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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第10章 第2次魔界大戦
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第163話 売られた喧嘩は買うのが当たり前なのか?

全責任は…と…言われてもなぁ…


いや…言いたい事は解るよ?


ホントにさ…


でも…


もう、是流君の責任で終わらない所まで来てしまっているんだよ…


真智子から入って来た情報によると、幻獣界も魔王城が在る魔都にも悪魔軍が現れていて、現在交戦中との事だ。

この期に及んでも俺は村岡と是流とは戦いたくない

イヤイヤ…受けてしまった以上は最後まで付き合ってやらないとならないのは百も承知だよ?


でもなぁ…


「ねーねーお父さん…何をクソ真面目に難しく考えているの?アイツ等から喧嘩を売ってきたのだから叩き潰す!コレ意外に理由が要るの?」


表情から俺の考えを読み取った天音が極めてシンプルな答えを言い出すものだから思わず笑っちまったよ。


「で?殺り合う相手は見極めたのか?」


既に殺る気満々の家族の顔を見て俺が問うと無言で頷き相手を指差して挑発しだす。


天音VSカルマ

ゆう子VSマックス

コヨミVSイザベラ

レイVS是流&村岡


と言う組み合わせになり、対戦相手は自らの専用空間へと連れて行かれてそこで殺り合う事になったようだ。


………

……



「此処は…ホウホウ…フムフム…態々戦闘ステージにご招待していただいたのは光栄の至り」


天音の専用空間へと連れて行かれて行かれたカルマは周囲の地形やら空間の特性を確認した後で、嬉しそうな表情を浮かべて御礼の言葉を述べる。


「お兄さんのスタイルを見てこんなこんな感じの空間なら喜んでくれるかなと思って」


専用空間の風景は、廃墟の街と言えば理解出来るだろうか。

夕暮れ時の明るさにボロボロになったビルや廃屋が存在している風景を前に何故かやる気満々のカルマは


「気に入りましたとも…で…チャチなトラップとかは…」


と、口にするとそれを全力で否定する天音。


「小細工無しのガチバトルがしたいから地形や建物にはトラップは一切無しだよ」


天音の返事を受けて猪のように突っ込んで来るかと思ったが、意味深な笑みを残しつつ掻き消える様に消える。


「ふぅ〜ん…そう来るのね…言ってなかったけど逃げ出すのは出来ないし、魔獣が徘徊しているから気を付けてね〜♥」


消えたカルマに向かって愛嬌タップリ嫌味タップリで叫ぶと「それを早く言え!」と叫び返して来るが戻って来る気配は無い様だ。


………

……


「こんな怖い場所に連れてくるだなんて嫌だわぁ…」


鬱蒼とした森の中に少し開けた場所で筋骨隆々で熱苦しい顔の男性が容姿に似合わないおネェ口調とナヨっとした仕草で大袈裟に怖がっているのは、ゆう子の対戦相手に選ばれたマックスである。


「ねぇ、幽霊さん居るんでしょ?見てるんでしょ?ねぇ?!」


視線は感じるが姿もなければ何処から見られているか解らない。

それはそうだろ。

視線は四方八方から感じるのだから。


「ふぅ〜ん…そう云う事するんだ…なら…この姿なら出てこれるかしらねぇ?」


魔力で自らの体を包んだかと思ったら筋骨隆々の姿がスリムな体型になり、顔もイケメンに変わる。


・・・!!


強化型アンテナを仕掛けて離れた場所からマックスの様子を伺っていたゆう子はその姿を見た途端、怒りの表情に変わる。


「ダメよゆう子!こんな時こそクールに…ね」


怒りに取り憑かれたアタイの頭に冷水をぶっ掛ける様にピンクがあたいに待ったをする。

このピンクは影分身であり、本体とは繋がってはいるが別行動が可能だ。


で…でも…あの男は…


本来は武力行使ではなく相手の心を読み精神攻撃を仕掛けて内部から崩すのが得意な悪魔なのだ。

ゆう子がマックスを指名した時、瞬時にゆう子の過去こころを読み解き動揺を誘う為に態とあの姿をしている可能性の方が高いが、そうで無い場合…


まさ…か…ねぇ…


ゆう子を殺した犯人は未だ捕まっていないと聴いているし、未だ逃亡生活を続けているものと予想していたのだが、もしこの考えが間違いで黒幕がこの悪魔であった場合…

思考をフル回転させ、記憶を呼び起こしてレイを監視していたあの頃からの全ての情報を検証するピンク。

ピンクは過去に知り得た情報をファイルして記憶に保管しておく事が出来る。

記憶の保管区域にアクセスし、マックスの顔とゆう子の死亡時期を照らし合わせて何か事件が無かったかを調べて見た所


あ・・・もしかして・・・コレ!?


ゆう子が殺された時期の前後1年程の期間で若い女性の疾走や同一犯と思われる殺人事件が何件か連続で起きていたと情報に行き着いたのだが、妖怪の仕業ではないと解っていたがためにスルーしていた。もしその事件の犯人と言うより黒幕がマックスであった場合…


だったら何でゆう子の魂は回収されなかったの?


悪魔が人間の魂を欲する理由は悪意に満ちた魂の回収。

回収した魂は長い時間をかけ地獄界で責め続け、そこから発生する負の感情を喰らい自らの糧とするがそれは魂を浄化して再び人間界へと転生させる為の必要不可欠な事項。

人間は悪魔が何もしなくても普通に悪事を働き地獄に落ちて来るものだから、態々人間界へと行き魂を回収する行為をする悪魔は皆無に等しいが、ごくごく稀にそれをやってしまう悪魔も存在する。


あっ…そうか…ゆう子と言うかコヨミさんも天音ちゃんも…


そう、天音は生まれる前に転生の義を受けてしまったが為に霊界へと戻ってしまったが、コヨミもゆう子も魔王の転生の義を受けて生きながら転生している。

その際、魔王の加護を受けていたとしたら…

レイの家族はレイと再び出会う事を前提で転生の義を受けているが、ただそれだけでは100%出会える保証は無い。

なので、万が一を考慮して最悪魂だけでもレイと出会える様にと加護を与えた。

その加護が悪魔からゆう子の魂を守ったと言う事なのだろう。

それなら、天音があのタイミングで戻って来た理由も理解出来るし、コヨミが漫画家としての活動拠点を雨音にしたのも頷ける。


全ては魔王の掌の上で踊らされていたって事なの?


何のために…


この思考に行き着いたピンクは激しく混乱したが今はそんな事を考えている場合ではないし、本体とレッド達にでも推理させておけば良い。

影分身は本体にこの情報を送った後で気持ちを切り替える。


………

……


「こんな殺風景な場所でなくてもっと素敵なステージにご招待してほしかったわ」


コヨミに連れて来られたイザベラが現れた場所は半径1Km程の巨大なコロシアム。

是流軍の中では唯一女性タイプの悪魔でありながら銃火器は一切携帯していなく、その代わりボンテージを身に纏いサバイバルナイフ2本と鞭が装備されているのみ。

そのことを考えると接近戦と魔法攻撃に特化した悪魔と予想したコヨミが選んだのがこのコロシアムステージなのだ。


「あ〜ら…SMルーム風のステージの方が良かったかしら?御所望ならステージチェンジしてあげても良いわよ!?」


コロシアムステージが気に入らなかったのか文句を言うイザベラを挑発するコヨミに対して早速唸りを上げるイザベラの鞭。


「誰に向かって言っているの?

まさかこの私に言っているわけではないでしょうね!?」


鞭を持っていた時点で疑ってはいたが、今の口調で確信を得たコヨミは更にイザベラを挑発するも


フッ…


決して挑発し過ぎたと言う事はないと思うが、薄ら笑いを浮かべて冷静になってしまったのを見て、怒ると冷静になるタイプかと思ったコヨミは挑発しようがない事を残念に思ったのであった。

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