第157話 超獄丸VSパズル軍2
全方位を取り囲む兵士達にも臆することなく立ち向かっていた超獄丸ではあるが、何かを待っているかのような感じで戦っている。
・・・そろそろだと思うのですが・・・
実は、先程仕掛けた2種類の陣は単なる囮で兵士達を足止めさえ出来ればそれで良かった。
本当の狙いは眷属である魔界の蝿を使って兵士達の体内に卵を産み付けさせること。
魔界の蝿は妖怪・悪魔関係なく宿主の力を餌に孵化し、そのまま中から食い破り超獄丸の眷属として仕える事となるのだ。
孵化から成虫になるまで少々時間が掛かるのが難点だが、効果は折り紙付き。
戦闘開始から約1時間が経過した頃
ブ〜ン…
突如苦しみ出した兵士の1人の口から一匹の蝿が飛び出てきたのを皮切りに口だけではなく全身を食い破り飛び出て来た蝿は4体の人形になったかと思ったら超獄丸によく似た姿に変貌を遂げる。
4体のみですか…
まぁ、上出来でしょう…
残り4200…
これくらいなら任せても良いでしょうね
蝿人形とでも良いだろうか、人形となった蝿達は魔力を帯びた超獄丸となり兵士達へと突撃し、当の本人は蝿人形が兵士達を蹂躙する姿を見ながら何処から出したのか、テーブルとティーセット。更にショートケーキを出して優雅にティータイムを楽しんでいる様子。
・・・怒!!
この状況に激怒しないパズルではない。かき鳴らす楽器の音に魔力を上乗せして兵士達のパワーアップを図ろうとしたのだが、魔力を餌にしていた蝿人形にも効果は絶大であったらしく戦闘は激化しただけで情勢は変わらない。
「相変わらずの単細胞ぶりですね
強さのみで軍団長にのし上がった脳筋では仕方がないのでしょうね」
ティータイムを終えた超獄丸は兵士達と蝿人形達の戦闘をチラ見しながら読書を始めてしまった様だ。
「シッカし…人間界の漫画はとても面白いですね
コヨミさんの指導の下で何人か漫画家を育てる漫画家養成学校を設立を考えてみますか…良いかも…オット…!!」
シッカリくつろぎタイムを楽しんでいた超獄丸の頭上に、パズルが撃ち出したいくつもの火球が降り注ぐ。
さぁ、食事の時間ですよ喰らい尽くしなさい!
軽く火球を躱しながら面倒くさそうにチッ!と舌打ちした後、大量の蝿を召喚し戦場へとけしかける。
蝿!蝿!蝿!
鬱陶しい!
クソっ!殺虫剤を持って来るんだったぜ!
蝿人形を相手に苦戦していた兵士達は増援された蝿相手に翻弄され集中力を乱され戦意を削がれつつあり、早くも勝負ありかと思われたのだが
「お困りの様ですゲスね…パズルの旦那」
蝿の大軍団に翻弄されている兵士達の不甲斐なさに演奏を止めイライラが爆発しそうになっているパズルの背後から厭らしい程の猫なで声で話しかけて来た怪しいセールスマン風の悪魔。
この悪魔の名は地獄のセールスマン ボッタクーリ
と言う。
儲け話になりそうな場所には何処へでも現れて超高価で商品を売りつけると言う悪徳商人だ。
パンクロッカーズが使用している楽器もこのボッタクーリが調達しているのだが、超高額で売り付けてくる為にパズルからは嫌われている。
普通なら速攻で追い払うところだが、目の前の惨状に相手をしている場合ではない。
然し、そんな事は知らないと言わんばかりに
「超強力殺虫剤なら有りますでゲスよ♥今なら超特価価格で一本百「要らん!」
差し出されたスプレー缶をチラリと見て要らんと切って捨てるパズル。然し、このままでは兵士達が蝿の餌食になって全滅の憂き目にあうのは必死。
況してや超獄丸は余裕をかましている状況である為に殺虫剤は喉から手が出る程に欲しい筈なのだが、ボッタクーリが提示する金額が予想出来ているがために買う気がしないのだ。
「あっ…さいでゲスか…じゃあ
全滅でゲスな…」
此処まで拒絶されては引さがるしかないと悟ったボッタクーリは百ヘルドルで良いと思ったのでゲスがねぇと言い残し消えようとしたのだが、値段を聴いてタダでよこしやがれと凄む。
タダと言われて流石に焦りつつも「お断りでゲス!」と言い残して消えようとしたのだが、パンクロッカーズに取り押さえられてしまい、殺虫剤を強奪されてしまう。
「・・・やっとですか・・・」
何やら喚き散らしているボッタクーリを無視して殺虫剤を散布始めるパンクロッカーズをやっとだよと言いたげに見つめていた超獄丸は殺虫剤に落とされて行く眷属達をまるで実験動物を見る感じでいたのだが、これには理由がある。
1…2…3…150匹と蝿人形は…おぉ!全て健在ですか…では始めましょう…
それは、殺虫剤に対しての耐性を持った眷属を誕生させることであった。
生き残った眷属は次々と兵士達の死体へ卵を産み付け仲間を増やして行く。
魔力耐性に続いて殺虫剤耐性の付いた眷属の誕生ですか…
クククッ…予想通りで少々つまらないですが…まぁ良いでしょう
パズル軍を見て最初こそ部下を率いて電撃作戦を展開しようと考えていたのだが、悪魔軍の状況を把握した途端、直ぐにその考えを変更する。
と、言うのも第1軍と第5軍の姿が見えなかったからだ。
幾ら雲海と楓夏が警戒に当たるとは言え、もしこれが陽動作戦なら、二人では荷が重すぎると考えた超獄丸は単独で向かう事を決め、そしてこの作戦を思い付いたのだ。
まぁ、雲海殿と楓夏殿の不良夫婦だけでも問題は無いとは思いますが万が一がありますからねぇ
そう呟きながらも未だ状況を静観している超獄丸の余裕の態度に業を煮やしたパズルはパンクロッカーズに檄を飛ばす。
明けましておめでとうございますm(_ _)m
今年もこの小説にお付き合いして頂けると幸いです。