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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第13章 勝つのはどっちだ
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第198話 決戦直前3

ステージ周辺に集まった観客がイベントの開始を今か今かと待ちわびる中、元気よく挨拶しながらトナカイのコスプレをした大嶽とミニスカサンタの衣装を着た天音が登場すると途端に黄色い声と野太い歓声が2人に向かって浴びせられる。


「「それでは我社からデビュー予定のバンド ウルトラモンスターの演奏をお楽しみ下さい」」


そんな中、笑顔で司会進行の務めを果たしながら前座バンドの紹介をした後でステージから消えるとドラムスティックの小気味よい音が聞こえて来て演奏が始まる。

前座ともあって演奏は一曲のみだが、この一曲で会場を温めなければいけない。

このイベントが成功出来るかどおかはこの前座にかかっていると過言ではないが、初めて見るバンドそして曲に着いてこれるかどおかも解らない。始まるまでは不安でしかなかったスタッフ一同であったが、それは杞憂に終わった様だ。

彼等が演奏した曲は、あの寝夢の世界で演奏した曲であり、初めてであるにも拘わらずどこかで聴いたことのある曲てあったが為に次第に盛り上がって行き、終わると同時に大歓声があがった。

この盛り上がり方に信じられないと言った表情のウルトラモンスターの面々は歓声に応えながらステージを降りる。


良い感じで盛り上がった会場に気を良くした観客や他の出演者も演奏しやすかった様で会場はその名に相応しく大いに盛り上がって行くのであった。


「・・・始まったな・・・」


3組目の桜姫7の歌が始まった頃に予定通り始まった月食を合図に雨音全体に配置したアンテナの監視を強めて行くレイ。

その映像を家族とヒーロー達とで共有してどんな些細な変化をも見逃すまいと監視してると


「やっぱり胴塚周辺が怪しいね」


雨土山周辺の映像中心に観ていたゆう子が胴塚周辺か異様な雰囲気に包まれているのに気が付き報告して来るが、それは想定内であった。問題は黄泉が何処から出現するかだ。

花岡玉斉の件で、黄泉は人間が持っている欲から出現する可能性が高いのは判明している。玉斉に植え付けられていた黄泉の種を刈り取られてしまったからと言って諦めることはないだろう。

計画は2の手3の手それ以上用意してことに当たるはずだ。

それを考慮して奴等のやり口を何度もシミュレーションを繰り返し、行き着いた答えが黄泉の核になる5欲の欠片を分散して宿主に寄生させ力を溜め込んで時が来たら顕現させると言うものだ。

黄泉が出現するタイミングは決まって皆既月食の最大食の時であるのは間違いないだろう。

とは言え、皆既月食毎に出現するわけではないので今回も出現するとは限らないが、真綿で首を絞める様にじわりじわりと包囲網を狭められている状況で一発逆転を狙うのなら、この日を逃すのは愚の骨頂だとも言える。

とは言え、核を植え付けられた者達が無秩序に動き回られては顕現させるどころかその者達がそれぞれの核に食われて妖怪化してしまう。

そうなると魔界側がどう動くか解らない。

それらの理由を考慮した結果、5欲の欠片は雨音の街中に潜伏していると推理したのだ。


………

……


1匹…2匹…3匹…4匹…1匹足りね…


胴塚地下の空洞内で外の様子を伺っていた壊が少々焦り気味な表情でごう君を見ると驚いた様に確認すると


食欲が居ねぇじゃねえかよ…何処行った…

もう時間がないのに…使えねぇヤツめ…


黄泉の要になる食欲が何処を探しても見当たらない。

ここに来て不測の事態に陥るとは思っても見なかったのか、酷く狼狽しているようにも見える強欲を慰める様に次の機会を待とうかと優しく言う壊に首を激しく横に振り


「包囲網が完成しつつあるのに、グダグダしていたら手出しどころかこの場の存在も危うい。このタイミングしかねぇんだよ」


と主張する強欲に、じゃあどおしたら良いってんだ?と問い質す壊。

アテにしていた界底で集めたエネルギーは無くなってしまっている。

この時点で壊単独で地球程度なら破壊できる力は有れど、それでは世界の再構築は出来はしない。

実のところ、達人の遺体を食った時点で手に入ると思った再生能力は後づけの能力であり、一度使えば消えてしまう一回こっきりの使い捨ての能力にしかならない。

然も、発動させるには途轍もないエネルギーを必要とされるので、界底のエネルギーを絶たれたのは非常に痛かった。それ故に黄泉を使ってエネルギー補給を目論んだのだが、メインとなる食欲が存在しない。

この事は計画失敗を意味する。

の…だが…


「な…何を…し…た…」


唐突に強欲が壊を殴り飛ばしたのだ。

不意をつかれ防御も出来ずに吹っ飛び、岩壁に激突した壊の身体に異変が起こる。


「ずっと…ずっと待っていた…俺様の目的にテメェは邪魔なんだよ!」


前述していた通り、強欲の目的は強欲による強欲の為の世界の構築であり、そこには誰も必要ない。

そう、壊ですら強欲の手駒でしかなかったのだ。

苦しみだした壊の形状がドロドロに溶けていき、完全に液状になったかと思ったら蒸発するように消えて行く。


「5欲の核はお前に植え付けていたんだよ

4つの核は全てダミー!

破壊の力そして創造の力を手に入れた俺様がこの世の支配者だ!

フハ…フハハハハハ…

さぁ…我が眷属たちよ、今こそ顕現して暴れるが良い!再生の為の滅びの始まりだぁー!」


勝者はこの俺だと言わんばかりに勝ち誇り高笑いする強欲。

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