第1話 俺は何者?
一気にアップ出来ないので少しずつアップして行きます。
「ま…まてまて…記憶が無いのもおかしなはなしだけど、先ずは現状の確認が最優先だよな?」
トンでもなく恐ろしく巨大な目覚まし時計に強制覚醒されてしまった幽霊は暫しの間、誰も居ない駅のホームで混乱の極致に達したままであったが、気持ちが落ち着いて来た所で現状の確認を行うことにする
「時間は12時58分…よし!時計は読める!辺りが暗いって事は夜中だから深夜0時58分だな?場所は駅のホーム…っと……………」
って……アレッ!?
時計は読めるし現状も確認した。そこで気が付いた事は駅の中には誰も居ないのに何故自分は取り残されているのかと云うこと。
何故だ?と考えつつも先程のトイレに行き鏡の前に立ってみると、シッカリと自分の姿を確認出来る。
姿を確認出来ると云うことは透明人間や幽霊ではなく実体が在ると云うことだと判断出来る。
じゃあ、酒に酔って寝ていたのにも拘わらず駅員が俺を目覚めさせるのを忘れたのか?と考えてみたが、それは無いと思える。
「始発は6時01分の関東行きか………うわっ!後、約5時間も有るのかよ!待ってられっか!」
元々せっかちな性格なのか、時刻表と現在の時刻を確認し、ホームから飛び降り線路を歩き出す。
「誰でも良い……話がしたい」
線路を少し歩くと踏切が見えたのでそこから並走している道路へ飛び出た幽霊は深夜の繁華街へと足を向け、歩き出す。
自分の事を知る人物を探す為に…
「すいません、そこの人・・・って無視かい!」
夕方からそれなりの賑わいを見せるこの街の繁華街は0時過ぎる頃から急激に人通りが減る。
それでもコンビニは24時間営業だし朝まで営業しているバーやスナック等の飲み屋が数件存在するので0にはならない。
飲み屋から出て来た酔っぱらいでは話にならないと思ったのかコンビニから出て来た人に声を掛けてみたのだが、皆アウト・オブ・眼中の様子で華麗にスルーされてしまう。
それでも諦めずに声を掛けてみたのだが、反応は皆同じであった。
「何でだ?」
声を掛けられたらチラリとでも此方を見てくれても良さそうなのに誰も無反応。
鏡に姿が写ったから実体が有る筈だから声を掛ければ反応しない方がおかしい。
何でだ?と幽霊の中に疑問が激しく渦巻く。
と、その時
「その疑問、あたしが解決してあげようか?」
幽霊の背後から澄んだ女性の声が聞こえて来る。