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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第13章 勝つのはどっちだ
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195話 真智子の挑戦と要石の謎

「・・・よしっ!!」


空の空間内で小さくガッツポーズする真智子。

レイと分離した事で消滅は免れたものの、魔王代理としての力量不足は否めなく、超極丸や空の助力を得て何とかやれているのが現状だ。

そこで思い付いたのが自らの力を底上げする為の修業をすることだ。

とは言え、持てる能力の全てを底上げする事は生半可な事ではない。


レイと同等の力を持つ事さえ出来れば私が魔王として君臨し、レイの負担を軽減させられるかも知れない。私の魂もレイの魂の一部が使われている。

ならば修業次第でレイと同等の力を手に入れられるかと思ったのだが、それに対して空の苦言が飛ぶ。


曰く

魂の足りない部分の補強は、レイはフローラで真智子は楓夏を使用している。

神にもランクが有り、自然神である楓夏より創世神であるフローラの方がずっと格上であり、真智子が如何に力を付けようともレイと同等の力を獲得する事は不可能に近いとの事だ。

それに、此処までお膳立てしても濱田壞と強欲のコンビに勝てる確率は五割…いや…3〜4割程度であり、更にこの二人の裏には黒幕が潜んでいる。

その黒幕がレイを邪魔させない様にするのが魔界と地獄界の役目だと言う。


では、その黒幕を捕らえて裁きにかければ良いではないのかと思うが、動きが無ければ捕らえる事は不可能だと言うか物的証拠が無ければ裁く事が出来ないとの事だ。


そんな所は人間界と変わらないのねと思った真智子であったが、証拠がない=無実と同然だと捉えられるのは魔界においても変わらないのが現状だと言う。

実際問題として黒幕は指示を出すだけで行動をしてはいないので黒幕が誰かが解っていても捕らえる事は出来ない。

まぁ、指示を出すだけで黒確定なのだが、指示を出したと言う証拠を示さない限り相手は知らぬ存ぜぬで逃げ切られてしまい、警戒を強めてしまうだろう。そうなれば捕らえるところではなくなる。


然し、ごく限られた者達しか知らない事を何故知っているのか。

いや、それはどうでも良いこと。

要はレイが奴等に敗れなければ良い。

それだけの事。

その為にレイを鍛えていたのだから。


「鍛えていた?はぁ?じゃあ、コヨミも…?」


魔界大戦の折、コヨミの所業を目の当たりにした時に妖怪側から漏れ出たあの言葉。

その疑問に対して空は


「アヤツに対しては全くのイレギュラーであったし、絡んで来た以上は利用出来ると思ったまでのこと」


と、嘘とも本音とも受け取れる口調で言う空に対して白々しいと思った真智子。


そして現在いま


多少の苦戦はしたものの50%の空を倒し、強くなってきたと手応えを感じた真智子に対して


「この程度で浮かれるではないわ!」


と言い放ったかと思ったら70%の空が出現し、休む間もなしに襲いかかって来る。


少しは休ませてよ…


心の中で悪態をつきながらも応戦するのであった。


………

……


う〜ん…


「ねぇ…」


「・・・う〜ん」


「ねぇってば!」


「・・・う〜ん」


「オイテメェ!いい加減にせぇよ!」


ゴキッ!!


〜〜〜ッテェ〜〜〜!!何すんだよ!!


此処は山海寺の書庫。

その書庫の中で古い書物を読み漁っていたレイに対して苛ついたコヨミが炎の気を纏わせた右手でレイを小突いたと言うのが現状だ。

何かに集中してしまうと周囲のことなんぞ全く気にならなくなる傾向があるレイ。

そんなレイの集中力をリセットするのに毎度毎度苦労しているコヨミの最終手段がコレだ。


「そんな古い地図や雨音に伝わる都市伝説的な話を纏めた本を熱心に読み漁っていたかと思ったら唸りだして何がしたいのよ!?」


小突かれて集中力が途切れたレイが邪魔すんなよと言わんばかりにコヨミを睨むがアチラコチラに散らばった本を指差して「先ずは片付けろ」と言われてしまい、慌てて本を片付ける。


山海寺には江戸時代からの書物が残されていてその中に雨音周辺の地図やら妖怪についての研究資料やらが含まれている。

中でも雨降山を調べた時の資料が残されていたのに気が付き、それを読みながら唸っていたのだ。


「読んでみたら俺が唸るもの頷けると思うぞ」


論より証拠と言わんばかりに読んでいた本をズイッとコヨミに押し付け、今度は雨降山の地図とにらめっこを始めてしまう。


「ヘッ!?はぁ!?」


本を押し付けられたコヨミは仕方なく読み進めたのだが、にわかには信じられないとの反応をする。


「なっ?信じられない内容だろ?」


コヨミの反応を横目に見ながらそんなことを言うレイに


「雨降山がピラミッドの可能性があるなんて誰が信じられるってのよ」


と抗議をすると、俺も信じられないからこうして検討に検討を重ねているんだよと返事をする。


「調べれば調べるほど怪しいんだよなぁ…ピラミッドならパワースポットになっているのも頷けるし、俺と同化して消滅する筈だった真智子が盛り返すのも納得出来るわなぁ…」


最初の頃を思い出しながらウンウンと頷く俺。妖奇譚にもそれまでは岩山として記載されていた雨降山はあの騒動の時に緑発の能力により草木生い茂る山になっていたのである。

調査の方は、戦争が勃発した際に資金不足となり、打ち切られた後は再開することがなかった為に最終的な結論が書かれていない。


「雨降山の等高線が正方形に近い

然も、四方の角の方角がピッタリと東西南北を向いている。これだけでもピラミッドだと言うヤツが居てもおかしくはないよな」


疑いは前からあったが、風龍神社のご神体山なのだろうからと片付けていた。


「じゃあ、あの要石は何なの?」


要石については、楓夏や緑発そして五平と千代にも聞いてみたのだが、気が付いたら置かれていたので、全員知らないとの回答を得ている。


「元々存在していた石ではなくて誰かが意図的に置いたものだと判断して良いだろうな」


それを調べる為に此処へ来たのだが、回答が書かれている書物は残されていない様子。

妖奇譚には何も書かれていなかったのかとコヨミに問われたが、何がどうなってこうなったのかは書かれてはいない。

書かれていたのは第6巻に


◯月✕日深夜

雨降山の方から断末魔の悲鳴らしき声とズーンと大きな音がしたかと思ったら地震かと思う程に地面が揺れ、翌日の朝に山を登ると山頂に巨大な岩が出現していた。

何がどうなったか解らないし下手に手を出しては呪われてしまうかも知れないので手は出せない。

以後はこの岩のことを要石と呼ぶことにする。


と書かれていたのみ。

書いたのは4代目久良光五平だ。

時系列を考えて年代は戦国の世に突入する少し前らしい。

まあ、妖奇譚に書かれていたら、こんなことをやってはいない。

レイが知りたかったのは断末魔の悲鳴の主は誰で何故そんな末路を辿らなければならなかったかだ。


「ならば魔界図書館へ行けば良かろう

彼処あそこならば妖怪についての全てが残されておる」


今まで静観していた楓夏が助言して来るが、魔界図書館に行くことは極力避けたいレイは他に手はないかと問うてみたが、返事は「手はない」であった。

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