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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第9章 レイの過去
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143話 過去へ5

事件があった翌日、鮫島は学園側から懲戒解雇を言い渡され、更に達人への暴行に対しての被害届けを出され、そして匠自動車から修理費の未払い請求で多額の損害賠償を請求され進退窮まったかと思われたが、捨てる神あれば拾う神ありと言う言葉がある通り、何故か鮫島は濱田建設へ引き取られ賠償金及び慰謝料を全て濱田社長が肩代わりし、それを働きながら返して行く事になり、強引ではあるが事態は沈静化したかに思われた。


然し…


鮫島の逆恨みは留まるどころか増々増大して行った。

逆恨みの原因は達人の整備を受けられなくなった事と損害賠償を請求してきた匠自動車。

更に言うと気晴らしに走りに行った峠で自損事故を起こした事が拍車を掛けていた。


「あ〜ぁ…ヤッちまいましたねぇ…

ソレもこれも達人が裏切ったせいだね」


身体は軽症で済んだが一発廃車になってしまった愛車を前に匠親子への憎悪を増大させて行く鮫島に燃料を投入する男に


「復讐したくありませんか?」


と、余計な入れ知恵をされた結果…


「愛車の恨み学園をクビになった恨みレーサーへの夢を断たれた俺の恨み悲しみ怒りを思い知れ!」


オカ研への襲撃を実行したのだ。

闇討ちも考えたのだが、どんな報復を受けるか解らない。前回は危ういところを壊に匿われ濱田社長が間に入った事により事なきを得たが傷害事件以上の事は出来ないだろう。

考えた挙げ句オカ研の製作したジオラマを破壊し妖綺譚を廃棄する事だけに留めたのだ。

勝手知ったる他人の我が家ではないが、何処をどお通ったら誰にも知られずに侵入して犯行を行う事が出来るか熟知している鮫島は難なくオカ研部室へと侵入し、ジオラマを破壊し妖綺譚を盗む事に成功した。


「スッキリしねぇ…匠を殺してぇ…」


勿論、こんな事をしたところで怒りが収まる事はないのだが、オカ研が学園祭で何もできなくなった事でヨシとしないとならないと思うことにしたのである。


然し…


鮫島の動きは達人と言うより真智子に読まれていて、真智子の助言により対策を打たれていたがためにオカ研側のダメージは殆ど無かったと思われたが

期間と部費の関係でジオラマの再製作は不可能。

妖綺譚に関しては即再発行を依頼したが当日間に合うかどおかが微妙だとのこと。


「さぁ〜めぇ〜じぃ〜まぁ〜〜〜〜〜!!!」


尚人の怒りの絶叫が部室内に響き渡る。

勿論、この時点では鮫島がやったと証拠はない。

何にしても懲戒解雇で学園には近寄れない筈なのだ。然し、尚人だけは犯人は鮫島だと確信していた様子。

そんな尚人にヤツがやったと証拠があるのか?と繁がツッコミを入れると


「こんな物が落ちていたんだが?」


そう言って拾った物を見せてきた。

尚人が拾った物は黒革の長財布で、中には現金3万円とキャッシュカードそして鮫島の運転免許証が入っていたのだ。

コレは動かぬ証拠と言えなくもないが、鮫島に罪を着せる為の偽装工作と言えなくもない。


「なぁ、達人よぉ…お前はどおみる?」


尚人が鮫島犯人説を唱える中、正人が達人に疑問をぶつけると、それまで黙って破壊されたジオラマを中心に部屋の隅々を見て回っていた達人が重々しく口を開く。


「・・・やったのは間違いなく鮫島だと思う・・・」


鮫島の名前が出てきてヤッパリなと思った3人だが此処で思いもよらなかった人物の名前が達人の口から飛び出て来て困惑してしまう。


「それと、鮫島を煽ったヤツがいると睨んでいる」


誰かが鮫島を煽った?

てか、それを出来るのは唯一人しかいないのだが、皆その名を口にするのは憚れた。

そりゃぁ、あの事件の後、壊と濱田社長が鮫島を匿った事と壊もまた妖綺譚の翻訳版を欲しがっていると解っていれば鮫島を煽ったヤツが誰かなんて言わずもがなだろう。

てか、売る予定なので買えよって話なのだが、独り占めしたいのか?何故に?と邪推する達人を除いた3人。


「シャーネーな…プランBだね…正人準備は良いかな?あと、繁と尚人は現場の写真を撮っておいて欲しい」


深いため息を吐いた後、達人は3人にそう告げると黙ってことの成行を見守っていた市原に被害届けは出させて頂きますので今から警察に連絡しますと言い残して部屋を出ていく。


「ちょっとまて達人!警察は絶対に呼ぶな!」


公衆電話へ向かう達人を追いかけて来た市原が引き止めに掛かるが振り向きもせず公衆電話へと向かい受話器を取り雨音署の番号を押す。


ハイ!そこまでよ!


呼び出し音が続いている間、イライラが止まらない達人に対し、そう言いながら強引に電話を切ってしまったのは国語教師の猪飼和歌子だ。

騒ぎを知った和歌子が阻止したのだ。


「邪魔すんなや!」


電話を阻止された達人が物凄い形相で和歌子を睨み付ける達人に怯む事なく


「気持ちは解るけど、兎に角落ち着く!」


と、言い返して来るが落ち着く事など出来はしない達人にどおしても警察に通報するのなら匠君は退学処分にしますよと脅してくる。


「退学だぁ!?

脅すつもりか!?

一体何の権利があってそんな事言ってんだ!?

俺達は被害者だぞ!?

退学させれるもんならしてみろや!

その時は全力で学園を潰してやるぞ!

ほら!やってみろよ!?」


売り言葉に買い言葉。

一触即発の雰囲気が辺りを包み込む。

あの事件の後、坦々と学生生活を過ごしていたが、壊と濱田社長には腸が煮えくり返る想いが消えずにいたのだ。

そして今回の事で達人の怒りは沸点を超えていたが、そんな達人に退学の言葉が怒りに水を掛けるどころか燃料を投下してしまったのだ。


「あんな事をヤラれてやり直すにも時間も部費も足りない!オマケに被害届けもダメ!テメェが全責任を取って補填してくれんのか!?あ゛あ゛!?」


それに俺には前回の件で鮫島からも学園側からも正式な謝罪も無ければ逆恨みされてんだぞと言ってやると、そこまで知らなかったのか言い過ぎたごめんなさいと口だけの謝罪をした後で警察だけは許して下さいと土下座して懇願してきた。


「資金も何とかするし先生達も協力するから…ねっ…頼むから…」


強引に怒りを鎮めようと目論んだが宛が外れて収集不可能な状況になってしまったと感じた和歌子は今度は泣き落としに切り替えたのだ。


「だったら今直ぐ動けるヤツ動かして俺達に協力しろや!土下座して下らねぇ泣き落としなんかしてんじゃねぇぞ!!」


本当は怒り任せにボコボコにしたかったのを辛うじて抑え込んで吐き捨てるように言い残して部室へと戻る達人。

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