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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第3部 破壊神と創世神 第11章 帰還
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第173話 会議

「全力で彼等をバックアップし、無事に帰って来れる様にするこに尽力致します。それと申し入れの件、ご検討の程宜しくお願いします」


失言は平にご容赦くださいと言い残して消えた大嶽が申し入れた事を話し合うことにした社長達は翌日に役員を招集して緊急会議を行う事にしたのであった。


翌日


大嶽からの申し入れを幽霊屋敷のスタッフ及び株式会社オタクの部長以上の役員を緊急招集し、三条と命そしてアドバイザーとして社長を含めた数十名を収めた本社会議室は何とも言えない空気に包まれていた。


「然し…人化の法とやらを使って人間化してでも人間界のエンターテイメントを学びたいなんてもの好きとしか言いようがないよな」


役員がどおすべきかと唸り声を上げる中、半ば呆れた様に漏らしたのは出版部編集長の伊良部和夫だ。

その言葉に釣られた様に


「魔界に人間界の文化を取り入れたいとかの理由らしいけど、基本的なモノは取り入れているのだろう?それを発展させられないなんて妖怪側の努力不足だよ」


と、アミューズメント部門部長の水田正雄が追い打ちをかける様に言った後で私的な気持ちでは却下だけど…皆さんどおですか?と全員に問い掛けると皆、同意見であったようで会場の雰囲気は却下の流れになろうとしていた。

レイと関わってしまったが為に妖怪の存在そして妖怪が如何に人間と関わって来たか更にレイ達家族と悪妖怪との戦い全てを知っている役員達は出来ることなら関わりたくはないと思っていてもしょうがない。


「会社の総意としてはお断りすると言う事で良いのかな?」


明らかに拒否したい雰囲気が会議場内を支配する中、三条が纏める様な発言をすると無言で頷く一同。

だが、一人だけ納得していない人物が居た。


「今の貴方方は生徒のイジメを隠蔽する何処ぞの学校の教師連中と変わりませんねぇ…ここに来て事なかれ主義とは失望しましたよ」


そう言ったのは命だ。

この一言にカチンと来たのか参加者のほぼ全員が今の言葉を取り消せとの大合唱が起こるも、その大合唱をツルの一言でだまらせたのは社長だった。


「喧しい!黙れ!!

やっこさん達はレイの旦那達が消えた責任を取ろうと態々人化の法を使ってまで頭を下げて来てんだ!信用出来ないのも理解は出来るが今のお前らは同性愛者だから障害者だからと言う理由で差別している奴等と何ら変わらん!100%信用ならんのは理解も出来るが何らかの条件を付けるとか三条さんに悪さ出来なくなる様な呪いを掛けて貰うとか何かしらの制約を取り付ける事だって出来るだろうがよ!!」


もしもの為の対策を考える事なく妖怪だと言う理由で拒否するのは良くないと主張する社長の剣幕に気圧され黙り込んでしまう役員達であったのだが


「言いたいことは解るのですがね…

何と言っても相手は妖怪ですからね…

やっぱり怖いと言うのが先に立つのは仕方が無いと思うのですがね」


語尾に「ね」を付ける癖がある飲食店部門部長 相良智大さがらちひろが遠回しに「だが断る」と言いたげなニュアンスで反論して来るがそれで引き下がる程素直な社長ではない。

それにより、会場内は混沌を深めて行った。


「兎に角、社員全員が拒否反応を示しているのですよ如何に貴方方に決定権が有ると言えど、皆の反対を押し切ってまで妖怪を雇う事は出来ますまい?」


事態を収集すべく副社長が取り纏める発言をした時


ちょっとまてぇ〜い!


突然なんの脈絡もなく会場内に響き渡る声にそこに居た全員の視線が集まり、示し合わせた訳でもないのに声を揃えて


相談役!


と叫んでしまう。


「だ…旦那…魔界へ行っている筈では…それにその気は…」


それは紛れもなくレイであったのだが身に纏っていたのは霊気ではない。


「あぁ…まぁ、その事は本体が帰還した時に話があると思う

俺は影分身で本体ではないからあまり長い時間は活動出来ないからそのつもりで」


現状のレイは魔王空間で修行中の身であり、本当なら出て来る事は勿論、こうして影分身を飛ばす事も出来ない筈なのだ。

この時、この場に居た全員が分身の事を理解してはいない。

分身は分身→強化型分身→影分身→コピー→ドッペルゲンガーと強さが上がっていくのだが影分身以上は自立型と言うか、明確な意思が存在していて本体とは別行動が可能となる。

この場に居た影分身はドッペルゲンガーより全てに対して劣るものの戦闘にならない限りは本体と遜色ない様に見えるし行動も出来る。

妖怪の襲撃があった時点でそこまで気を回せる筈がないのだが、レイの中には真智子も居ればローラも居る。事が起きた時点でこうなる事を予想した何方かが影分身を残したとも考え得るのだが妖怪側に知られずに影分身を残すなんて離れ業が出来るのかと考えると疑問が残るし出来ないだろうと予想した社長はチラリと三条を見ると


「後でな」


と言った目で見たので妙に納得した社長はレイに任せる事にした。


「兎に角、妖怪は信用出来ません!

人間同士でも厄介で面倒なのに相手は得体の知れない化け物ですよ!?

人間以外の者を雇うなんて真似が出来る筈がない!

そもそも相談役とその家族が妖怪に拉致されなかったらこんな事にはならなかったんだ!」


話をするだけ無駄と言いたげに苛ついた表情でデーブルをドンッと叩きながら絶叫する伊良部の叫びに同意する役員達。


「まぁよ…

俺達家族はどう言う訳か妖怪にモテて仕方がねぇんだわ。事の経緯は無事に帰還出来たら報告上げるから楽しみにしていてくれよな。

でだ、奴等の申し入れを受ける事が出来ないのなら無理して受ける事はねぇよ。

だがよ…奴等は奴等で人間のやる事が気になって気になって仕方がねぇんだわ。

訊いたかどおか解らないけど、妖怪の発想力は人間のそれには敵わねぇのは確かなんだよ。

現に幽霊屋敷を始めた頃は手伝わせろと何度かせがまれたからな。

だから今回の事態にこれ幸いとばかりに申し入れて来たんじゃないかと思う。

人化の法を使ってまで人間と接点を持ちたいと思っている妖怪は真面目だし、況してや人化の法を使って人間化した妖怪は魔界側の監視対象になるから悪さは出来ない。現に妖怪だと隠して色んなジャンルで修行してその技術を持ち帰って広めている奴等だっているんだぞ。それに食うものから生活サイクルまで人間まんまだから傍から見ても妖怪とは解らないコレは俺が保証する」


色々と言ったが奴等に対して俺が知っている事は正直に話すから後はテメェ等で考えろ会社経営に俺達が関わるのは本意じゃねぇんだと言いたいらしい。

誰よりも妖怪と関わってきているレイの言葉に黙ってしまう役員一同。

そんな役員達に人間と仲良くしたい友達になりたいと思っている妖怪はかなり存在する。そんな妖怪の気持ちを無下にするのはどおかと俺は思うよ。

そこまで言った時点で活動時間が切れたのか掻き消える様に消えて行った。

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