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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第2部魔界篇 第8章 いきなりですが
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第137話 魔王城にて 1

魔王城へと繋がっているゲートを潜った俺達。


「…エッ…真っ白!?」


「理解出来たとはおもうが俺達と逸れるなよ?迷ったら永遠に彷徨う事になるぞ」


ゲートを通れば直ぐに魔王城へと出るものだと思っていたのだが、中は白一色で何もない世界が広がっていた。色が同色で周囲と同化しているせいか見た目は解らないが道は確かに存在している様子だ。

途中、幾つか分かれ道が存在していた。どおやらこの道は魔界でも限られた者達しか使用出来ない特殊な道らしく魔界の彼方此方へ繋がっていて道を知らなければ迷子になってしまうだろう。そんな場所を迷うことなく歩いているブルーとイエローの後をついて歩く。

体感時間では5分といったところだろうか唐突に巨大な扉が出現し、二人が扉の前に立ちこう言った


「「開門!!」」


音もなく開いた扉の先に広がる光景は…


「日本の城!?」


そう、見た目は日本の城そっくりの建物と見事なまでの日本庭園。

それを一望出来る位置に出た俺達に近付く執事服の鬼


超獄丸だ


「これはこれは皆様お揃いで…

魔界警察とのイザコザは決着が着いたのですか?」


恭しく挨拶しながらも厭味ったらしい言葉を吐く超獄丸に「まさかとは思うけど俺達を捕まえる気満々とか言わないだろうな」と言い返してやると


「ハンター共から幻獣界を救って頂いた恩人にそんな事は致しませんよ。ただ…」


ただ…?


その先と言うより言いたいことは何気に予想は着いた。

だから次の言葉を遮ろうとした俺より先に


「貴様が早とちりしたのが原因であろう?

妾達には何ら落ち度も無く、況してや貶めてやろうとか言った意図は無い!」


と、楓夏様が割って入ってピシャリと言ってのけた。

その一言で一瞬で場の空気が凍り付き、喧嘩へと発展しかねない雰囲気が漂い始める。


「まあ、良いでしょう…此処は最も戦闘を嫌う場所。それに、今の私は貴方方を魔王様の下へ連れて行くのが役目ですから」


額に青筋3つも作りながらも作り笑顔で冷静に俺達を案内すると言い出した超獄丸はクルリと背を向けて着いてきて下さいと言いながら城へ向けて歩き出す。


「コレは…」


「すごい…」


「何か落ち着く…」


超獄丸の後ろに着いて歩いている途中、何人かの妖怪とすれ違ったり目撃したのだが、妖怪本来の姿ではなく全員が人間の姿をしていたことに驚いた。

それだけではなく、庭もキチンと整備された日本庭園に剰え獅子威しも設置してあると言った凝りようで、更に驚いたのは城の中は完全に準日本家屋。

然も、侵入者対策として罠もキッチリと仕掛けられているとの事だ。

後で知った事だが、魔界の文化は人間界と殆ど変わらないとの事で、街並みも人間界と同じで通貨まで存在している。

違うのは人間界では電気を使うのだが、妖怪は自らの妖力を電気の代わりに使用しているので人間界で言う電気は無いし乗り物も妖力を利用して動く方式を採用しているのでガソリン等の燃料も存在していない。

動力に妖力を利用しているのは、魔王の指示によるものなのだが、コレには確たる理由がある。

それは妖力の底上げにある。

妖怪は肉体的な強さも必要であるが、基本的には妖力の高さが物を言う事が多いのが妖怪の世界。普段の生活を人間界の様に過ごしていたら逆に衰退してしまう。

それではイザと言うときに何の役にも立たない。

どおすべきかと悩んだ挙げ句に思い付いたのがこの方式なのだ。そのおかげもあって妖怪一人一人の戦闘能力はかなり高い。

乗り物の原理に興味を持ったレイは超獄丸に許可を取って魔界の技師の指導の下で車らしき乗り物を一台バラして調べたのは別の話。


超獄丸の案内で連れてこられたのは城の天守閣に当たる最上階。どおやらこの部屋は魔王の部屋ではなく謁見の間として利用されているようであるが、見た目は完全に茶室であり、そこでは女性型の鬼が優雅にお茶を立てているところであった。


「粗茶ですが…」


「お構いなく…」


と出されたお茶と羊羹を訝る様に見る俺達家族の事などお構いなしに「人間界と同じ物じゃ安心せい」と言いながらお茶を啜り羊羹を齧る楓夏様。

てかさぁ〜幾ら何でもこんな場所で寛げってか?出来ねぇよ。

それでも楓夏様がお茶を啜りだしたおかげで俺以外の全員と言うか、真智子やローラまでも俺の中から飛び出て来てお茶を啜りだす始末。因みに、ローラは人形になっていたから図々しいと言うか図太いと言うか何と言うか。

緊張している俺がバカみてぇじゃねぇかよ!

いや、毒も入って無いし変な小細工もしていないのは解るよ?お茶は玉露だし、羊羹に至っては甘味堂の栗羊羹だしよ。てか、何で魔界まで来て甘味堂なんだ?意味わからんぞ


然し…その…

ドオにも落ち着かないと言うか…

ハッキリ言うと、幻獣界に連れてこられた直後から得体の知れない何者かに監視されている様で落ち着かなかったんだけど、この魔王城に来てそれがハッキリとして来たんだ。

その視線は見ると言うより視て観察していると言った方が良いだろう。


その数2つ


視線の正体を知りたくて影分身を残し密かにその場を離れようとすると、真智子もローラも俺が何をしたいのかを察知したのか隠密行動に移ろうとした。


その時 


「オヤオヤ…せっかく人間界のお茶とお茶菓子を取り揃えたと言うのに何か不満でも有りましたかな?」


俺がお茶とお茶菓子に手を付けないのが気に入らなかったのか隠密行動に移ろうした事に気付いたのか解らないけど、視線が無くなったと思ったら謁見の間から襖を隔てた奥の部屋から好々爺が現れた。


「どおにもこおにも

明らかに俺を監視する様な視線を向けておいてお茶を

とか言われてもなぁ」


と、態と不機嫌そうに返事をしてやる俺に対して「はて、何のことやら解りませぬなぁ」といけしゃあしゃあと述べる好々爺。

てか、この爺さんが魔王 空って訳じゃあ無さそうだな。

何故かって?

見た目がドオとか妖力とかも全く関係ない。幾らでも誤魔化せるからな。

決定的な事と言えば気配だな。

そう、個人が発する気配。上手く隠している様子だけど、隠しきれない極々僅かに漏れ出ている気配がこの爺さんの正体を俺に知らせていた。


「いや…失礼千万無礼を承知で申し上げますが、貴方様は魔王様ではありませんね?」


腹の探り合いは面倒だし、ノラリクラリと躱されてしまうどころか口八丁手八丁で丸め込まれるのがオチだ。

然し余計な時間を掛けてしまえば楓夏様以下身内全員から余計なツッコミを受けるのは必死だろう。

だから、短期決戦へと持ち込もうとしたのだが今度は


「オヤ?よもや我等が魔王様を疑うとは見上げた根性してますね?」


人間の幽霊如きが頭に乗りおって!コロサレタイノカ!?


敬愛する魔王が疑われたとあってか、鬼の本性剥き出しで臨戦態勢へと移行する超獄丸を「ヤメんかバカモノ!」の一言で制して


「ならば聞こうではないか

何故お主は私を魔王ではないと思うのかね?」


と、問う好々爺に対し


「風貌や妖気なんてのは幾らでも誤魔化せるものでしょうが、極々僅かに漏れ出てる気配が貴方様の正体に気付かせてくれました。

トォ〜〜〜〜〜〜〜っても似てるのですよ

貴方様と楓夏様の気配は

それにもし貴方様が魔王であると言うであるのなら一人称が私と言うのも違和感アリアリなんですよ

この事を総合して導き出した答え

ズバリ申し上げると貴方様は楓夏様の身内に当たる方ですね!?」


下手くそな推理かも知れないけど、俺の中では確信に近いと言うか確信していた。


この好々爺は風神と対をなす存在

つまり

雷神であると

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