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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第3部 破壊神と創世神 第11章 帰還
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第179話 救世主はアンコ?

「一連の寝不足現象を引き起こしているのは夢を操る妖怪のようじゃの…確か…悪夢あむとか言ったかの…」


緑発が語った事実は俺の予想を確定させるものだった。


う〜む…


犯人は確定出来たのは良いけど、相手の専用空間へ行くにはご招待されないとならないんだよな。

ターゲットの人間はご招待しても俺達なんかはご招待されないのは当然だろう。

悪夢…いや…寝夢は確かに専用空間から出る事は無いが、そもそも専用空間と言える代物ではない。

一言で言えば人間が見る夢の中に存在している為なのか、出る必要が無いのだ。


「言っておくが人間界へ引き摺り出して退治なんて事は不可能なんじゃもん。」


寝る事で思念を飛ばし、飛んだ思念と波長が合った人間と結び付く事によって寝夢と相手が繋がるが妖気や霊気は使用されていないが為に寝ている時でも能力者にも気付かれる事は殆どない。

更に思念は相手が覚醒している時には途切れ、寝ると繋がると言ったご都合主義の塊の様な性質を持っている。

その為に幾ら調べても何も解らなかったのだ。


此処で寝夢が俺の存在に気付き手を引いていたのなら、あんな事にはならなかったのにな…


その日の午後からは会社に行って俺達家族が魔界へ行っていた間、何があったのか報告を上げて役員達と情報を共有したよ。

まぁ、魔王になったこととか重要な部分は伏せていたままだがね。


翌日の昼になると社長や俊也達が幽霊屋敷でお客さん減ったなぁ…とボヤきが止まらない俺の所に来てお礼を述べて来た。

話によると昨日は悪夢を見なかったおかげでグッスリと眠れたらしく今日は皆元気で仕事をしているとのことであった。

どおやら、分身体が寝夢の思念を跳ね除けたらしいな。

俊也に入れた分身体を見ると、警戒モードになってはいるが疲弊している様子はない。

恐らくは俺の分身体が入っていた事により寝夢の思念が入れなかったのだろうと予測する。


その頃…


餌の量が減ったぁ〜!

何で?

ねぇ…

何でなの!?

お腹空いたよぉ〜〜〜…

え〜〜ん…


一定量を得る事が出来なかったせいなのか手足をバタつかせてダダをゴネる少女を眷属が宥めようとするも騒ぐのを止めない。


「魔王様の波動を感知しました…

引き際かと思いますぞ…」


見た目初老の男性型の眷属が忠告をするも聞こえていないのか更に泣き声を更に大きくして暴れる少女。

どおやら満足するには一定量が必要らしく、足りないとこうしてゴネるから暴れるを繰り返して眷属を困らせる。


「少し我慢する事を覚えなされ!

魔王様の波動が感知したと言う事はお嬢様のお命も危ないと言うことですぞ!」


考え直して手を引けと諌めようしていた眷属の言葉は届く事はなかったと言うよりは次の瞬間、眷属の右半身と左半身は永遠の別れを告げ、更に炎に包まれてしまっていた。


「お嬢様何もそこまでしなくても」


うるさぁ〜い!!


尋常ではない怒りの波動に怯えながらも女性型の眷属が止めに入ってもどこ吹く風と言うか、哀れ女性型の眷属は少女の腹の中へ納められてしまっていた。


ヒック…

あんな出来損ないのエセ魔王にこの寝夢ちゃんが負ける訳ない!

この空間に居る限り寝夢ちゃんは永遠の10歳で無敵なんだからぁ〜〜〜〜〜〜〜!!!


魔王より寝夢ちゃんが強いって事を証明してやるんだからぁ〜〜〜!!


食べ物の恨みは恐ろしいって事を教えてやるんだからぁ〜〜〜〜〜〜!!


眷属を食べたおかげで落ち着きを取り戻した様だが、未だ止まらない涙を拭いもせず魔王討伐を決意する寝夢から黒い想念が増大していく。


………

……


「因みにブラックの能力を駆使してもあの空間には行けませんよ?」


緑発の話を訊いている途中で俺達を探してやって来た大嶽がどおしますか的な表情でレイを見ている。

生前もそうだったけど、事あるごとにおちょくる態度をとって面白がる傾向がある。

然し、ブラックの能力を駆使しても行けないとなると寝夢の世界は亜空間には無いことになる。

専用空間は基本的に各々亜空間に固定されていてそこに自らの空間を構築するのだ。

ブラックは亜空間に存在する専用空間の座標を特定して飛ぶ事が出来るのだ。この事を考慮しても寝夢の世界は亜空間に存在していないのがハッキリした。


「それに、あの世界に住んでいる限り寝夢は自称永遠の10歳で美少女

不老不死ですので倒すのは不可能ですよ」


ハイ?

完全無欠の美少女ですとぉ?

どおすんだ?

ソレ…


話によると、寝夢は何度か人間の夢に介入しては今回の様な事をしており、討伐を試みたのだが、何も出来なかったとの事。

その都度魔王が妨害思念を飛ばして邪魔をする事しか出来なかったらしい。


「その事なら、ワタクシめが何とか出来るかも知れません」


「ン?

アナタは…」


「ワタクシめの名はアンコ

コヨミ様に飼育されているペットです

それ以上でもそれ以下でもないので余計な詮索はしないよう…宜しくお願い致します」


コヨミの中で話を訊いていたのだろう。

アンコが出て来て何とか出来るかもと話し出す。

アンコの姿を見てその正体を看破した大嶽は好奇の目をもって凝視したのだが、アンコもまた大嶽の正体に気付いたのか詮索はしないで欲しいと懇願して来た。


「成る程…

まさかあなた程の者が…

ククッ…

解らないものですね」


その言葉ですべてを察した大嶽はさも愉快そうに笑いながらも本題を切り出す。

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