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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第13章 勝つのはどっちだ
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第196話 決戦直前1

魔界図書館

創世神話から現在の魔界のことまで妖怪が関わったありとあらゆる事件や事象を納められた図書館。


「これはこれは魔王様御一行ではありませんか

今日はどの様な御用で?」


図書館に到着した俺達を出迎えたのは館長の千眼鬼だ。

千の眼を駆使して全ての世界を同時に見る事が出来、それを記録して書物にする役目を担っている。

魔王になる前は素っ気ない態度で接して来たが、レイが魔王に就任した途端、掌をひっくり返した様に媚を売ってきた千眼鬼とは極力関わりたくない。

と言うのも、この千眼鬼と言う妖怪は相手によって接する態度をコロコロと変えるカメレオンの様な性格の持ち主なのだ。

レイに対しても魔王就任前は塩対応をしていたのだが、就任後ではこの態度だからして関わりたくないと思うのも無理はない。

そんな千眼鬼に雨降山の要石についての書物は無いかと問うと、暫し思い出す様な素振りをした後、奥の方へと一行を案内する。


「知りたい情報はこの書に書かれている筈です」


図書館でも館長の許可がないと入れない部屋の更に封印術で厳重に封印されていた棚から取り出した書を受取り読み始める。


「コレ…」


内容を読んだレイは絶句し、次に読んだコヨミも絶句してしまう。

書は第一次魔界大戦の時の記録そして当時の悪魔王の末路だ。

悪魔王は頭・上半身・下半身・両腕・両足の5つに刻まれて魔界に1つ天界に2つ霊界に1つそして人間界1つの割合で封印されたと書かれている。

何故その様な措置が取られたかと言うと、死してなお遺体は消滅することがなく、更に遺体から立ち昇る禍々しい魔力が消える事はなかった。

その魔力から悪魔が誕生して来て、それを退治する事に忙殺されてしまい、困り果てた空は悪魔王の消えない魔力を逆に利用してやろうと考えた。

とは言え、禍々しい魔力をそのままにして封印するにはあまりにも危険なので神の力をもってしても破壊出来ない強力な物質を使用し、魔力を良い気に変換する装置として要石を制作。

その中にパーツを封印し、地獄界以外の各界に送り厳重に保管を依頼することにしたのだが、何処にどのパーツを封印したかは記載されていなかった。


「つまり…そう云うこと?」


かろうじて声を出す事が出来たコヨミに、だろうなと返事をするレイは人間界へと帰還することにしたのであった。


………

……


・・・やっぱり無理か・・・


何をしても傷一つ付けられない物体を前にため息を漏らす強欲は要石の正体を知っていた。

最初は無視しても良いと思っていたのだが、界底のエネルギーを無効化されてしまったことを知って要石の中身を利用しようと考えた。

彼処にはレイが常駐に近い程に居座っているが為に手が出せない状況であったのだが、唐突に魔界へ向かったと報告が入り、コレ幸いとばかり見張り用に設置していたアンテナを破壊した後で要石の破壊を試みたのだが、破壊することは不可能であったのである。


こと此処にいたり、頼みの綱が利用出来ないと知った強欲は少し考えた後で不敵な笑みを浮かべ


「この俺様を此処まで追い詰めた報いはデカいぞ」


不意に現れたレイ達家族の気配を察知したこともあり、そう言い残して消えてしまう。


………

……


「アンテナが無くなってんな」


強欲がレイの気配を察知したようにレイもまた要石にチョッカイを出している妖怪の気配に気が付いていたのだが、アンテナが無くなっているせいで要石の破壊を試みたのだろうなと思ったのだが、不可能だと知ったのだろう。

到着した時には妖怪の姿は無かった。


「要石の強度に加えてピラミッドパワーが上乗せされていたとあれば通常のやり方では破壊は不可能だろうな。かと言って破壊してしまえば中身を傷付ける可能性もあるから手は出せないだろうな」


そう呟いた後で要石の上に座禅を組み意識を要石の中へと飛ばしてみる。

万が一を想定して幾重にも張られている結界に何度か阻まれながらも何とか中心部まで到達出来たのだが…


ハハッ…コイツはトンでもない代物だな…


存在していたのは前悪魔王の上半身であり、核もなく生命反応は無いにも拘わらず魔力を放出し続けているのだから驚くのも無理はない。

死んで幽霊になって何度も消滅の危機を切り抜けながらも無我夢中で到達した境地。

この境地に至り初めて知ることが出来た事実に驚きを通り越して笑いしか出なかったレイ。

然し、何時までも笑ってはいられない。

意を決したレイが前悪魔王の上半身にそっと触れる。


ウッ…ぐぉぉお…


途端に流れ込んで来る魔力がレイを支配しようと体内で暴れ回るのを必死で抑え込む。

怒り・殺意・狂気…ありとあらゆる激情がレイを侵食していく。


我の魔力を受け入れて理不尽な運命を強いた奴らに復讐せよ!


一瞬にしてレイの過去を読み取ったのか、前悪魔王の残留思念に支配されそうになる。


「この世界が消滅するかしないかの瀬戸際なんだ

理不尽な運命なんぞどうでも良い…俺は…」


世界を守りたいんだぁ〜〜〜!!!


覚悟の叫びがレイの真の力を開放させ魔力を取り込み神力に変換していく。


「良かろう…我の力をソナタに預けよう…然し…飽くまでも預けるだけだからな…もし…」


「解っている…」


ギリギリのところで踏み止まることが出来たレイの力が限界値を超えて行くのが解る。


彼奴等かぞくは上手く行っただろうか…


落ち着いたところで家族の心配をしながらも黄瑠璃庵に行くことにするのであった。

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