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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第二章 修行と事件と記憶探しと
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第19話 決意

今回のお話はメッセージ的な内容が含まれています。

「魂喰ねぇ…少なくとも俺は聞いたことねぇな」


「私も聞いたことないわ」


俺の話を訊き終えて首を傾げるブルーとイエロー。


「人間がそう呼んでいるだけで違う名前の妖怪だって事も有り得るからなぁ…」


「さっきの妖怪も人間界では色魔と呼ばれていたみたいだけど、魔界では淫鬼(いんき)って呼ばれている下衆妖怪だしぃ~」


「淫鬼かぁ…陰気と勘違いされるから嬉々として色魔って使っていたのかも知れねぇな。軽薄男やってたしwww」


真智子がもたらした情報とは言え、魂喰の姿を実際に見たのは真智子しか居ないし、レイは真智子の記憶を見せられたにしか過ぎない。

真智子と変わって話をさせるのが早いとは思うのだが、一度雨降山に戻らなければ無理だろう。


結局、魂喰の事はブルーとイエローが調査をする事になり、色魔が作り出した空間をイエローが解除した後、別れたのであった。


「もし、お前が妖怪に転生したくなったら俺に言え!絶対言え!必ず言え!」


と別れ際にブルーがしつこく言っていたが、俺は幽霊を辞める気は更々ない。


あ…あれっ?…あたし…一体…


それから間もなく意識を取り戻したコヨミに何処まで覚えているかを確認した。


「映画館を出た所までは覚えているのだけど…」


どおやら映画館を出た時、俺にアイツは色魔でレア級だと言った所までは覚えているが、そこから何も覚えていないらしい。

それは好都合と思った俺は色魔は過去にアイツに殺された不成仏霊により地獄へと連れて行かれたと適当なストーリーをでっち上げて無理矢理納得させたのであった。


然し、ブルーとイエローか…なら、後ろの黒いのはブラックとか?これでレッドとピンクが揃えば戦隊ヒーローの出来上がりだなとか想像の中で悪の組織VS妖戦隊 怪レンジャーと、架空の物語を作ってみたのであった。


数日後


どおやら俺はこの街から出られなくなっているらしい事が判明する。


隣街のとある夫婦の依頼で霊視をする事となったコヨミに憑いて行く事にしたのだが、電車が雨音と隣街の境界線を過ぎて5分程経過した所で唐突に街の境界線迄戻されてしまった。

意味も解らず真智子と入れ替わったりもして境界線を越えてみたのだが、何度やっても結果は変わらなかった。


俺も驚いたがコヨミはもっと驚いたに違いない。


それが証拠に駅でコヨミの帰りを待っていた俺を確認した途端、一瞬だが泣きそうな表情になり


「本っ当に心細かったんだからね!部屋に戻ったら何があったのかを嘘偽りなくキッチリと説明して貰いますからね!」


と、変態霊退散と書かれたお札をチラつかせて脅かして来やがった。


てか、何で俺が変態なんだ?


とか心の中で激しくツッコミを入れたら真智子がクスクス笑いを通り越して腹抱えて笑い出す始末。理由を訊くと仲が良くて心配かけた人には必ずあのお札を見せ付けて取り調べをするとの事。

お札の効果は強烈で、以前コヨミと待ち合わせをしていた男友達がその事を忘れナンパに勤しんでいた所をコヨミに見付かりあのお札を額に貼られた所、ほぼ全ての煩悩が取り除かれた挙げ句に出家して僧侶になった程だと言う。


ンでもってコヨミの部屋に到着した俺は先程の現象を嘘偽りなく話したのであった。


「境界線迄引き戻された?」


信じられないと言った表情のコヨミを説得するより実演した方が早いと思った俺はコヨミを連れて境界線まで行く事にした。


境界線までにやって来た俺とコヨミ。

破王社周辺の事もあるので、先ずコヨミが境界線に沿って結界が張られていない事を確認した後でコヨミをその場に待たせて境界線を越えて500m程進んだ所で止まる。


「なっ!?戻って来たろ?」


境界線より出て5分程経過した頃、唐突に俺の体が何かに引っ張られる様にコヨミの方まで引き戻される。

今の現象を見て俄に信じがたいと言った表情のコヨミは幽霊って行動範囲が決められているものなの?と真剣に悩みだした模様。


後で真智子に訊いた話では、生前の記憶に捕らわれているのであれば行動範囲が決まってしまうのは致し方ないが、俺みたいに自由な意思を持って行動する幽霊なら行動範囲はもっと広くなる(なってもおかしくはない)らしい。

因みに守護霊や背後霊とかは別格だとの事でランク分けのカテゴリーに入らない。

補足事項と言ったらなんだけど、原理まではよー解らんが、俗に言う地縛霊はその土地の磁場に縛られてしまった霊の事を云うらしいが、飛び降り自殺や何らかの事故で強い衝撃を受けて死んだ場合、その場所や物に縛り付けられてしまうらしく(落下現場や電車や車のフロントとか)その結果としてその場に留まり長い間苦しむ事となるらしい。


でだ!


おい!そこの自殺を考えている奴!今すぐその考えを捨てて先ず生きる事を考えろ!!生きてりゃ良いことは必ずやって来るからよ!


なんて…こんな所で幽霊の俺が叫んでも説得力は無いし、死ぬ奴は死ぬのだからほっとけよって話なのだろうけどね。


それでも全力で叫びたい


自殺は絶対にダメ!!!


話は横路に逸れたが磁場にも生前の記憶にも捕らわれていない筈の俺が雨音から出られなくなっている理由が解らん。

それから何とかして隣街まで行く方法を模索したのだが…


ダメ!


どんな事をしても雨音から出られない。

唯一の方法として俺を結界で包み連れ出す事が出来たのだが、結界に閉じ込められている状況では何も出来ないしコヨミと話も出来ない。

じゃあ、俺とコヨミを結界で包んだらどおかとやってみたが、結界内ではコヨミと話は出来るが俺自身の動きが封じられてしまうので意味がない。


行動範囲が解っただけでも良しとしないと…かな…


後ろ向きに考えても仕方がないので現状を受け止め、行動範囲内でやれることをやるのみである。


その後、雨降山の要石まで着いてきたコヨミを師匠に霊気を操る訓練をしたのだが…


一切の情け容赦無し!コイツ修行の鬼だ!


心の中で文句タラタラの俺に真智子が


「コヨミの修行と比べたらまだまだ前菜と変わらないよ」


だって…(汗)

じゃあ、メインディッシュはどんなだよ!と思わずツッコミを入れたら


「今度体験させてア・ゲ・ル❤️」


だってよ…全く本当にヤレヤレだぜ…


然し、コヨミの楽しいと云った気持ちが伝わって来るからなのかも知れないが、コヨミと一緒に居るとめっちゃ楽しい。

果たして、生前の俺にもこんな気持ちになった女友達は居たのだろうか?

あぁ…記憶が無いのがこんなにもどかしい事だとは思わなかったよ。誰がやったか解らんが、ゼッテー落とし前着けちゃる!!


「ホラッ!また集中力切れてる!!真面目にやれ!!」


スパコーン!


「アタッ!」


幽霊にダメージを与えられると言う特殊なハリセンでシバかれながらも新たな決意と共にゼッテー強くなってやると心に誓ったのであった。


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