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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第二章 修行と事件と記憶探しと
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第14話 真智子の怒り4

真智子の怒りはこのお話で終わりです。

「ヘッ!?私!?」


「そうそう、先程君と紺野に取り憑いた男と2人で騒いでいただろう?」


「確かに被害に遭う人が出ない様に騒いで注意換気してましたけど…てか、何で私と話出来るの?」


どおせ見えていないのだからと思っていた刑事さんが私を直視して話し掛けてくるので無い心臓が飛び出るかと思った程に驚いたわよ。この刑事さん一体何者なの?


「俺は生まれつき力が強くてな。見えなくても良い者が見えてしまうし、相手に話しかける事も出来るのだよ」


「そうなのね…で?私を呼び止めて何をしようっての?目的が有ってこの世に残っているから成仏なんてしてやらないわよ!?」


「ハハッ!そんな事はしない。話を訊きたいのはアイツ等の事だよ。ほら、何も持っていないだろう?純粋に君と話したいだけだから」


成仏するのが当たり前だからと言って成仏させようとするかと思いきや須藤と紺野の話を訊きたいと上着を脱いで何も持っていない事を証明する刑事さん。


此処は素直に従って恩を売っておくのも悪くないかもな


と提案してくるレイに乗っかってみるのが吉かな?と思ってどんな事を訊きたいの?と切り出してみる。


「奴らについて君の知ってる事全部だ!」


この刑事、言うに事欠いて知っている事全部話せだと?それに付き合う必要は無いのだけど?レイの言う通り恩を売るのも悪くないと思っていたけど、ヤメヤメ!幾ら刑事とは言え教えろと言われて素直に教える程お人好しではないよそれに私は生前から警察大嫌いなの!なので、ヤダ!と言い残して消える事にしたのだけど…


「あぁ…言い方が悪かったかな?アイツ等は1度捕まえたのだけど証拠不十分で釈放されているんだ。だから今度こそ確かな証拠を集めて刑務所に送り込みたいんだよ!だから協力してくれ!幽霊にどんなお礼をしたら良いのか解らないけど、それなりのお礼はさせてもらう」


深々と頭を下げて協力を願い出る刑事さんを困らせても仕方がないので2人の住み処に案内する間に知っている事を話す事にする。

刑事さんの車に乗るとカーナビが付いていたのでアパートの位置を入力させて車を発進させる。


この刑事さん名前を森田辰雄と言い、年齢は50才独身。1度犯人に食い付いたら離れない所からスッポンの森田と異名が付く。


「あの部屋が二人の部屋よ」


廃工場からアパート迄の所要時間は約10分。その間にとりあえず引ったくりを働いていた事と鴨リストと呼ばれるノートが存在していてそれを元に詐欺を働いていた事を話して、後の話は鴨リストを抑えた後で話すと伝える。


「・・・コレか・・・?」


無用心な事に鍵が空いていたので突入してノートを探す刑事さんにコレがそうよと教えると、ノートの写真を撮っただけで持ち出す事はしなかった。

直ぐに家宅捜査をさせて証拠品を抑えさせるからと言いながらパソコンを起動させて中を覗いていたのだけど、何かを見つけたらしく何やら操作をした後、部屋を出る。


「さて・・・続きを訊かせてくれないかな?」


次に連れてこられたのは刑事さんが住んでいる部屋で3LDKの部屋が4部屋からなるマンションだ。

どおやらこの部屋に独り暮らししているらしい。


「あの二人は確実に人を殺してるわ」


お礼に出された高級日本酒とレンチンの物だったけど焼き肉の香りを堪能しつつ私が知り得た事を全て話した。


「じゃあ、館花勲と松野源治と言うホームレスを調べたら裏は取れそうだな?後は鴨リストに載っていた人達か」


メモを取りながら私の話にウンウンと相づちを打つ。仕事熱心なご仁だと僅かながらに森田刑事に好感を持ちながらも話は終わったので部屋を後にする。


「姐さん大丈夫でしたか?」


「えぇ、あの森田と言う刑事さん、中々の人物よ?」


警察署の前に行くと勲が出て来たので二人の状況を訊いたら案の定知らぬ存ぜぬ不当逮捕だと喚き散らしているらしい。

私は勲に森田刑事とのやり取りを話してやると少しだけ明るい表情をしてありがとうございますと頭を下げるので、後は森田刑事に協力するように依頼して雨降山に移動する事にする。勿論、アンテナの設置は忘れてないわよ?


「館花勲…コレか…自殺となっているな…それにしては遺書が見付からなかったのか…ン?誰だ!」


松野の事は部下の者に任せて館花勲の事を調べていた森田は突如出現した気配に室内を見渡す。


「初めまして、私の名は館花勲…姐さん…いや…真智子と名乗る幽霊と行動を共にする幽霊でございます。」


「・・・そうか・・・紺野の中に居たのは君だったのか…君の事は真智子君から訊いてるよ…でも、この資料を見る限りでは遺書は見付からなかったらしいが状況証拠は自殺を示している。コレを覆す証拠は有るのかな?証拠が無ければ奴らを追い込む事は出来ないぞ?」


「解っています。ですからこうしてあなた様の前に出ました。松野源治の事は訊いていますよね?」


「あぁ…聞いてるよ」


「では、田澤康子と云う女を探して下さい。松野と不倫関係にあった女です。この街には田澤姓はそう多くはないから直ぐに見つかる筈です。」


「田澤康子ねぇ…彼女もまた殺されている可能性は十分に有るのではないのかな?」


「いえ、アイツ等に憑いてパチンコ屋に行った時に見かけました。間違いなく田澤康子は生きています。」


「そうか…解った!」


先ずは松野だな


そうと決まれば行動有るのみ!森田は部下に田澤康子の身柄の確保やらその他諸々を指示した後で自らは松野との接触を試みる事にする。


結果として森田と森田の部下は優秀の一言では足りない程に優秀で瞬く間に証拠を集め、須藤と紺野を自白に追い込んだのであった。


「後は警察のお仕事だから手出し無用だよ」


田澤康子を確保したのは良いけど、最初は黙秘していたが、当時の事を調べあげていた森田刑事の取り調べに観念して松野の事を自供する。それによると、二人の指示により松野に近付いた田澤は松野と何度もデートを重ね、その都度松野からお小遣いを貰い、お酒を飲まして酔い潰し、気付いたら二人全裸でベッドの上…「夕べは激しかったわ…」とか何とか述べて煙に巻いていたらしい。


そう、松野に対して裸は見せてはいたものの1度も肉体関係を結んでいなく、頃合いを見計らって妊娠騒動を興して松野を追い込んだのだ。


「大金を掴んで気持ちが大きくなって隙が有ったのでしょね…全ては騙された私が悪いのです」


と、事の顛末を訊いた松野が言っていたらしいけど、騙す方より騙される方が悪いなんて事は騙す側の単なる言い逃れ屁理屈でしかないと私は思う。

だってそうでしょう?騙される方が騙す方より悪いなんておかしいでしょう?真っ当に働きもせず口八丁手八丁で相手を騙して相手の持ち物を掠め取る事が良い事じゃないよね?


だから私は断言する


騙される方より騙す方が悪い!


と!!


ともかく真相を知った松野は


「訴訟を興す!示談はしない!絶対に許さない!!」


と、高らかに森田刑事に宣言したとの事だけど、その前に社会復帰してマトモに働け!全てはそれからだ!と悟されたらしい。


こうして、ひったくりから始まった事件は1つの区切りを見た。

鴨リストを作成して全国規模で詐欺を働いている謎の組織の件が残っているわけだけど、それは私には関係の無い話しなので無視で良いわよね?


本当に…


けど…


結果として2人に復讐を果たした勲をこのままにしておく訳には行かないわよね?事情はどおであれ、悲劇の口火を切ったのはこの男なのだから!


「ヘッ!?俺は松野の息子じゃない?って、姐さん冗談キッツいッスよ」


森田刑事と別れた後で松野に憑いていた幽霊から訊いた話を伝えたのだけど、信じていない様子で笑い飛ばそうとする勲。


「じゃあ、貴方の母親に真相を訊きに行きましょうか?」


そう言って勲を勲の母親が住んでいる家に案内させる。


お邪魔しまぁ~す


勲の母親 館花百合は現在3人目の旦那 伊東昌幸31歳と結婚していて現在は伊東百合と名乗って駅から歩いて3分の8階建のマンションの303号室に住んでいる。

ちょうど旦那の昌幸の帰宅に遭遇した私は勲を促して昌幸と一緒に中に入ったのだけど、見えない人達で助かったわ。部屋を見渡したのだけど中には仏壇どころか息子の遺影すら何処にも飾ってはいなかった。息子を供養する気持ちは無いみたいね。

松野と同い年の筈なのだけど、見た目30代前半で通りそうな美貌の持ち主で料理も上手みたいね。帰宅した旦那に抱き付いてクネクネと腰を振ってセックスアピールをしているみたいだけど、正直言ってキモいだけ。


てか、百合さん…素敵な趣味がおありで…


見たくは無かったけど、主従関係真っ只中の夫婦性活をタップリと見せ付けられ、私のフラストレーションが溜まりまくった頃に寝たので勲を百合の夢枕に立たせる。


以下は会話のみ


「此処は…?」


「母さん…」


「その声…まさか勲なの?」


「そうだよ勲だよ」


「貴方死んだ筈じゃぁ」


「そうだよ須藤と紺野って男に殺されたんだ」


「殺された?だって自殺したって警察が」


「偽装殺人ってヤツでさ…やっと二人が捕まったから最後の挨拶に来たんだ」


「そう…変な言い方だけど、あの世に行っても元気でね」


「ありがとう…でさ…最後に訊きたい事があるのだけど、正直に訊かせてほしいんだ」


「…解ったわ…」


「最初に断って置くけど、嘘吐いたら一緒に連れて逝くからね?そのつもりで」


「解った」


「松野の姿を見て感じたんだけど、俺、松野の息子じゃないよね?」


「・・・」


「どうなんだい!?」


「そうよ!?貴方の父親は黒田敏夫よ!」


「じゃぁ、何故俺にあんな…俺が松野の息子だと嘘を吐いたの?」


「ごめんなさい…あたしを捨てた松野が幸せを掴んだって訊いてとても悔しかったの…でね、せめてもの復讐にあんな嘘を吐いて貴方を松野にけしかけたの」


「そのおかげで俺は殺されたんだよ!?」


「ごめんなさいとでも言えば貴方は浮かばれる?少しは怒りも収まるの?バカじゃない?嘘を鵜呑みにした貴方が悪いじゃないのよ!」


「へぇ…そうやって息子を使い捨ての駒みたいな扱いをして自分は良い気持ちってか?」


「そうよ!?女である限り何時までも良い女でいたいし幸せを追及する権利は生きている者の特権よ!!」


「だよな?それは否定はしないよ?けど、俺の遺体はちゃんと供養したの?てか、お墓くらいは建てたの?」


「建てる訳無いじゃない!あたしの嘘を鵜呑みにして勝手に突っ走って殺されたアンタなんかに供養する気持ちなんてこれっぽっちも残っていなかったから無縁仏として葬ってあげたわよ!」


( ゜д゜)ハッ!


「やっぱりそうだったんだ…アイツらを唆して俺を殺させたのはアンタだったんだな!」


「チョッ!ちょっと待ってよ!売り言葉に買い言葉じゃない!?あたしは嘘は吐いたけど何も知らないわよ?実の息子を殺させるなんてしないわよ!!」


「アッそう!?紺野が全てゲロったから時期に警察がアンタを逮捕しに来るから覚悟しておけ!この雌ブタビッチめ!!」


「ちょっと勲?待ってよ…ねぇ!」


勲!!


「…夢か…嫌な夢を見た…あの子が夢枕に立つなんてあり得ないじゃない・・・」


翌日


「警察ですが、息子さんの事でお話をお訊きしたいのですが、署まで同行して頂けませんか?」


「ハイ…」


この後、伊東百合は殺人教唆罪で実刑判決を受けて刑務所入りすることになったと云う。


因果応報とは正にこの事だよね!悪いことは出来ないわ…ホント…


こうして一億円を巡って起きた事件は本当に幕を降ろした訳だけど、欲に目が眩むと人はこんなにも醜くなるものだと改めて思った私は勲に最後の選択をさせる事にする。


「姐さんに成仏させて貰えるのなら本望です」


自分の死の真相を知り、更に犯人達が逮捕されてこの世への未練が断ち切れたのか、このままパシりとして私の役に立つか私に成仏させられるのかどちらが良い?と2択を迫った私に迷わず成仏を選んだ勲を成仏させる事にしたのだけど、あれだけ悪い事をしたので行き先は地獄にしか行けないと思う。


でも、同情はしてあげないよ?私だって明日はどおなるか解らないのだし、この世の理に逆らっている以上、現世をさ迷うか地獄に逝くかの2択しか残されていないのだから。


「サヨナラ…姐さん…生きてる時に会いたかったです!」


黄泉送りの陣を出現させると光ではなく無数の黒い手が勲を闇へと連れ去る。


比較的に軽い場所に到着していると良いなと思いつつ、雨降山へと向かう私にお疲れさんと労うレイと交代した。


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