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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第10章 第2次魔界大戦
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第165話 決着その2

カルマが休憩に入って約1時間程経過した頃

強化型アンテナの映像で様子を伺っていた天音は一向に動きを見せないカルマに揺さぶりを掛けようとしたのだが…


ダァーン!!


気配も捉えられないロングレンジからの超精密射撃だ。


「チッ!

対策されていましたか…

次の手に移るとしますか」


狙撃の効果が無いと知ったカルマは掻き消える様に狙撃ポイントから姿を消す。

遠くの方から銃声が鳴り響いたかと思ったら一発の銃弾が天音の右側頭部1mm手前で止まっている事に驚くマル。


「ンニャア!?

今のって何処から?」


「南西約1km先のマンションの屋上からだよ」


「驚いたぁ…そんなに遠くから?

まぁ、こんな事も有ろうかと結界を張りまくっていたのだけど、ほぼ役に立たなかった様子を考えたらカナリ強烈な弾みたいね。」


「呪いでコーティングされた特殊な呪術弾だよ?ソレ…当たっていたらヤバかった筈だよ?」


「ん〜…呪いも銃弾の威力もヒーロー達の方がキツかったし耐性もバッチリだから何の問題も無いよ」


「そう言う問題?」


「ウン!」


間一髪であったにも拘らず、ケラケラ笑いながら銃弾を右手人差し指で弾き飛ばした後で驚きを隠せないでいるマルに向かって問題ないよと言ったあと、小首を傾げどおやって監視を逃れたのかを考え始める天音もまた場所を移動する。


チィッ!対策されていましたか…

まぁ良いでしょう。

然し…手持ちの銃火器では効かないかも知れないのはキツいですね…

う〜ん…どおしたものか…


確実に仕留めたと思っていたカルマは次の行動に移るべく移動を開始する。


「周囲の景色に完全に溶け込み移動するタイプの悪魔がいるって訊いた事があるよ?そのタイプなんじゃないのかな?」


このフィールドに解き放っている魔獣は、どれもターゲットのオーラや体臭を記憶し、それを目標にするタイプが殆どであり如何に気配を殺そう景色に溶け込もうと無駄なのだ。

その魔獣の包囲を掻い潜り狙撃スポットを探し出して天音を狙撃するのは不可能に近い。

1つ可能性が有るとしたら地中を潜って移動する事だが、地中には阿修羅モグラと云う魔獣が徘徊しているのですぐに見つかってしまって戦闘になるのは必死だろう。


天音「ん〜…ドッペル君がドッペル君を生み出した?そんな感じがしないでもないけど…」


マル「イヤイヤ…幾ら何でもそれは無いと思うけど?」


天音「だってあの位置から動きを見せてないよ?」


マル「ちょっとまって・・・ヤラれた…抜け殻だよアレ…」


天音「抜け殻ぁ!?って事は…?」


マル「どおやったかは解らないけど、抜け殻を囮にして魔獣の包囲から逃れたみたいだよ」


抜け殻と言うワードを訊いた天音の中に脱皮の二文字が浮かび、更にその正体に想像が行くとマルが


「甲殻類の生き物が恨み憎しみ満載の人間を食べた時にその人間の魂に体を乗っ取られたまま悪魔化したとか…元々そう言った姿で生まれでた悪魔とか…」


と言う。

飽くまでも推理の粋を越えていないのが現状だが、魔獣の目鼻を欺ける程の能力を持っているのは確かだ。


あんな所に居やがった…

どれ…コレなら…


どおだ!


天音とマルがカルマの考察を重ねていた頃、次の狙撃スポットを探していたカルマは手頃な場所を数ヶ所見つけ、影分身を使い多方向から一斉に狙撃した。


イエス!イエス!!イエス!!!

幽霊如きが悪魔様に勝てる訳ねぇじゃねぇかよ!

ザマァみろ!!

フハ…フハハ…フハハハハハハハ…


カルマが見付けた狙撃スポットは都合5箇所。

そこから発射された銃弾の内4発は結界に阻まれたのだが、最後の一発が天音の眉間を捕らえたのだ。

驚き慌てるマルが天音の周囲を飛び回る中、銃弾を食らった天音がスローモーションの様に崩れ落ちて消えて行く。

その光景を見て換気の雄叫びを上げるカルマであったが…


グハッ!!


天音を葬り去ったと思っていたカルマの注意力がほんの少しだけ緩んだ。

それが運命の分かれ道になってしまった。

背中から突き抜ける衝撃に何が起きたか理解するに少々時間を要したカルマであったが、胸から突き出ている日本刀の刀身に気が付いたカルマの表情に困惑の色が浮かぶ。


「5箇所からの狙撃ご苦労さま

おかげで狙撃ポイントが特定出来たのだから感謝するね」


ケラケラ笑いながら日本刀をグリグリと動かす天音に何故解ったと問い掛けるカルマに


「銃弾こそ本物だったけど、本体から発射されたそれは他のより強力だったからね」


と、ドヤ顔で返す天音。

実のところ接近戦を期待していたのだが、最初から距離を取った事から狙撃が得意なタイプかなと疑いマルを使いカルマを監視させていた。

然し、接近して来るどころか狙撃に拘っていたように見えたので態と狙われ易い場所に移動して狙わせたのだ。

勿論、狙撃された天音はドッペルゲンガーであり本体は別の場所から監視していた為に本体はノーダメージなのは言うまでもないが、気を抜けば天音が負けていた。


「接近戦を仕掛けて来たら勝敗は解らなかったかもね…バイバイ」


それがカルマが聞いた最後の声だった。


「お疲れ様」


カルマが消滅したのを確認したマルが労いの言葉を掛けるとその場にへたり込む天音の目に薄っすらと涙が浮かぶ。


こ…怖かったよぉ…


実は、大佐との戦いの時に撃たれたのがトラウマになってしまっていたのだ。

その事を天音の心を読んで知ってしまったカルマは接近戦ではなく狙撃する事で優位に立とうとしていたのだろうと推測したマルであったが、勝てた事に安堵したのであった。

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