表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第13章 勝つのはどっちだ
203/218

第192話 影分身の末路

「ふぅ…助かった…」


楓夏の目を通して展開される映像を魔王城で観て安堵する空。焔と共に見た未来の中でこの場でのミスが原因で…と言うのがあった。

実のところ、レイが覚醒してから世界消失の危機は幾つか存在していた。

その1つが界底での行動である。


「後は五平次第とはなるが…」


道は一本然も綱渡りをする様な細い一本道。

さて五平はこの状況を切り抜けることが出来るのか?


………

……


猪突猛進タイプの影分身は形振なりふり構わず突っ込んで来る。

この戦闘スタイルは五平にとって相性が良い。

五平の戦闘スタイルは相手の動きに併せてカウンターを叩き入れるタイプなので次々とカウンターを叩き入れていたのだが、全く効いていないどころかパワーアップして立ち上がって来るではないか。

どおやらインパクトの瞬間に接触した部分から五平の力を奪っている様だ。


欲しい・寄越せが強すぎるとそんな芸当が出来る様になるだか…然も、肉体まで再生させているだな…強度が影分身のソレではない。

コレは長い時間この場に居たとの証拠だろう

5回も接触したからカナリ奪われただな…


この時、影分身が発動しているのは強奪と吸収。

強奪で自らの肉体を触れた者の力を奪い、吸収でその力を自らの力に反転させている。

併せて超回復を常時発動させているとあれば、現状の説明がつく。

相性が良い戦いの筈が不利な戦いになるとは思いもよらなかった五平は内心焦ってはいるものの、それを感じさせない様にしていた。

強欲の能力の1つに相手の心を読む能力があり、それを使えば常に優位で戦う事が出来るからだ。

但し、性格は弥太郎のままなので五平にとっても扱いやすい相手ではある。

余計な能力を使わせない様に影分身を煽り倒して怒りを増幅させる様に仕向けていたのだが、やり過ぎたのか煽りに反応しなくなってしまうがこの時点で五平の仕込みは完了していた。


そろそろ効果が出て来る筈だが…


そう、カウンターでの一撃はダメージを与えるのが目的ではなく(最初はダメージを与えるつもりではいたが初手で諦めていた)影分身に対して遅効性の毒を注入する為だ。

この毒は対象者のパワーや妖気の高さそして何よりも毒や薬に耐性があっても全く関係なく効果を表すと言う恐ろしい薬である。

薬は相手に気付かれることなく全身を巡りやがて核に到達し、急速に侵食しだすと途端に身体のアチラコチラで機能不全が発生する。


上手く行った様だな…コレで本体との繋がりが切れた筈


影分身の役目は球体の防衛だけでなく、怨霊が持つ能力を奪い使える能力を本体に送る事であり、5%ながら核も存在している。

ドッペルゲンガーとの違いは仕込まれている核の容量が数%しか搭載出来ないことと肉体的強度と行動に制限がかかっていることだ。


「テメェ!何をしやがった!?」


神の力は伊達ではない。

ファーストインパクトで全てを看破した五平は力を奪われているのを知りつつ奪わせていたのだ。

これは、薬を注入していることを覚られない為でもある。

急速に身体の力が抜けていくのに狼狽しながらも妖気弾を連続発射し五平を追い詰めようとするがその行動自体が命取りの行動にしかならない。

妖気弾を発射しながら身体異常の原因を探り当てていた影分身は手遅れと知りつつ状態異常の解除を試みたが、その答えは


解除不可能

毒の中和不能


であった。

核に侵食が始まってしまう前に対処していたら何とかなったのだが、核まで侵食が始まってしまったとあって所有している能力の全てが使えなくなったばかりか本体とのリンクも切れてしまっている。

ここまで来たら速攻で五平を倒して能力を奪うしかない。


秘技 阿修羅


追い詰められた影分身はとっておきの技で五平に挑もうとする。

秘技 阿修羅は文字通り自身を阿修羅化させることで身体能力を爆発的に高めるが持続力がなく効果が切れてしまうと一時的にレベルダウンしてしまう諸刃の剣なのだ。


倒せさえしたらどおとでもなる!

あの五平が俺より強いはずがない!

阿修羅モードで押し切る!


高を括っていた訳では無いが、戦った感触で理解出来た模様。

五平は薬の神であり、本来戦闘タイプではない為に戦闘力は高くはない。

影分身がその思考に至ったのは仕方がないだろう。

阿修羅となった影分身は全力で五平を倒しにかかる。


呆気な…


抵抗虚しく五平は簡単に影分身に倒されてしまい、その体を食われてしまう。


恐怖で震える千代の眼の前で五平を平らげた影分身は次はお前だと言わんばかりに千代に攻撃を仕掛けて来たのだが…


ウッ…


初撃の右ストレートが千代の顔面1mm手前で止まったかと思ったら急に苦しみだしその場に蹲ってしまう。


「食うと思っただよ…

保険は要らなかっただな…」


近くの木が歪んだと思ったら呆れ顔の五平が姿を現し千代の頭をポンと叩くと恐怖で震えていた千代がバシャッと水音を立てて崩れてしまう。


毒分身

ありとあらゆる毒を使って作り上げた分身体だ。

それを丸ごと食ってしまったら末路は決まってるいだろう。


影分身が阿修羅になる過程で出来た隙に千代と共に入れ替わっていたのだ。


「もうヤメるだ…」


息も絶え絶えになっているのにも拘わらず尚も五平に襲いかかろうとする影分身に話し掛ける女性。

お七だ


影分身「お…お七…」


お七「もう止めるだおっとう…

危うくオラと六郎さんはおっとうが作った爆弾の信管にされてしまうところだったんだよ?」


六郎「あれだけ大事にしていたお七を爆弾の信管にしようなんて狂気の沙汰としか思えん!」


弥太郎「何で六郎がお七と一緒にいる!?」


お七「六郎さんはオラの旦那様だよ

オラ達は結婚しただよ」


弥太郎「旦那様…だとぉ…?!巫山戯るな!

お七は俺だけのもんだ!

誰にも渡さん!

六郎…オメェもぶっ殺す!」


お七「その自己中心的な考えと独占欲がたまらなく嫌いだった…」


弥太郎「今の俺は強欲と言う名の妖怪だ…欲の塊なんだよ…」


お七「その欲のおかげでどれだけの人達が迷惑していたか…そしてオラがどれだけ恥ずかしい思いをしていたか理解出来ていないだか!?

だからおっとうは嫌いだと言っているのです

おっとうが本当にやりたい事はオラが1番解っているだ…だからオラと六郎さんは成仏するだ」


六郎「すまんな…

弥太郎…コレは2人で決めた事だ…

だから最後くらいは笑って見送ってくれ…」


弥太郎「な…ならねぇ…!

お七は一生オレの傍にいなければならない!

俺の言うことを聞け!!」


お七「誰が誰の傍にいなければならないって!?

おい!オッサン!オラの身内は五平殿と千代ちゃんと六郎さんだけだ!!オラの居場所はオッサンの傍でねぇ!!」


あまりに自己中心的で独占欲の塊の弥太郎の言い分にキレてしまったお七の怒りを初めて見たこともあったのか驚きを隠せないでいたのだが、どおしても言う事を聞かせたい弥太郎は最後の力を振り絞って六郎に攻撃を仕掛けようとする。


禁!!


印を結んだ千代が叫ぶ。

この場合の禁とは、対象者の時間を止める事が出来る術で術者の力を超えていなければ決して破られることがない。

更に今の影分身は五平の毒に侵されている為に急激にレベルダウンをしてしまっている為に破る事は不可能だ。

但し、幾ら時間が止まっているからとは言え、意識はハッキリとしているので恐怖しかないだろうが毒の進行も止まってしまっているので毒で滅ぶと言う事は無いだろう。


最後の選択肢は六郎殿とお七ちゃんに任せるだ。


お七に向き直り千代が言うと五平も無言で頷きお七と六郎に


「刀と斧が有るがどっちが良い?」


と言うと、お七は刀で六郎は斧を選択し、受け取ると不敵な笑みを弥太郎に向け…


「「お前はやり過ぎた。

簡単には殺さない

積み重ねた罪を数えて悔いて死ね!」」


2人が振り上げた刃先がギラリと鈍く光ったと思ったら影分身の両肩に振り下ろされると同時に両腕が飛ぶ。

実の親に向かって何をする…や…ヤメロ…

ぎゃあああ…!


時間が止まっているが為に無抵抗の弥太郎を今までの恨み辛みを込めて斬り刻む2人。

状況はスプラッタさながらの状況なので敢えて説明を控えさせて頂きます。


………

……


「終わってはいないが取り敢えず一区切り着いたな」


事の顛末を見届けた空が安堵の表情を浮かべ、ウンウンと頷くが状況が飲み込めない真智子が説明を求めるも、その返答は無かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ