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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第9章 レイの過去
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第140話 過去へ 2

前置き


35年以上前のお話

昭和と呼ばれていた時代

私立浦川学園3年C組


以前にも書いたが、当時の浦川学園は進学校としてはカナリ有名で理系大学を目指すなら浦川学園が近道と言われる程であり、また、有名な学者も何名か排出している程であった。

そんな学園に通う有名人2人


匠達人と濱田壊


何故有名人かと言うと、達人は運動神経は大した事なかったが、機械に強い。特に実家が自動車整備工場とあって子供の頃から機械を触っていたせいなのか自動車整備は一級整備士並の腕と知識を有している。

更に、成績もトップクラスの頭脳の持ち主とあって付いたあだ名が「タツジン」であった。

夢は学者になること


対して壊の方は運動神経や成績もカナリ良いが、本人の意思に関わらず物を壊す他人の人間関係を壊すと言った問題児。

有名なエピソードとして、新車のボンネットを触っただけでボンネットが開いたとか、オープンしたてのコンビニに入ろうとした所、自動ドアのセンサーが故障してしまって入れなくなり周囲に迷惑をかけたとか、新品のシャーペンは一週間保たず壊れてしまう為に鉛筆を愛用している。

そんな事があって付いたあだ名が「ハカイマ」だ。

夢は嘘かホントか解らないが、建築士になること



あだ名の方は周囲の人達からは「まんまじゃん」と言われている。

豆を食った俺は強烈な睡魔に襲われてしまい爆睡してしまった様だ。


んでもって以下のような夢とも現実とも受け取れる体験をすることになる。


9月中旬放課後


学園内は10月初旬に開催される学園祭に向けて大賑わいである。

クラスは勿論、各部活も皆一丸となり出し物の制作に勤しんでいる。

勿論、オカルト研究会(通称 オカ研)も今迄の研究成果を発表するために出し物の制作に熱を上げていた。

オカ研は創部してから一度も出し物なんて出していなかったのだが、それには訳がある。

雨音は怪奇現象や妖怪伝説の話は其処此処に点在しているのだが、1の話が10になっている話が多いので元々の話を掘り起こす作業を部員一丸となり情報を集め復元していて、今年になって漸く終了したので今回の学園祭で発表しようと流れになったのだ。


それと同時に風龍神社に伝わる妖綺譚の翻訳が完成したので翻訳版と風龍神社の協力を得て御守りの即売会をしようと企画していた。

本来オカ研には15人の部員が在籍しているのだが、幽霊部員が多く活動しているのはたったの4人しかいない。

皆幽霊オタクかと言わんばかりの深い知識を有しているのは当然であり、好奇心が旺盛なので活動自体は活発だ。

現在活動している部員は以下の通り


部長   匠達人たくみたつひと

部員1 矢野治人やのはると

部員2 糸居繁いといしげる

部員3 根本正人ねもとまさと


以上の4人。


「よく解読出来たな

俺も読めるけどよ

完璧には無理だ

凄いよ部長」


オカ研3代目部長である匠達人に話し掛ける部員の根本正人が話し掛けてくる。


「解読自体は難しかったけど、文字の癖が解れば割とな…」


正人の褒め殺しに対して謙遜しつつペンを走らせる達人が翻訳している本に目をやると意外なことが判明する。


「お前…ソレって7巻か?」


学園祭で発表する予定は1〜5巻迄なので6巻以降は翻訳する必要はない筈なのだが、どおやら8巻全てを翻訳する気らしい。


「チョッ…オマ…字汚すぎ」


と、言いながら爆笑しながらも達人が翻訳したノートを読んで行くが、正人には物足りない内容となっていた様子であったらしく


「てか、お前…フェイクばかりと言うか流れそのままだけど内容は創作しているよなコレ…」


とツッコミを受ける事になる。

本の内容とノートの内容が違うことに気が付いたのだ。

そこまで言うと急に周囲を気にしだした達人は誰も居ないのを確認した後、お前は口が堅いから大丈夫だろうから言うけど他言無用なバラしたら全裸で旧幽玄坂トンネルに捨てて来るぞと前置きをした後で事の経緯を話し出す。


正人「マジかそれ…」


達人「間違いない…少なくとも2人いる」


正人「誰と誰よ」


達人「壊と化石の2人だ」


正人「壊は兎も角としても化石は意味がわからん

だってお前を専属メカニック扱いしてんじゃんよ」


達人「裏で壊が何かしているのかもな

アイツ等は俺を玩具扱いしているからな」


正人「そこまでヤラれてやり返さないのかよ!?」


達人「化石は母親を通じて修理代をその都度請求しているし、理事長にも報告済だよ裏が取れ次第処分するとの事だ」


正人「ふ〜ん…で?壊は?」


達人「何もしない」


正人「はぁ?何でだよ」


達人「アイツの背後にヤユヨが憑いているから手を出せない…アレはメッチャ危険だ」


正人「危険って…そんなにか?」


達人「あぁ…正体までは解らないが、アレが動けば物が壊れるんだよ

ハカイマのあだ名はアレが1枚噛んでいるって思ってる」


正人「その場を見たのか?」


達人「あぁ…アレを倒すには神様クラスの強者に協力して貰うしかないよ」


正人「マジか…関わらんのが1番か…然し、見えるのは厄介だよな」


達人「全くだよ

見えない感じられないのがどれだけ幸せかって思うよ

それより、そっちの方の作業は順調なのか?」


正人「後はジオラマが出来上がれば完璧だよ」


達人「予定通りでちょっと怖いかな」


正人「出た!心配性!」


達人「ほっとけ…」


2人の話しに出て来た壊とは濱田建設の御曹司で化石とはオカ研の顧問であり社会科教師だ。

壊は父親の跡を継ぐべく建築科のある大学へ進むべく猛勉強中だが、何故か首塚・胴塚の謎に興味を示していて何かと理由を付けては達人に絡んで来る。

化石の名は鮫島宏一(26歳)と言う名でスピード狂。

20年落ちの真っ赤なスポーツカーに多額の金を掛けてフルチューンして夜な夜な隣県の峠に走りに行っている。

ボロボロになった車を後生大事にしている事と性格が頑固親父そのものなのも手伝って付いたあだ名が化石と言う訳だ。

オカ研の顧問をしているのだが、オカルト系の話は大嫌いで何故顧問をしているのか疑問。

壊が知りたがるのは解らないでもないけど、化石が知りたがるのはどお考えてもおかしいので警戒するのも無理はないだろう。


何はともあれ学園祭への準備は順調の様だ。


然し…


「先方の都合が合わなくてその日しか空きがないみたいなんだ。

代役なら濱田が引き受けるってやる気満々だしよ…良いだろ?なぁ…頼むよ」


学園祭迄後一週間となった日の放課後。

部室へ行こうとする達人を鮫島が呼び止め人気のない場所へと誘導し、以下のことを話し出した。


先日走りに行った峠に有名なレーシングチームの関係者が居て鮫島の車に興味を示した。


「お兄さん凄いね。

それにその車…

少し見せて貰っても良いですか?」


一度走り終えて待機所で休憩している時、近く居た男に話しかけられる。

最初こそ怪しんでいた鮫島であったが、男から名刺を渡されて態度が一変し、是非とも見てくださいと低姿勢でその男の車を見てもらう事にしたのだ。


「この車を整備しているのは貴男ですか?いやぁ〜良い仕事しているよ」


渡された名刺にはレーシングチームの名前とチーフメカニックの肩書きと共に本名が書かれていたが、鮫島は少々落胆していた。

と、言うのも鮫島の夢はレーサーになることだったのでレーシングチームの人が態々会いに来てくれたとあってスカウトに来たのかと思ったのだが、当の本人は車にご執心の様子。


何時もそうだ…

俺のドラテクには目もくれず車車車…


街道レーサーとしては有名人な鮫島ではあるが、それよりも注目を浴びるのは車なのだ。

それが誇らしくもあり面白くない。

然し、幾らスポーツカーと言えど20年落ちの車はオンボロとしか言いようがないが、その車を無茶な運転にも耐えられる様に整備しているのだからそちらの方に注目が行くのは仕方がないだろう。

チーフメカニックの名前は松原義一まつばらよしかずと名刺には書いてあった。

松原は鮫島の車を褒めちぎった後で整備をしている人物について問い質して来たのだが、全てを話してしまうのは憚れた為に自動車整備工場の社長の息子にお願いしていると伝えたが、それを聞いた途端目の色変えて何処の整備工場かと問い詰めてくる。

あまりにしつこいので自分もチームに関わらせて欲しいと交換条件を付け達人の事を教えたのであった。

その後、松原には高校生にそんな事をさせるなんてと説教されたが、松原は達人の技量に惚れ込んでしまい是非とも会いたいと申し出たのだ。


その日が学園祭当日だったのだ。


「だったら学園祭に来てもらえば良いのではないですか?それに、オカ研でもない人間に代役をして貰う義理も無ければヤツに借りも無いですし、反則でしょう?

それに、会って話をするだけなら学園祭が終わった後でも良いのではないですか

どおしても昼間に外で会うのはお断りです」


狙いは妖綺譚だと感じた達人は断ると冷たく言い放ち、先日行った心スポのレポートの纏め作業に取り掛かる。


コイツ…

フザケてんじゃねぇぞ!


誰がお前のことを育てたと思ってんだ………!!


鮫島の体をドス黒いオーラに包まれる。


「鮫島先生!何やってんですか!?!?」


生徒の声に鮫島が気が付いた時には達人は頭から血を流した状態で倒れていた。

部室に来た矢野治人が惨状に驚きながらも鮫島を達人から引き剥がし助けを呼ぶ。

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