第161話 来襲はバレバレでした
・・・始まったか・・・
悪魔城 王の間で戦況を静観していた悪魔王 サタンそして第一軍大将ベルと第五軍大将シュガー。
「残念ながら奴らでは全滅の憂き目は間違いないでしょうな」
アンテナから送られて来る映像を映したスクリーンを一瞥し、素直な感想を言い放つベルに対して
「数的には此方が圧倒的に有利なのだから苦戦はするかも知れないけれど負けはないだろう」
と、反論するシュガーにアホかコイツと言いたげな表情で「それをモノとしない実力差が有るのが解らんのか!?」とベル。
そんな二人に黙って見とれとサタンの一喝に何も言えなくなってしまい、静観する事にする。
「やっぱり奴等では荷が重かったか…」
「それも有るとは思いますが、妖怪側の強さが我等の想定を大きく超えています。我等の見積もりが甘かったとしか言いようがないです」
メドゥの軍が壊滅し、パズルと超獄丸が消えたのを確認した後、苦虫を噛み潰した様な表情をしたサタンの率直な感想にベルが自らの甘さを認めるが、シュガーだけはイライラを隠さず
「妖怪側を舐めていただけだろ!?
じゃなければアイツ等が負ける訳がない!」
と、言い放つも
「最初こそ舐めていたのだろうが、後半は全力だったぞ。それでもあの体たらくと言う事は我等の見積もりが甘かったと言う事だろう。」
と、ベルが返すと更に反論しようとするシュガーを制してサタンが
「ではどおする?此方から仕掛けておいて状況が悪いから尻尾巻いて撤退するか?」
薄ら笑いを浮かべて二人を挑発する。
「我軍が行きます…行き先は…魔王城」
挑発され、ぐぬぬと呻きながらも出陣を決意したベルが魔王城を襲撃すると言い出すとシュガーが
「ちょっと待て!魔王城には我軍が」
と言い出すが
「相手は風神と大天狗の脳筋夫婦だぞ!?貴様らの軍では瞬殺されてヨシだろうよ」
と一蹴され、更に
「貴様らの軍には援軍を阻止する為に幻獣界へ行き、ダメージを与えて来てもらいたい」
と、指示をする。
シュガーの軍は別名ダークハンターズと言われており、狩りや暗殺に特化した軍なのだ。
負けはないだろうが、ベルの軍では幻獣との相性も悪いが為に苦戦は必死の状況の中、相性の良いシュガーの軍を送り込むのは当然の選択肢であろう。
「ヨシ行け!行って魔王軍を叩き潰して来い!」
尚も不服そうなシュガーを横目に命令するサタン。
サタンが決定したことは覆る事はない。
命令は下された。
これにより、動き出す第一軍と第五軍。
第二次魔界大戦は此れからが本番だ
………
……
魔王城天守閣の上で腕を組みかっこ良くポーズを決め、背中合わせで立つ男女。
楓夏と雲海だ。
「残念ジャー共は完勝の様じゃな…超獄丸と腰巾着の方は隔絶空間送りか」
「息子が介入したようだな…」
「まぁ、あの力がまともにぶつかったら幾ら魔界でも崩壊するのは目に見えているからの」
「その息子の方は現在絶賛戦闘中か…まぁ、負けはないと思うが…なんだあの建物は!?」
「フム…砂で作った迷路と言うところかの…まぁ痩せても枯れても妾と雲海の息子じゃ
悪い癖さえ出さなければ負けはない」
そんな事を話し合っていた時、突如として街のド真ん中に大爆発が発生し爆風が周囲の建物を吹き飛ばす。
その中心に現れたのは9000名で構成されるベルの軍であった。
部隊名はフォールンエンジェルス
文字通り堕天使で構成されている軍で地獄界最強の軍隊だ。
「やっぱりアヤツが来おったか!
久しぶりに腕が鳴るのう…雲海よ…」
「あぁ…暴れるぜ…って…オイ!我等の獲物が無くなってしまうではないか!」
「アヤツ等も暴れたくて仕方がなかったのじゃろうて…フム…セラフ級が居る様じゃの…」
「では、どっちが多く倒せるか勝負と行こうじゃないか」
「何を賭ける?」
「そうだな…人間界の温泉旅行三泊四日ご招待と言うのはどおだ?」
「ゴチ!」
「それは儂の台詞だ…!」
爆風は街の中心部から半径500m程を廃墟と化すが物的被害しかなく、人的被害は皆無であった。
それが証拠に現れたベルの軍を認識した途端、攻撃しだしたのだ。
虚を衝かれたベルの軍であったが直ぐに立て直してそれに対応し応戦し始める中、軽口を叩きながらも楓夏と雲海も参戦し大混戦へと発展して行ったのであった。
………
……
幻獣界 闇の森
突如として湧き出るように現れた見た目忍者軍団と形容がピッタリと来る6000名の軍団がリーダーらしき人物の合図で100名のグループに別れて散り散りに消える。
ムゥ…この気配は第五軍ダークハンターズか…
皆の者聴こえるか!第五軍が闇の森から侵入しおった!迎撃せよ!
闇の森での動きを察知したゼロは幻獣界全域に念を飛ばして悪魔軍の来襲を伝えると悪魔軍を迎え撃つ為に動き出す。
「相手は悪魔だと言う事を忘れるなよ!?1グループ10名で行動し、無茶だけはしないように!全員生き残る事を切に願う…行動を開始せよ!!」
ゼロの念を受けたリリスが檄を飛ばすと同時に幻獣達は言われた通りに行動を開始する。