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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第10章 第2次魔界大戦
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第169話 決着その5

「言っておくけどぉ〜

私に妖気を利用した攻撃はぁ〜

通じないからねぇ〜

アハハハ…」


オカマ然とした言動は演技だとしても、妖気は通用しないと言うのは本当だろう。

それが証拠にチーの妖気弾による攻撃は命中しているのにも拘らず、ノーダメージであるのが何よりの証拠であろう。

妖気が通用しないとなると攻撃の幅がカナリ狭まって来る。

残された攻撃方法は、霊気を利用した攻撃か、あるいは…

神気を利用した攻撃になるのだが、レイやコヨミと違ってゆう子は妖怪との縁が強いせいか神気を利用した攻撃は苦手の部類になる。

ならば接近してからの格闘戦になるのだが、予想ではほぼ互角だと踏んでいるので躊躇しているのは仕方がないだろう。

何故仕方がないかと言うと、体力的な問題とパワーの差だ。


落ち着いて

どんな攻撃も当たらなければ問題ないよ?

その為に散々修行したでしょ?

思い出して


どおしようと焦るゆう子に何処までも優しい声で宥めるピンク。

魔王空間で明け暮れた地獄の修行の日々がゆう子の脳裏に思い出される。


家族の中で最弱のゆう子。

妖気と神気と霊気の使い分けに苦労し、時には消滅寸前まで追い込まれそれでも家族の力になりたい自分だって役に立つと証明したくて必死に食らいついていったあの日々。

そんな修行の日々で結ばれた確かなえにし

それを糧に修行に励んだのだが、遂にGOD級に届かなかった。

此処でマックスに敗北すると云う事はあの日々が無駄になる事を意味する。


良い?タイムリミットは10分だからね


妖気で作り出したストップウォッチをゆう子に見せてピンクが言う。

ゆう子のレベルはGR級のレベル95(因みに天音・コヨミの2人はGOD級の中位クラスになっていて、五平と千代は上位になっている)

此処まで上がれば神気は使えるが力が弱い上に使える時間も限られている。

ピンクがゆう子の中に居る理由はゆう子のレベルを一時的にGOD級下位迄押し上げる限界突破の役目を担っているからであり、この時点からゆう子のレベルを押し上げようとしたのだが、待ったを掛ける。

待ったを素直に受け入れたピンクはゆう子が何をするのかを見届ける為に静観する事にする。


木遁もくとん

木樹きき怪怪かいかい


   ザワ

        ザワ

              ザワ


素早く印を結び地面に妖気を混ぜた霊気を流すとそれを受け取った草木に生命が宿ったのか動き出し


「な…何…?何が起きたの?

木が…木が…

いやぁ〜

キモぉ〜い!」


マックスの周囲に存在している草木が地面から根っこを引き抜き枝葉を手のように振り回してマックスに襲い掛かる。


演技乙…


この状況は想定外であったのかパニックに陥った様に見えるマックスであったが、言葉とは裏腹に冷静に植物の攻撃を避けて安全な場所を確保しようとしている様子。

その様子を観察していた二人と一羽は白々しいと言う感想を持ったが何時までも見ている訳にも行かず


猛毒生物召喚!


そんなマックスの頭上に突如として現れた毒ヘビやトカゲ等のありとあらゆる爬虫類が降り注ぎマックスの肉体へ纏わり付いたり噛み付いたりしたものだから


いやぁ~

痛い!

ちょっ…

噛まないで!

毒ぅ!?

キモい〜…

毒…毒…早く解毒しないと…

キモすぎて解毒出来なぁ〜い!

いやぁ~!!


・・・(汗)


終始あの言動で騒ぎ立てるマックスにドン引きどころかメンドクセェヤツと認識し直したゆう子とピンクそしてチー。

ゆう子もピンクもチーも相手がアブノーマルだろうが同性愛者だろうが偏見の目で見ることはない。

ないが見た目と言動のギャップは面倒くささと心の底から沸き起こる嫌悪に苛まれてしまう。それとは裏腹に冷静に周囲を見渡し相手を観察する目を持つマックスの厄介さにどおしようかと思案し始めたとき。


「みぃ〜つけたぁ〜」


突如として背後に現れたマックスがゆう子の喉元にサバイバルナイフを当てそのまま喉笛を切り裂こうとした次の瞬間


ギャァッ!


ピンクの刀がマックスを穿く。

胸から背中へと穿く刀がそのまま上へと迫り上がりマックスの上半身を斬り裂いて行くが、核にはダメージが行かなかった為か消滅には至らなかった様子。流石は悪魔と言ったところだろうか、その状態にも拘らずゆう子を睨み付けながら斬り裂かれた上半身を貼り合わせ終えるとスッと掻き消える様に消えてしまう。


「アンタが居ることを忘れていたわ…

ねぇ…あんた達デキてるの?

間違いないわね

私と言う者が有りながら女に走るなんていけない子ねぇ…

お・し・お・き・よ」


コイツは何を言っているのだろうか…


あまりの身勝手な言い分に更なる嫌悪感すら沸き起こるゆう子に気にしたら負けよと宥めるように言うピンク。

そんな二人を何故か羨ましそうな目で見守るチー。

そんな二人と一羽の周囲に結界を張り


「bondage hell」


ありとあらゆる場所から飛び出てくる荒縄が意志があるかの如く動きゆう子に絡み付き縛り上げていく。


グッ…


まるで蜘蛛の巣に捕まった蝶の様に身動出来なくなり、更に飛んで来た鞭がゆう子を打ち据える。


「何でこんなブスに魔王の加護が付与されていたのかしらねぇ…不思議でならないわ…おかげであなたを回収することが出来なかったわよ」


コツコツとハイヒールの踵を鳴らして近付く悪魔はマックスではなく女性型の悪魔ではあったのだが、ゆう子にはその顔に見覚えがある。

それどころかゆう子の表情が怒りに変わり思わず叫ぶ


「三崎麗華!!」


「麗華もマックスも琢磨もぜぇーんぶわ・た・し

あなたを殺すために付き合っていたのよ

なのにあなたってば魔王の加護なんてもの纏っているのだもの…おかげで地獄界へと帰還しなきゃいけなくなったじゃない!

責任取ってわたしの奴隷になりな!」


「わたしに毒生物なんか使ってくれちゃって…

もう絶対に許さないんだから!

おかげで余計な力を使わなければならなかったじゃない!

あの世に行かなかった事を後悔させてあげちゃうんだからかぁ!」


魔王の加護があっただけで地獄界へと帰還しなければならなくなった理由は何となく理解出来るが、麗華とその夫である三崎琢磨も同一人物であった事実そして、人間界で犯罪を犯していたのはマックスで間違いないだろう。

でなければ幾ら心を読んだからからと言って魔王の加護の事なんて知るはずもないだろうから。


「時間を掛けてその身に苦痛と快楽を教え込んであ・げ・る♡」


身動きを封じてしまえば後はやりたい放題の展開になると思ったのだろうが、そうは問屋が降ろさない。


さっきも言ったけど、タイムリミットは10分よ!?


ピンクが切羽詰まった様な口調で確認してくる。

おかしいと思ったゆう子がピンクの状態を確認すると存在が消えかかっているのが解る。

どおやらゆう子を縛り付けている荒縄が妖気を吸い取っている様子。

影分身と言えど此処でピンクを失えばマックスに勝てなくなる可能性が出て来る。


火遁…火達磨


ゆう子の代わりに印を結んだピンクが術を発動させると途端にゆう子の身体を炎が包み激しく燃え上がる。


「その縄は妖気も霊気も吸収してしまうのよ」


馬鹿が墓穴を掘ったと勝ち誇った様な笑顔で高笑いする麗華と琢磨であったが、その笑顔が凍り付いてしまう。


「な…なんで…」


ゆう子を包んだ炎が縄を焼いて行く。

ピンクが発動した火遁は妖気を利用した炎ではなく神気を利用した神炎。

神気を吸収出来ない縄は抵抗出来ずに燃え尽きて行く。


「やっと…

やっと…

やっと見付けた…!!」


よもや縄が焼切られてしまうなどと思いもよらなかったのか驚愕の表情を浮かべる麗華と琢磨を前にワナワナと肩を震せてブツブツと何かを呟いているゆう子を馬鹿にする様に


「幽霊の分際で悪魔様に勝てるわけないでしょう?あなたが出来る事はわたしの奴隷になることを受け入れるのみよ」


と麗華が罵声を浴びせる。

この罵声には相手を服従させる誘惑の魔力を含んでいるので、相手がいくら強くても魔力への耐性の低い幽霊や妖怪なら抵抗らしい抵抗も出来ずに服従してしまうところだろうが


神遁

大・制・裁!


ゆう子の遁術発動した事で魔力が通用していない事に気が付く。


以上の罪状により…


何かしらの対抗措置を取ろうとしたのだが、周囲は森ではなく裁判所になっていたのだから驚く麗華と琢磨。

然し、この時点では何が起こっていたのか解らなかった。


判決!

三崎麗華 三崎琢磨の両名に死刑を申渡す!


裁判所はゆう子の神気で創り出したものだが、裁判長は神降ろしによって出現した正真正銘の神であり、その正体はレイが閻魔ジャッジと名付けているあの術で繋がった神である。

魔王空間での修行中に術の研究をしていた時、閻魔ジャッジの原理についての謎を究明していたときに気付き更に発展させたのがこの遁術なのだ。


「「な…なに…この手は…?

エッ…魔力が吸い取られる…手が足が…

ヤメて…いやぁ~!!!」」


死刑を言い渡された途端、二人の周囲から出現した黒い手に纏わり付かれ能力・魔力の全てを奪い、更に存在自体を消しにかかると抵抗らしい抵抗も出来ずに消滅していく。


虚しいね…


復讐が完了したにも拘らず、やり切れない表情をしてそんな事を言うゆう子の肩をソッと抱き慰謝料を取っておけば良かったねと言うことしか出来ないピンクであった。

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