第150話 開戦!
デスキャニオン
ジャンジャングル
ブラックゲート
か…
魔王城の謁見の間にて、妖力で創り出したスクリーンに映し出された映像を盗み見て場所を特定したレイ達家族。
どおやらその3ヶ所で何かあった様子で配下の妖怪が混乱しているのが解る。
ブルー「何故悪魔が…」
超獄丸「是流とパズルとメドゥの軍か…ベルとシュガーの軍が来ていないのが幸いか…」
イエロー「占めて3個師団相当の数ねぇ…不可侵条約を破って何考えてんのよ…」
謁見の間に集まった面々が呻く様に呟くが、出現した後は陣形を整えただけで動く気配はない。
「空!どおせ見て知ってんだろ!?
聴こえてんだろう!?
見ての通り地獄界は魔界へ宣戦布告する!
然し、その前に話がしたい!」
問答無用で暴れ出すかと思われたが、突如として是流が空に向かって叫び声を上げる。
「今すぐ強制送還するべきだ
悪魔王に抗議して引き取って貰え!」
余計な争いは望んでいないブラックが叫ぶがそんなブラックを手で制した魔王が念を飛ばして是流に話し掛ける。
「我等悪魔軍は悪魔王の許可を得て動いている
従って、強制送還とかの措置は無効だと思って良い!
そして俺達の軍にはレイとか名乗る幽霊を寄越せ!
それ以外は受け付けん!」
・・・!!
是流の要求に対して騒然となる妖怪達であったが、レイはそうなるだろうなと思っていた。
是流の軍の中にあの男…そう、悪魔化した村岡が居たのだから。
とは言え、是流の軍は総勢8000名で一個師団級の人数を有しており、幾らレイでもその数を一人で相手をするのは無理があると言うもの。
地獄界からの軍は何れも悪魔王直属の精鋭揃いで中でも是流の軍は事実上地獄界でも最強部隊と言われている程に強い。
是流の要求を受け入れようが拒否ろうが三者三様に動き出してしまうのは必定の状態であるのは間違いない。
「レイを行かせるのでも単独では無理があるよな
助っ人に行きたい所だが…」
「えぇ…出て来たのが奴等なら我等が迎撃に向かわねばならないでしょう」
そう言い出したのはレッドと超獄丸だ。
どおやらレッドはジャンジャングルに出現したメドゥにご執心の様子でブルー達も同意の様子。対して超獄丸はデスキャニオンに出現したパズルにご執心の様子。その表情からはただならぬ因縁を感じざる負えないが、果たして…
「フーム…」
暫し、熟考する魔王そしてモニターに映る是流の軍を凝視した楓夏の本体があいつ等に行かせるしかないと提案するもイマイチ煮え切らない様子。
どおやら、魔界のイザコザに人間の幽霊であるレイを巻き込みたくないのと修行が終わっていないと言うのが半分と言うのが理由らしい。
修行を終えていない=レイを中途半端に解き放つ事は力の暴走を意味するとの事だ。
例え魂が神レベルに到達していようとソレを使い熟せる器が完成していなければイザという時に使い物にならないからと言う理由からだろう。
例えるのなら、軽自動車に大型トラックのエンジンを積んでブン回したらどおなるかを想像したら良いかと思う。
「返答は如何に!?」
返答に困る魔王に対して急かす様に叫ぶ是流に対して仕方がなかろうと楓夏と雲海。
その時…
「呼んだぁ〜〜〜??」
アホ面で鼻糞を穿るポーズで是流の軍の前に出現するレイとレイの家族。
唐突の出来事に驚愕する魔王。
それはそうだろう。
レイ達は魔王の隔離空間に閉じ込められた状態であり、本来は魔王の許可が無ければ出て来る事は出来ない筈なのだ。
筈なのだが、レイ達は隔離空間から脱出し、剰え是流の軍の前に出現して見せたのだから驚くのは無理もない。
そんなレイ達を見てしてやったり顔の楓夏に対してアイツは大人しくすると言う言葉を知らんのかと言いたげな表情の超獄丸とヒーロー達。
因みに雲海はレイ達と深く関わっていないが為にこの時点で完全に蚊帳の外だが、魔王に1つの提案をする。
「ベルとシュガーの動きが気になるので、我と楓夏が城の守りを致します。超獄丸とヒーロー達は其々目的の相手に向かうのが宜しいかと」
と…言い出すと仕方がないと言った様な表情になり行けと指示を出す。
魔王の指示により、解き放たれた超獄丸とヒーロー達は其々目的の相手の軍に向かう事になる。
「全妖怪に告ぐ!
只今を持って魔界は地獄界との全面戦争へと突入する!
全員戦闘準備せよ!」
魔界に住む全妖怪に緊張が走るが、取り乱す事もパニックになる者も居なく速やかに戦闘モードへと移行する。
そんな中…
ケッ…ウケケケケケケケケケケ…
バカ共が…互いに戦力を削り合って消耗するが良いわ!どれ…高みの見物と洒落込もうとするか…
ウケケケケケケケケケケケ…
レイとその家族の捕獲に失敗し、自らの専用空間へと逃げ込み魔界の状況を伺っていた山本八郎座右衛門は下品な高笑いを上げながら魔界大戦を観戦する事にするのであった。