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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第9章 レイの過去
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第139話 過去へ

魔王城内で総てが証されようとしているとは知らない俺はズルズルと引き摺られたまま料亭へと連行されている。


「俺は荷物でもキャリーケースでもねぇ!逃げねぇから離せよ」


と、言ってみたのだが「喧しい!黙れ!」と返してくるのみで取り付く島もなし。只管俺を引き摺って料亭目指して歩き続ける。

全ての抵抗を諦めて引き摺られること約1時間。


「入れ!」


立派な門を通り引き戸を開けて初めて引き摺るのを止めた魔王に促されて料亭の中へと入る事にしたのてあった。


「お待ちしておりました

そちらがくだん

奥座敷へどおぞ」


中は本格的な料亭となっており、中へ入るとカウンター席が有り奥の方に幾つかの座敷が存在している様だった。

出迎えた女性に促され奥座敷へと案内される。


カコーン


奥座敷へと入ると途端に聴こえてくる獅子威しの音が部屋中に響き渡る落ち着いた感じの畳の部屋。

その部屋の中央に置かれたテーブルの前に置かれた座布団に姿勢を正し正座をしたかと思ったら対面の座布団を指差して


「何をしている

レイ!お前も座れ」


と、促して来たので仕方なく座る事にする。

この時、既に俺は何とかしてこの空間から逃げ出す方法は無いかと模索していたが、如何せん此処は魔王専用空間であり逃げ出すどころか1ミリの抵抗も許されない事が判明する。

てか今、俺のことを名前で呼んだか?てか、先程までの高圧的な態度じゃなくまるで親しい友人と話す様な気軽く?


何で?


困惑する俺の事などお構いなしに女性に向かって「準備せよ」と言うと女性は恭しく挨拶をして消える。


「真智子とローラよ出て来い」


声こそ優しさが混じった様な感じだが、一切の抵抗は許さんと言ったオーラ全開で俺の中から出て来いと促す魔王。

程なく出てきた二人に対し


「真智子お主」


真智子と俺の魂が融合している事が気に入らなかった様子で融合解除は出来ないのかと問い質す。

それが出来たら苦労はしてないのだけどと俺が反論しようとしたところ、真智子が俺を制してそれは自力では無理ですと返すと困った顔をする。

理由は、これから俺に起こる事に真智子の存在が邪魔になるし下手をしたら真智子が消滅してしまう可能性が有るとのことだ。


「私はあの時、魂ごと魂喰に食われる運命でした

そんな私が此処まで来れたのはローラとレイのおかげだと思ってます。消滅したとしても悔いは「それでは駄目なのだ!」


またも言葉尻を奪う様に駄目だと言い張る魔王に対してありがとうございますと言うことしか出来ない真智子であったが、実際問題として真智子は限界に近い。

と言うのも、水面様の空間での修行の後から意識を維持するのが困難になりつつあったのだが、魔界に来てからそれが酷くなって来たのである。

それに気が付いたローラがサポートしていると言うのが現状だ。


「仕方ない…」


次の瞬間、俺はもとより真智子もローラですら何が起きたか解らなかったと言うより理解不能の事態が起きた。


く…食ったぁ?


そう、一瞬の出来事で止める事も出来ずに魔王が真智子を食ったのだ。


「ほぅほぅ…80%と云うところか…かなり深い所で融合している様だな…どれ…」


真智子を食った魔王は口をモゴモゴさせた後、そう呟くと手を伸ばして俺を捕まえそのまま食った。

呆気にとられた俺は何も出来ないまま一瞬にして魔王の腹の中へ…と思ったのは俺の勘違いだったのかと思ってしまう程の時間だった様で口に入れた途端、直ぐに吐き出してしまう。


「不味っ!!ヤッパ呪いは不味い…然し、コレで2人は分離は出来た筈だ…どれ…」


食っておいて不味いはねぇだろうよと思ったのだが、何故か体が軽いと言うか少しスッキリとした感じがしたので「?」と言った感じがあったので慌てて確認すると…


アレッ!?

エッ!?

マジ!?


何をしようと離れる事が出来なかった真智子の本体が俺の中に居ない!更に妙に体が軽くなっている様だ。

あまりのことにポカーンとする真智子と混乱する俺を満足そうな表情を浮かべ


「コレから起こる事に真智子の存在とお前に掛けられた呪いが邪魔だからリセットした」


と、言いのけたのだ。


コレから起こる事?

先程から何言ってやがる。

呪いはいざ知らず、どおやって俺と真智子を分離させたんだ?説明を求む。

そんな俺の思考を読んだのか


「我に出来ぬことなし!!」


と、ドヤ顔で力強く言い切るが、理屈までは解っていない様子。然し、どおやったらどんな結果になるかは手に取るように解るのだそう。

魔王様…マジもんの天才かよ。


そうとしか思えない展開に驚きと戸惑いを感じていた中、先程の女性が「お待たせしました」と言いながら音もなく入って来るものだからマジで驚いたよ。

そんな俺を見て「いやぁ〜傑作傑作」と腹を抱えて笑い出す魔王様に少々ムッとしながらも女性が持って来た物を見ると…


一粒の豆!


見た目何の変哲もない


マメぇ〜〜〜!


サーセン…豪華な食い物や酒を想像していた俺が悪かったです。


豆を前にガックリと項垂れる俺が意味不明だと言わんばかりに


「何をしているサッサと食え!」


と、半ば脅すような口調で豆を食うように強要してくる魔王。

ヤロ〜…いつかぶっ倒す!と固く心に誓い豆を口に入た途端、覚醒してから今まで感じたことがなかった強烈な眠気に襲われ抵抗出来ずに深い眠りに堕ちていった…


「何で?幽霊は基本的に寝る事は無いはずなのに…」


崩れ落ちて寝こける俺に毛布を掛ける女性を横目に魔王に対して疑問をぶつける真智子に


「レイはコレから夢を見る」


コンコンと眠るレイの頬をツンツンとつつきながら更に


「過去を旅する素敵な夢だ

お前達も見るか?」


と言った後で真智子とローラの額を右手人差し指でツンと突く。


エッ!?何?何が起きたの?


直接頭の中に流れ込んでくる光景に戸惑いながらも魅入る事しか出来ない真智子とローラ。


「良い夢を…」


その魔王の言葉を最後に真智子とローラも意識を手放す事となったのであった。

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