

始まるぞ!」


麗華がこの年の1番のヒット曲を歌う中、いよいよ皆既月食が始まったと同時に胴塚の上空に黒いモヤが沸き起こり巨大な何かへと変化していく中、その光景を会場の上空で静観しているレイとヒーロー達。

コヨミと天音そして合流した真智子の3名は黄泉の力が及ばない様にと会場に結界を張る役目を担っているのでこの場には居ない。


レッド「!!!

マジか…

そこまでして世界再構築に拘るか!?!?」


ブルー「このままじゃぁ地球上の命あるもの全て持っていかれるぞ!」


青ざめた表情のレッドとブルーが叫ぶ。1の手を封じられて慌てたのか、元々短気が災いしたか、はたまた別の目的があるのかを議論する時間はないが、地球上のありとあらゆる場所に黄泉が出現したのだ。 


イエロー「何アレ…まさかとは思うけど山本八郎座右衛門の眷属じゃない?」


ブラック「あれだけの規模で展開されては俺達だけでは対処不可能だぜ」


黄泉1体だけなら何とでもなると思っていたヒーロー達であったが、地球規模で何体も出現となると手は回らない。つまり初手から詰み状態なのだ。


ヒーロー達の中に浮かび上がる壊と滅の二文字。

実際、出現したと同時に全世界の半数の生命反応が消えてしまった中でも何故か冷静のレイ。

出現している黄泉は言わば掃除機のノズルであり、何処かに集約するタンクが在る筈。

先ずはそのタンクを探すのが優先事項である。

実のところ、此処まではレイの予想通りであるが、問題は5欲の宿主が誰かである。


………見付けた………ッ!!


ボソリと呟いたレイの表情が鬼の形相に変わり何も言わずにその場から消えてしまった。


アイツ…


レイの表情に何も言えなくなったヒーロー達が出来ることはレイの行動を邪魔する存在を排除することだけだ。

然し、このまま手を拱いていても状況は悪化の一方である。


今は出来ることをやるしかない。

現に離れた場所で周囲を見張っていたグリーンとピンクは考える前に体が動いたらしく雨音の街中で暴れる妖怪達を相手に大立ち回りしているが状況は芳しくない様子。


「ボヤボヤしている場合か!

考える前に行動せよ!」


何処かで聴いたことのある声がヒーロー達の脳内に直接響き渡るが声の発信源が解らない。解らないが兎に角動かないことには始まらないのは事実だ。


「人事を尽くして天命を待つだったか?

グリーンの居場所は…見付けた!」


妖怪なのに人事とはこれ如何にとは思わないことはないが、声の言う通りだ。

両手で両頬をパーンと叩き気合を入れた後、メンバーと共に消えるヒーロー達。


「初動が遅いのは相変わらずだな…

そんな奴等に遅れを取る訳にはいかないな…

少しは新入りのグリーンを見習えば良いものを」


ヒーローが消えた後、姿を表した人影2つ。

是流と村岡だ。


村岡「此方も各地に軍を送り込んでいるから時期に沈静化するとは思うけど、問題は事故だらけで収集付かないことだけか…」


大戦後、地獄界の軍を再編成した結果、総司令官に是流そして副官に村岡を据えて魔界側と協力体制を築いていた是流もまた強欲の行動を予想出来ていた1人だ。

それ故、迅速に軍を動かすことが出来たがレイ達と違うのは世界を破壊することが目的だと予想をしていないと言うことだが、これは仕方がない。


「・・・イヤ・・・良く見ろ・・・」


何かに気が付いた是流が驚きの表情で村岡を促す。


「ヤロー何をやった…!」


何が起こっているのか理解不能の2人。

それはそうだ。

妖怪に襲われた人間がドロドロに溶けて行っていっているのだから驚かない訳がない。


「坊っちゃんは言いました

細工さいくりゅう仕上しあげを御覧ごろうじろ…と…

ある程度のことは推理出来ますが、後で問い詰める必要が有りますね」


是非と村岡の反応を察知した大嶽が念話で話しかけて来る。

どおやら何をどうしたのか大嶽も解らないらしいが、カナリ大掛かりなトリックの様なことをやらかしている模様。


「・・・まさかアレを使ったのか」


大嶽の言い回しで思い当たることはあるのだが、どおやったかは謎のまま。

腑に落ちないものを抱えたまま是流と村岡もまた、眷属の駆除に動き出すのであった。

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