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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第3部 破壊神と創世神 第11章 帰還
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第178話 謎解き気分で

朝7時30分

黄瑠璃庵にて


悪夢を見るのは何も一般人だけではなく、力の強い祓い屋であろうとも別け隔てなく見るものは見る。

その結果、7名もの従業員が睡眠障害になってしまい出勤時間になっても出て来れたのは10名中3名であった。

そこに現れたレイとコヨミは現状を把握すると同時に黄瑠璃庵に結界を張り従業員の元へと分身体を飛ばして様子を把握する。

能力者があの手この手で安眠出来るように結界を張ったり自宅ではない場所で寝てみたりしていたのだが、結果は変わらずとの事。

出勤して来た3名は悪夢を見ておらず至って健康だと言うことだ。

悪夢を見る者見ない者の差は何なのだろうと気にはなるが、状況証拠として寝夢は人間に直接接しているのではなく何らかの方法で人間と繋がる事が出来る様だ。然し、人数には制限が有るのか、自分の好みで決めているのか、はたまた別に意図が有るのかは解らないが、命を含めた4人でこの人数で店を回すには無理が有る。


「対幽霊対妖怪の結界を張っても悪夢を見ると言うのはどぉ言う事なの?」


憔悴しきった表情で命が言う。

呪いを掛けられたとか直接関わって来ていたら幾らでも手はあるが、この痕跡すら残っていないのだから無理もない。


と…

そこに


「やっと帰って来たか…

で?魔界で何をやっていたのか語って貰おうか!?」


やけに血色の良い三条が入って来たので何でそんなに元気なの?と言った様な表情をする命と従業員。場の空気を読んだレイがパチンと指を鳴らすと三条の中から影分身が飛び出て来てレイの中に入って行く。


フムフム…

だいぶ弱っているけど、俺が居なくなってからの状況は理解出来た。


けどさ…


影分身の記憶を読んだレイが三条をひと睨みした後で現状を話し出す。


「お義父さんが無事なのは俺の影分身が守っていたからだよ」


影分身では誰が何処から何をやっていたのかは解らないが、術者は念を飛ばしてターゲットに夢を見せる様に誘導しているのだそう。

その念を影分身が三条に届く前にシャットアウトしていたのだと言う。

この念はターゲットに夢を見せるだけに特化しているようで更に言うなら夢を見せている時のみ発動するので、一切の痕跡を残さない。


「それで解らなかったのね」


レイの説明を訊いてコヨミが納得の表情を浮かべるも


「然し、魔王の称号を得ていなかったら良いようにヤラれていただろうな」


と言うと


ハァ!?!?!?

レイが魔王!?!?!?


何気に言放った言葉に驚愕する一同であったが、三条唯一人のみ感付いていた様でやはりなと言った表情でウンウンと頷いている。

その理由は影分身にあった。

そりゃあ、魔王の称号を得たと同時に影分身がパワーアップしてりゃあ感付くわな。

まあ、事の経緯は後で話すとして、俺とコヨミは風龍神社へと向かう事にしたのであった。

因みに、出勤して来た3名の従業員は平均睡眠時間3時間と言うショートスリーパーとの事で多少の睡眠不足では動じない猛者だと言う事だ。

まぁ、毎夜毎夜見せられる悪夢は見るに耐えられないものがあるとは思うのだが


「酷い夢だけど、全て明晰夢として見ていられるからどおってことない」


との事だ。


………

……


10時過ぎ

週末や祭事の時は御朱印や御守りを求めて多くの人達が参拝に来る風龍神社ではあるが、平日の朝方とあり境内には宮司と巫女の姿が在るだけで参拝者の姿は見受けられない。

鳥居で一礼をした後、境内へと入って行くと俺達の姿を認識した宮司と巫女が慌てた様に駆け付け挨拶をして来る。


「挨拶は良いよ

それより、貴方方は悪夢を見ていないのですか?」


俺の質問に対して二人共ハテ?と言った表情になったので現状を話すと妙に納得した様に「それで…」と呟いた。

更に問い質すと最近、悪夢を見るようになってしまい、何とかならないかと相談に訪れる人達が増えているのだが、理由が解らず気休め程度のお祓いと身代わり地蔵を渡すしか出来ないとの事だ。

効果の程は有るかどおか解らないが、悪夢を見る回数が減ったと報告が入っているとのこと。


「身代わり地蔵ねぇ…」


宮司が丹精込めて彫った木彫りの地蔵を眺める俺に


「緑発様の神力が込められている故かと思っております」


と言う宮司。

どおやら龍神様は自らの責務を全うしている様子で安堵した俺であったが、その緑発に用があるので洞窟に向かう事にする。


………

……


「コレはコレは…レイ殿ではありませんか…

コヨミ殿を手放す覚悟は出来ましたか?」


祠の前に行くと気持ち悪い程の猫撫で声を発し揉み手で近付く緑発

この期に及んでもコヨミを諦めてはいなかったらしい。

そんな戯言を華麗にスルーして街の異変について知っているかどうかを訊ねてみたのだが、コヨミをくれるのならと言い出したものだから


「おい!テメェ!いい加減にせぇよ!?

真面目に職務を全うしているかと思えば脳内お花畑かよ!?この蛇爺が!?」


ブチ切れたコヨミが罵声を浴びせてしまう。

罵声に対して動じることなくと言うか儂の愛を受け入れる事が出来ないのなら消えろと言い放ちやがったものだから今度は俺がブチ切れた


「おい!!!

その話は全てが終わったら改めて決着着けようと言ったよな!?

テメェが何をやってこの地の土地神をやっているのか調べは着いてんだよ!?龍神王に報告上げても良いんだぞ!?」


元々神界に住んでいた緑発はその頃から女癖が悪く素行が悪かったらしい(龍神族の男性談)。

そんな緑発が真剣に恋をしたのが龍神王の娘だった。

龍神王の娘は性格こそキツいが楓夏を彷彿する様な美形であり、一族の男性の憧れの的であり求婚されることは日常茶飯であったと言う。

そんな中、他の男に娘を取られてしまうのではないかと焦りを感じた緑発は寝取る事で強引に自分のものにしようとして夜這いを敢行したのだが、警戒していた近衛に捕まってしまう。

大切な娘を寝取ろうと画策した緑発は龍神王の怒りを買い処刑されそうになったのだが、そこに横槍を入れたのが焔であった。

焔は魔界でも屈指の予知能力を有している。

その予知能力は神界に於いても一目置かれており、事あるごとに伺いを立てる神もいる程だ。

そんな焔が緑発の処刑に待ったを掛けて来たので無視する訳には行かなくなった龍神王は焔の申し入れを受け入れ、神としての力の殆どを没収した後に人間界へと落とす事を決める。

そして落とされた先が現在の雨音の地である。


レイの発言に驚きを隠せない緑発は仕方がないと言わんばかりに話を訊く事にしたのであった。

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