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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第12章 始まりの話し
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第188話 答え合わせ

「ローラをお連れしました」


魔王城ではなく空の専用空間にローラを連れてきた超獄丸は自らがこの場に居たら邪魔になると思い、何か有ればお呼びくださいと言い残し掻き消える様にいなくなるとこの空間に存在するのは空とローラのみである。


「如何様なご用で御座いましょうか」


対峙した空に対して恭しく挨拶をした後で真意を問いただすローラに対して少し不安な表情を浮かべながらも意を決した様に問う。


「単刀直入に問う

フローラは何をしている」


あの時、達人に埋め込んだEgg of Beginningはフローラを顕現させる為の餌だったのが生まれ出たのはローラであったので困惑しているのだ。

その疑問を素直にぶつけてみたのだが、ローラから出た言葉は意外な言葉であった。


「フローラは私です

正確に言うとフローラの半身です

この姿になったのは御主人様とその家族の深層心理を解析した結果、この姿になった方が最善だと判断したに過ぎません」


フローラが消える前に創り出した世界は10。その世界の内ラグナに消された世界は9で最後にこの世界を潰す事でラグナの目的は完遂されるとの事。

永遠に流れる時の中で幾度となく繰り返された破壊と再生…

このサイクルに疲れてしまったフローラは10の世界を同時に創って自らの世界に引っ込んでしまったとのこと。

その事に気が付いたラグナもまた急に張り合いを無くし自らの世界に引っ込んでしまい、以後、世界は其々の世界に生きる者達に任せる事となった


筈だった…


「それでも私の創り出した世界が気に食わないラグナは最後に自らの種を其々の世界に落とした…

その結果、9つの世界は成す術べなく消されまい、この世界だけが残っている状況です。」


世界を全滅させる訳には行かないと考えたクロノスが焔を通じて何れその世界が滅ぶ可能性が高いから対処せよと伝える為に映像を見せたと言う事になる。


「ラグナが望む世界は破壊と暴力と混沌が支配する世界なのです。」


それこそが生き物の真の姿だと信じるラグナと平和と調和の世界が真の姿だと信じるフローラとは相性は最悪と言えよう。

ここまで話してふぅ〜と一息吐いた後で更に続ける。


「勿論、ラグナが望んだ世界も創り出してみたのですが、それも気に食わない様子で壊してしまいました…結局、私が創り出した世界…つまり私自身が気に食わないのでしょう。然し、私がいなければラグナの存在価値も無くなってしまうので私に直接手を下す事が出来ませんし、私を滅ぼしてしまうと言う事はラグナも滅ぶと言う事ですから顕現させるのは自ら生み出した種から生まれた者ではなりません」


ラグナが落とした種は気の遠くなるような時を経て顕現し世界を破壊するが、この世界はそれとは違った動きをした。


「それが濱田壊なのか…」


空が確信じみた返答をするとコクンと頷いたローラであったが、更に話は続く。


「はい…種から生まれた者は異空間で力を溜め、タイミングを測り、いきなり現世に現れて全てを消し去るのがラグナのやり方なのですが、何故かこの世界には種ではなく分身体を顕現させました。

分身体が本体の存在を知ることはありませんし私とラグナ以外知る者はいないのです

ですが、何処で知ったのかその事を知っていた者がいたのです

その者はラグナの分身体が顕現する兆候を待って待って待ちました…そして準備をし、虎視眈々とチャンスを狙ってました

そして訪れたチャンスに少しだけ人間界へ干渉しました」


「つまり…それが…」


「はい…五味弥太郎です…五味弥太郎こそが強欲であり、あの者の息子なのです

五味弥太郎は半妖だったのが幸いしたのでしょう。

天丸とか言いましたか?あの犬に食われた直後、妖怪としての核が発動し妖怪として転生した様ですね」


「なんと…それであの者とは…」


「あなた程の者なら検討はついているのではないのですか?」


「だから答え合わせと言っている!

それに、レイ…達人は貴女フローラを降ろす為の器として創り出した筈なのに何故あの時、乗っ取らなかったのか!?」


「女性の体なら良かったのですが、男性の体に降りるのはちょっと抵抗がありましてね。実際、あの体は強欲に食われてしまいましたので降りるところでは無かったのです。

それに、ラグナの本体が顕現していない以上は私の本体も顕現することは出来ません…それが唯一無二のルールなのです

と言うか、強欲に食われる事を前提に仕掛けを施してましたね?」


「バレてましたか…」


「当然です!

ですが、仕掛けの種類が解らないのですが…?」


「それは…企業秘密ってヤツで…御理解下さい」


「・・・そういうことにしておきます

それよりも、地獄界の方は大丈夫ですか?

土壇場で寝返られたら厄介ですからね」


「それはお任せ下さい」


「頼みましたよ」


「御意」


空とフローラの答え合わせと言う名の腹を割った話し合いはお互いにスッキリしないものを残したまま終了したのであったのだが…


この期に及んでもハッタリをカマスとは…カーバンクルではなくて狸か狐の方が良かったのではないか?

上手くはぐらかされた気分だぜ…

然し…

何故フローラがあの姿なのか…

人間・妖怪・悪魔・神…それら全てに受け入れられてしまうあの器量…

そして何よりもあの戦闘スタイル…

レイの正体は・・・ヤツなのだな・・・

それなら全てが頷ける。

フローラが去った後、考察を繰り返した結果導き出された一つの答え。

しかし…奴こそ不動の存在の筈…

何故降りて来たのだ…?

・・・まさか・・・な・・・

その答えの更に先に潜む真相…

それは無い考え過ぎだと思いつつも危惧してしまう。

ヤツが降臨したのは、単なる気紛れか暇つぶしだと思うことにしようではないか…

思考の堂々巡りが始まったのも手伝ったのか、それ以上の考察を止めしまった空は、フローラが創り出したこの10番目の世界が存続することを祈るしか出来ない。

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