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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第9章 レイの過去
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第141話 過去へ 3

治人「誰か来てくれ!!

達人!起きろ!」


鮫島「離せ!

俺の言うことを聞かないコイツはこの場で死ななければならん!」


治人「何でテメェの言うことを聞かないだけで達人が死ななければならんのだ!?!?」


鮫島「うるせぇ!黙って殺させろや!!

これ以上邪魔するのならテメェもぶち殺すぞ矢野!!」


繁&正人「!!」


治人が助けを呼ぶ声を聞き付け最初に駆け付けたのは繁と正人だ。

怒りに支配され、錯乱した鮫島の力は人間とは思えない程の力強さで治人だけでは押さえきれるものではない。

そんな場面に駆け付けた繁と正人は3人がかりで鮫島を部室から引きずり出したまでは良かったが、尚も達人を暴行するべく3人を振り解こうとしたのだが、そこにおっとり刀で駆け付けた体育教師の市原直人が鮫島を柔道技で投げ飛ばした後、引き摺る様に連行され英語教師の中山摩耶が達人を介抱しようとしたのだが、頭部からの出血に驚いてしまいパニクってしまう始末。


「大丈夫だと思いますが出血している場所が場所なだけに病院に連れて行きます」


結局、達人は気を失ったまま正人と摩耶が保健室へと連れて行ったが、校医の猿渡敦子さわたりあつこが万が一を考えてそのまま病院へ連れて行かれた様だった。


市原に連行され校長室へと連行された鮫島は事の経緯の説明を求められていた。


「た…匠が悪いんだ…俺の…俺の言うことを聴かないから…」


頭を抱え呪文のように繰り返す様に呟く鮫島を見て校長が


「言い訳は聞く気はない!

生徒に手を出した事が全てだ!

知りたいのは何故君があんな暴挙に出たか!?

その経緯だけだ!」


鮫島の言い訳を聞こうとせず、事の経緯を説明する様にとバッサリ切り捨てる校長の剣幕に気圧されたのか鮫島はポツリポツリと話し出す。


「では、自らの夢が叶うかも知れない状況になったから匠君を巻き込もうとした訳だね?それが断られたからカッとなったと?」


呆れた様に校長が問い質すと


「アイツには自動車整備の才能があるのは間違いないんだ!あんな幽霊オタク共と仲良くやっている暇なんぞ勿体ない程だ!

アイツが整備した車を運転したヤツなら誰だってそう思う!

だから俺はアイツの才能を伸ばしてやりたいから俺の車を整備させていたんだ!」


と、半ば開き直った様に鮫島が言う。

それに対して校長が


「確かに、本人が持つ才能を伸ばしてやるのは良い事だと私も思う。けどね…幾ら才能があってもそちらの方に興味がなければ意味がない。況してやそれを強制してやらせようなんてのは本人とってはありがた迷惑な話しだし、それ自体が嫌がらせ…いや…虐めでしかない!もし、君が逆の立場なら耐えられるかね!?」


と、言い放つ。

例えば、司法書士になれる資格と頭脳を持ちながら面倒だからと言う理由で全く畑違いの仕事をしている人がいるように達人は機械弄りに関しては然程興味を示さないのである。

それは達人が理系大学ではなく考古学がある文系大学への進学を希望していることからもハッキリしているのだ。


「それと、解らないのは何故学園祭当日に事を起こそうとしたのかね?オカルト研究会は出し物があるらしいから彼は休む事は出来ないと思うのだが?」


それは…


問い詰められ口をつぐんでしまうが更に問い詰めようとする校長に対して頑として口を割ろうとしない鮫島に対して深いため息を吐き冷たい表情で処分が決定するまで自宅謹慎を申渡す。


………

……



「では、鮫島先生の言うことを聞かなかった匠君を一方的に殴ったと言うことですね?」


「はい…言い訳するつもりは有りませんが、鮫島がやっていた事は教師全員気付いておらず…」


鮫島を家に返した後、校長は理事長室に赴き理事長である浦川義助に事の顛末を報告し、今後の指示を仰いだ。

浦川義助は学園の教育方針とかは校長に一任しているが、学園内での不祥事にはアレルギーでもあるのかと疑う程の拒否反応を示す。それどころか、不祥事を隠蔽しようものなら強烈な制裁を食らわすのである。

現に今の校長の前の校長は生徒の犯罪行為を黙認しただけではなく、その生徒を庇ったが為に学園をクビにしただけではなく二度と教師を出来ない様に制裁を加えている。

そのことを知っている現校長はこうして報連相をしに来たのだ。


「それで、匠君の怪我は大丈夫なのでしょうか?」


「頭部をモップの柄で思い切り叩かれたみたいで校医の猿渡先生が病院へ連れて行ってますので時期に連絡が来るかと」


「そうですか…兎に角無事を祈ろうではありませんか」


理事長の心配とも残念とも受け取れる表情に心底怯える校長。

理事長がこういった表情をする時は心底怒っている時だと知っている校長はとばっちりが来ないように祈る事しか出来なかった。


………

……


浦川学園の校医である猿渡敦子は達人を連れて病院へと来ていた。


「あの…猿渡先生ですか?」


「貴女は?」


処置室へ運び込まれた達人が出て来るまでの間、部屋の外で待っていた敦子に声を掛けて来た女性に対して一瞬だが警戒してしまう。

ブルージーンズに無地の白Tシャツその上に派手目なジャケットを羽織った出で立ちに肩甲骨辺りまで伸びた髪の毛を束ねた姿に美形の男性とも思える中性的な表情。正に男装の麗人と言っても過言ではない程の女性。

この女性こそ匠達人の母 昌子だ。

警戒色を発する敦子に怖じけづく事無く「この度はウチのバカ息子が」としおらしく挨拶して来たので敦子も挨拶した後で


「息子さんは現在治療中です

立ち話もなんですから座りませんか」


と昌子を促し処置室前の長椅子に二人並んで座る。


「で?犯人は鮫島とか言う教師だと言うの本当?」


「ハイ…お恥ずかしい話ですが」


「申し訳ありませんが、落とし前はキッチリと付けさせて貰いますので覚悟しておくようにとお伝え下さい。」


凛とした声で昌子が言う。

この言葉を聞いてそれだけはと言いそうになった敦子に畳み掛ける様に鮫島の事を話し出した。

事のあらましを聞いて何とも言えなくなった敦子は校長に伝えておきますと返事をしたに留まる。

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