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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第12章 始まりの話し
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第185話 ゴウ君

ふぅ〜…

最悪の事態は避けられたが…


ゴウ君が危惧していた事象は壊の力を少しずつ奪い盗ることで發動する事はなかったが、探し者は眷属をフル動員して探しても一向に見つかる事はなくイライラが積もって行く。それと同時に人間に対して失望もしていた。


妖怪より脆弱で大した能力もないくせに自分は強い・偉い・金持ちだとかの理由で威張り散らかすだけの無能…

そんなヤツばかり…


何故こんな者達が必要なのか…


それと…

壊…

コイツは本当にアレなのか?

然し…



何時しかこの疑問に取り憑かれたゴウ君は自問自答を繰り返すが答えが出ないまま悪戯に時間だけは過ぎて行く。


そして壊少年中学3年の夏休みが終わった頃のこと


その頃になると高校受験に向けて準備を始める様になり、その先まで見据えて猛勉強を開始し始める。

進路は浦川学園そして建築学を学べる大学へ進学する事を決めていた。

勿論、この行動は家業の建設会社を継ぐと言う意思の現れであり、このことは母親は反対していなかったし会社の従業員も誰一人反対はしていなかったと言う。


然し…


源次郎だけは複雑な気持ちを抱えていた。


と、言うのも壊の特異能力とも言える力にあった。


触れるだけで物が壊れる


家を建てることから街のインフラ整備まで濱田建設は文字通り街づくりにかかわる最たる企業であり、壊の力は真逆の力であるのだ。

とは言え、毎日起きる現象ではなく何かの拍子に起こる現象であり中学に入ってからその力は抑えられている様な印象があるのでそう云うタイミングの持ち主なのでないのかとも思っていたこともあるので黙って様子を窺っていたと言うのが現状だ。


その後、壊は浦川学園に合格したのは良かったが、この頃から様子が変わってしまう。


どおやら一人の女性に熱を上げてしまったらしい。

その女性こそ大野真智子だ。

壊は積極的に真智子にアプローチしていたものの、真智子は壊に靡く事なく華麗にスルーしていたという。

真智子は学園内でも五本の指に入る程にモテていたがためにライバルが多かったが壊はお構いなしでしつこい程にアプローチを続けていた。そんな真智子が選んだのは匠達人だった。

勿論、真智子を狙っていた男共から達人に対しての嫉妬の目を向けられていたが2人が入っていたのがオカ研であるが為に手が出せなくなってしまい、壊を除いた男共はその時点で諦めるしかなかった。


だが…


壊だけは違った。


「真智子先輩は俺に惚れている筈なのに何故あんなヤツと…」


何と真智子は壊の事が好きなのに達人が強引に奪ったと思い込み恨みを持ったのである。

更に源次郎は壊ではなく達人を跡継ぎにしようとしている様な動きをしている事が発覚してしまったとあれば達人への怒りは尋常なものではなくなってしまうのは無理もないかも知れない。


きっかけは源次郎が達人の存在に気が付いたから。


達人の母親が晶子だと知り興信所を雇って達人の全てを調べた結果、壊と異母兄弟だと確信した源次郎は匠自動車へ赴き達人を跡継ぎにしたいと申し入れたのだが、晶子から拒否され父親連合と自負している社員達には嫌われ、更に達人からは拒否された挙げ句に殴られてしまい散々な目にあったがメゲる事なく許しを請いに行ったのだが、遂に受け入れる事は叶わなかった。

そんな中、壊が濱田建設の跡を継ぎたい2代目社長として認めて欲しいと申し入れて来たのだが、源次郎が言い渡したのは…


「新たに立ち上げる会社の社長をしろ」


であり、当然ながら壊はこれを拒否。


似たもの親子であったのだろう。

一度言い出すと引くと言うことを知らない2人の主張は平行線を辿りいい加減焦れた壊の鉄拳が源次郎の顔面を捉えてしまったのだ。

正直言って壊の鉄拳は達人のそれより数段劣る威力であったが、問題は威力ではなかった。


「あ〜あ…こわしちゃったよ」


半ば呆れた様に呟くゴウ君にハッとする壊に対して


「今の一撃でお前の親父さんの精神が壊れてしまったんだよ…言うなれば生ける屍ってやつだ」


と、いけしゃあしゃあと言いのけるゴウ君に対してコイツ…やりやがったな…と思ったのだが、手を出したのは壊自身なのだからそれ以上追及は出来ない。


「壊れた…って…この後どおすんだよ…」


やってしまった後で後悔の念に囚われる壊に対してコレでやり易くなったから結果オーライだろと言い放つゴウ君はこんな事もあろうかと言い出し源次郎の壊れた精神を元に戻す事にしたのだが、壊の言いなりなる様に操作していた。


だが…


壊を濱田建設の跡継ぎにするとは頑として認めなかった。と言うよりはその事に触れると発狂した様になり暴れ回るのだ。

この現象を目の当たりにしたゴウ君は人間の扱いの難しさを実感する事になる。


こんな事があって、解体業の社長に就任する事を了承した壊は破王社と社名を決め動き出すのであった。


そしてあの日…


やっとあの人間を食える…


初遭遇してから気になって仕方がなかった。

ヤツが持つ能力…

それは先天的なものなのかそれとも周囲の者たちに仕込まれて身に付いた後天的なものなのか…

食ってみたら解る。

そんな気がしてならなかった…


だから殺して食う事にした。


だがどおやって…


考えた挙げ句、壊が持つヤツへの怒りを利用して殺させる事を考えたゴウ君は全てのお膳立てを整えて決行した。

逸る気持ちを抑え、壊にヤツを殺させ死体を食べた


が…


「何だコレ…今まで食ったどんな人間より断然不味い…然も…」


ヤツが持っていた能力は後天的であり期待したものではなく正直言って使い物にならないものだが何か違う様な気がしてならなかった。


呪いを掛けておいて良かったぜ…


ゴウ君がヤツに掛けた呪いは無欲

この無欲と言う呪いは対象が経験した経験値の半分を受け取る事が出来ると云う術者にとってはメシウマな呪いだ。

こうする事で違和感の真相が解る気がしたのだが邪魔者が現れた。

それが魔王を筆頭とした魔界の者達だ。

ヤツを成長させる為に眷属をけしかけその経験値を奪い盗り何の労力もかけず成長することに満足していたのだが、魔王の介入によりそれも出来なくなってしまう。


「しゃあないなぁ…真面目に修業するとするか…」


ヤツのおかげで労せず成長することが出来た。

後は…


ワクワクが止まらず自然とえみを零すゴウ君にキモいと怖がる壊を宥め賺して高みを目指す事となったのであった。

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