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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第9章 レイの過去
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146話 過去へ8

結局、鮫島は濱田建設側が守ったにも関わらず学園への不法侵入と器物損壊及び窃盗の罪で学園側から被害届けを出されてしまい、敢え無く逮捕となり極めて悪質且つ自己中心的な行為をしたと判断され執行猶予も付くことなく刑務所へ収監される事となった。

尚、濱田建設側は鮫島の逮捕後、掌返しをし、一切の容赦はせず鮫島に対して多額の賠償請求をしたと云うが、果たしてキッチリと払ったのだろうか??

その後、源次郎は達人と仲良くなろうと画策していたのだが、その都度誰かに邪魔されたり追い返されたりしていて達人との再会は叶わずにいた。


1か月後の午後18時過ぎ

匠自動車の駐車場にて

達人を説得するべく来たのだが1人の男が源次郎の前に立ちはだかる


「濱田さんさぁ…いい加減諦めたらどおだい

坊っちゃんは夢をかなえる為に頑張っているんだ

邪魔することは俺達が許さんよ」


立ちはだかったのは作業員の山野だ。

山野は昌子が社長に就任した時に大嶽と共に入社してきた作業員で、ヤクザと間違われる様な厳つい顔に筋肉質のゴツい体つき(ゴリマッチョ)であり、職人気質の頑固者と言う感じだが、その実、子供ウケは非常に良い優しい男だ。

出張整備専門で普段から工場に居ない事が多く、源次郎と会うのはこれが2度目だ。


「聞いた話では貴男は坊っちゃんを跡取りにしたがっているそうじゃないですか

貴男には壊と言う名の息子さんがいますよね?

だったら壊君が跡取りになるのが筋でしょう?」


けんもほろろに言い放つ山野に対して


「知っているとは思いますが僕は建築会社を営んでいるのですが、息子には継がす訳にはいかないのですよ。」


と、素直に自らの心情を吐露する源次郎に「おたくの都合なんぞ知らん」と言い放ち追い返してしまう。

と言った具合で追い返された源次郎は今日もまた達人と面会出来ずに帰宅の途に着いたのだが


「屋台のラーメン屋か…懐かしいな」


鉄道の高架下でポツンと営業している屋台のラーメン屋が目についたので近くの公園の駐車場に車を停めてラーメン屋に行くと、そこには昌子と達人が仲良くラーメンを啜っていた。


「いらっしゃい何にしましょう」


「チャーシュー麺を一つ」


「でさ…真智子ってば突然現れた蜥蜴に過剰反応しちゃってさ…あまりの反応に皆大笑い」


「あぁ〜アイツ爬虫類全般大嫌いだからね

部活の一貫で心スポに行った時のことなんだけど、蜘蛛とか虫には顔色一つ変えなかったのに蛇を見た途端、乙女になりやんの ウロコが付いた生物は魚だけで良いのにって半狂乱になって騒ぐもんだから皆大爆笑でさ…釣られたのか近くに居た幽霊も笑っていた程だったよ」


「あはは…普段は乙女じゃなくて変り者だもんな」


「それ…言い過ぎ(笑)」


「それよか、大学受験の準備は大丈夫なんだろうね」


「やる事はやっているのだからなるようになるでしょ」


「出た…楽天主義野郎」


「楽天主義野郎…って…ひでぇ…」


「フン!親の期待に背いて学者になろうってんだ

これくらいのこと言わせろよ!」


「へいへい…」


源次郎が来たのに気付いている筈なのにまるで居ないかの様な反応そして親子の会話。

二人の対応を見せられて今更ながら己の浅はかさを恥じた源次郎は無言でラーメンを啜りそそくさと帰って行った。


「相手しなくて良かったのかよ」


チラリと源次郎の後ろ姿を見て達人がボソリと呟くと良いよと言った後で


「お前の父親はアイツじゃないからこれ以上関わらなくてヨシ」


と、いけしゃあしゃあと言ってのける昌子にまさか二股してたんかよと突っ込む達人に


「実はアイツは2重人格でさ

もう一人の人格は真司って言うんだけど

アタシと付き合ったのは真司の方なんだよ

まぁ、あの女を妊娠させた後は出て来る事は無かったから興味無くなって捨てただけ

アイツも優しくて良い奴だったけど、アタシの性格について来れるのは真司の方だったからな」


と、嘘とも本当とも受け取れる表情で言う昌子に”二重人格?俄には信じられないね。実は妖怪がアイツの体を乗っ取っていて、ソイツと付き合っていたのでは?”とは思ったが、口が避けてもそれだけは言えない。

理由は昌子がその表情をしている時はマジでブチギレる5秒前だからであり、下手なことを言おうものなら制裁の対象にされなかねないのだから何も言えないのだ。

更に言うなら昌子は高校時代、地域最強のレディースチーム 乱妃龍らんきりゅうの2代目総長であり、歴代の総長の中でも最強と言われている人物で、怒らせると鬼も裸足で逃げ出す様な迫力と人間離れした強さを発揮するのだから手に負えない。


「兎に角真司とは何かと気が合ってな

お互いに酔った挙げ句、雨音大橋の下で一晩中殴り合ったのは良い思い出だよ

まぁ、翌日二人共顔面ボコボコでさ

周囲を騒然とさせてしまったがな」


当時の事を思い出しながらケタケタと笑いながらトンでもエピソードを披露する昌子に呆れるしか出来なかった達人であった。


その後、達人は志望校に一発合格を果たし、大学の側で下宿して一人暮らしを計画したのだが


「家を出て行くのはダメだ

どおしても出て行きたいのなら真智子を連れて行け」


要は一人暮らしはさせない!どおしても出て行くと言うなら真智子と結婚前提で同棲しろと主張し、一歩も引かなった昌子に折れるしかない達人は実家と大学の中間に当たる街で部屋を借り、そこから通学する事にしたのであった。


………

……



四年後…


無事に大学を卒業した達人は真智子と結婚し、大学の研究室でアシスタントとして働きながら考古学者を目指す様にした様で忙しくも充実した日々を送っていた。


壊はと言うと大学卒業後、濱田建設の出資で破王社を設立し、解体業を始める事となった様だ。

源次郎は一線を退き会長職へ収まった様子で、表には出てこなくなったが、廃人同然になっているとの噂もあるが真実は不明のままだ。


そして時は流れて達人30歳の夏


海外の遺跡調査に行っていた達人が帰って来た翌日、壊から同窓会の連絡が入る。

どおやら壊ともう一人皆川梓が中心となり同窓会を計画しているとの事でどおしても参加して欲しいらしい。

タイミング的には何の支障も無いので承諾し、真智子にも話して同窓会に出る事にして雨音へと向かう事にしたのだが…

過去編は次で終わると思います

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