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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第二章 修行と事件と記憶探しと
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第13話 真智子の怒り3

勲が松野の息子では無かった?離婚された事がそれだけ悔しかったって事?そう言えば、勲の母親の事を何も訊いていなかったわね。

まぁ、そんな事まで想定に入っていなかったから仕方がないよね。

そんな事を考えつつ勲に会いに行く事にする。


「待っていましたよ姐さん」


私が来るのが気配で解ったのか部屋から出てきた勲が早速二人の状況を伝えて来る。

アンテナを設置してあるおかげで知ってはいるのだけど、嘘を言っていないかどおか確認しないといけないから黙って勲の報告を聞く事にする。


「二人は今朝がた目を覚ましましてね…」


どおやら寝落ち作戦は成功したみたいで空になっているカップラーメンの容器を見て、食後いつの間にか寝落ちしたと結論に達したとの事。


「今日はパチンコ屋の新台入れ替えみたいで紺野の金でノリ打ちをすると言っていまして、今はパチンコ屋に居る筈です」


ノリ打ち? 


意味が解らなかった私は勲にノリ打ちの事を訊ねてみた。


「まぁ、その人達でルールは違うと思うので一概にはこうだとは言えないのですがね…奴らがやっているノリ打ちはですね」


そんな前置きを言ってノリ打ちの事を話してくれた。


ノリ打ちとは

誰か1人がスポンサーとなり、スポンサーが用意した軍資金でパチンコやスロットを打つ事で、勝てば利益を山分け、負ければ負けた人から負けた分を後日回収となる。

細かい事は省くが、須藤と紺野の場合、紺野が用意する軍資金20万円でスタートし、勝てば純利益から山分けとなるが、負けた場合は負けた方の使った分を回収すると言ったルールを採用している。

ノリ打ちの場合、パチンコは際限なく負ける可能性が高いので二人が狙うのは必然的にスロットになる。

理由としては、新台初日なら高設定台をゲットする確率が高いからとの事だが、こればかりは打ってみないと解らないのが現状。

と言うのも、幾ら最高設定で1日ブン回しても引きが弱ければ平気で負けるし、引きが強ければ最低設定で大勝する事だってある。

然し、パチンコと違ってスロットには天井と言うものが存在していて、台によってはそこから大爆発する事だってあるので、勝率から考えてもスロットに偏るのは当たり前の話しかも知れない。


この街のパチンコ屋は1店舗しか存在していなく、然もボッタクリ店との噂が絶えない店である。


その理由の1つとして新台入れ替えとは名ばかりで中古の台を仕入れているのが現状で然も店内の8割程の台が正規の基盤から裏基盤と呼ばれる基盤に入れ替わっているとの噂が付き纏っている。

裏基盤とは、出ない台を出る台に変化させる基盤を言うのだがこの店は出ない台、つまり、パチンコなら通常図柄は揃うが777はおろか確変に突入しない。スロットならボーナス引いてもATに突入しないと言った現象が頻発した為、遠隔操作で当たりを操作する基盤を導入しているともっぱらの噂である。


勿論、単なる噂でしかないし、現実問題として基盤を入れ替えることで資金も嵩むしバレたら逮捕される可能性だってあるリスクを犯す事はしないと思っていたのだけど、どおやらそれは甘い考えだったと気が付いた。


そう、先日、勲に出ない台を出る台に変化させる方法を教えたのだけど、その方法は私が生きている時に元店員から聞いた話で信憑性は高いものの真相は解らなかった為にスルーしていた案件。


その内容とは、あのパチンコ屋の基盤はエラー解除ボタンの押方に秘密が有り、一回押しただけでは作動はせず、連続で3回押すとボッタクリモードに切り替わり、4回押すと超ボッタクリモードに切り替わり、5回押すと爆裂モードに切り替わるものとなっているらしい。


すべての台は店長が管理しているのだが、裏ルートから情報を手に入れた店員が店長の休みの日を狙ってエラー解除ボタンを押してためし打ちした所、情報が正確であった事が判明する。


後日、その件がバレて店員が元店員になってしまったのだが、その時に店長の背後で蠢く黒い影を確かに見たと言う。


前回、私が勲に指示したのはボタンを5回押させる事のみで、その後の台の挙動を確認させる事。


とまぁ、話が横路に逸れた様な感じになったけど、此処は超ボッタクリモードにして軍資金全てを失わせる事にしましょう。


9時30分 


やってるやってる♥️


二人が座っていたのは案の定新台で、ご丁寧に並んで打っていた。

新台初日とあって裏基盤は作動させていなかったみたいで初っぱなから少し出たみたい。

二人とも調子よさげにスロットを楽しんでいる。


「さぁ~て始めましょうか♥️」


これから起こりうる現象に二人がどんな反応を示すか楽しみで仕方がない。

勲に二人ともトイレに行かせる様に指示をした後私は壁抜けの要領で台に入り込みエラー解除ボタンを4

回押してみる。


15時過ぎ


全く出ない台に執着した挙げ句、用意した20万円は既に吸い込まれ追加で用意した10万円も残るは2万円のみ。帰りたい気持ちになっている二人ではあるが、それは私が許さない。


「おっかしいなぁ~高設定は間違いない筈なのに全っ然でねぇじゃねえかよ!」


どおやら感覚で高設定だと確信していたらしく、粘れば必ず出ると信じて打っていたらしいが出る兆候が無い為に最初の軍資金が無くなった時点で帰ろうかと相談しだしたので私と勲が憑依し、無理やり打たせている。



二人が打っている台は冥王2と云う名の最新台で前評判でもくそ台認定間違いなしと噂されている台。

この台は最高設定でも余裕で負ける程のスペックなのだが、一撃必殺の爆発力を秘めているとあって前作から根強いファンがいる。

ほっといても負ける可能性大なので見ているだけでも良かったけど、万が一が有り得るので超ボッタクリモードに切り替えていたのだ。


「また天井単発かよ!・・・前回大勝したからマークされてるのか・・・?」


「まさか・・・遠隔とかか?」


「それは無いだろうよ?」


「だよな?考え過ぎだよな?」


「今日はたまたま運が悪いってだけだろ?高設定でも平気で負ける台なんだからよ。仕方ねぇ…」


全然出る気配の無い台に苛つきながらも元々勝てる可能性が薄い台なので運が悪かったと諦めて帰ろうかと思ったが、此処まで負けてしまっては少しでも資金を回収して帰りたいところ。

然し、店内を見渡しても出そうな雰囲気を持った空き台は見当たらないので諦めて帰る事にする。


と…此処で入れ替わる様に座った二人のお客。


そんな二人に出ねぇ台に座りやがったよと心のなかで毒を吐きながら立ち去ろうとした所


うぉっ!!


打ち始めて3ゲーム目、突如として画面がブラックアウトする2つの台。そしてシンプルではあるがボタンを押すと共に発生する演出の後に大当たりを祝福する様に鳴り響くファンファーレに思わず振り向く須藤と紺野


「何でだぁ!?何で俺たちにそれが出なかったんだぁ~!!」orz


散々打ち込んで出なかった台がお客が替わった途端に大当たりする事などはよくある事だけど、ここまで極端な事が起きるとは思ってもみなかった須藤と紺野はガックリと項垂れる事になる。


「この悪党め!コイツらが離れた途端にモードを切り替えやがって」


事の一部始終を見ていたレイが私に悪態を吐いているけど今は無視。でも、あれだけ爆発するとは思っても見なかったわ

2台とも閉店まで止まらなかったし。

裏基盤恐るべしって事かしらね。


奴等は散々悪事を働いているのだからこれくらいのバチは当たっても良いじゃん?


それはそうと、このパチンコ屋って…


改めて店内を見渡したら7人の幽霊が睨む様に私達を見つめていて、更に店を覆う様に黒い怨念みたいた気が充満している。

まぁ、言い訳にしかならないけど、私は須藤と紺野にしか興味なかったから気付けなかっただけなんだけど、そんな私にやっと気付いた?って小バカにした様な感じでレイが話し掛けてくる。


パチンコ屋は人の持つ喜怒哀楽が集まりやすい場所だしある意味これは仕方の無い事なのかな?と思ったりしたのだけど、後で調べる必要有りね。


そんな事を考えつつ、半ばヤケクソ状態で店を出る二人を追う事にする。


須藤と紺野の成績


投資金額

紺野14万5千円

須藤  同額


回収金額


0円



彼等にとって過去最大級の負けであった。


|д゜)チラッ


|д゜)!! 


|彡サッ!!


ん?


何だぁ?


朝から何も食べて居なかったのも手伝ったのか、ひったくり出来そうなカモを探しながら繁華街に在る ザ・ラーメン と云う名のラーメン屋に入り席に着いたのだが、何故か店内に居た全ての人がよそよそしい態度を取る。

このラーメン屋は食券を買って注文するスタイルの店で二人が入った時に居たお客と店員合わせた数は15人程居て割りと賑やかな雰囲気であったのだが、二人が店に入った途端、何故かお通夜になった様な雰囲気に変わり、店員ですら無言で食券を受け取り軽く睨んで行く。


俺達何か嫌われてね?


圧し殺した声で須藤が紺野に問い掛ける。


あぁ…間違いないねぇ…てか、パチンコ屋から出た後から妙な視線が気になってるけど、気付いたか?


あぁ…ひょっとして…


それはねぇだろうよ?


店の雰囲気も店内の人の態度も気に食わない紺野が苛つきながらも出てきたラーメンを啜りながら返事をする。


それもその筈で、パチンコ屋を出てから私と勲は 


この人達は引ったくりや詐欺を繰り返す犯罪者です!誰か捕まえて下さい


と叫びながら憑いて居たのだから。


生者の背後には必ずと言っても良いほど背後霊や守護霊が憑いている。

それは先祖だったり身内であったりするのね。

私達が幾ら騒いでも殆どの生者には声は届かないけど背後霊や守護霊には届く。

なので私は1つの賭けに出た。


幽霊同士のコミュニケーションは殆ど無いとは言え、身近に犯罪者が居たら生者を守る様な行動を取る事に。


結果としてこの賭けは成功した。


そのおかげでパチンコ屋から繁華街に到着するまで、誰1人として遭遇していない。

これ以上、この二人罪を重ねさせ無いようにと言うよりは被害に遭う人を増やさない為よ。


その場に居た人達全てに文句を言いたい気持ちになりながらも警察沙汰は避けたい二人は早々にラーメンを食べ終えた後で廃工場へと向かう事にしたのだけど、此処で予想外の事が起きた。


須藤「ヤベッ!此処に捨てたカード類が無くなってるぞ!?」

 

紺野「あぁ!?どこぞのホームレスが持って行ったんじゃねぇ?何の問題もねぇよ!」


他人のカードを使うのはリスクが高い為、使わず捨てるのが一番なのだが、万が一にも拾った者が捨てずに使おうとしたり警察に届けたりしたらそこから足が着く可能性が有る。

然し、二人が引ったくりをする場合はフルフェイスのヘルメットを被りナンバーも途中で折り曲げてパッと見では解らない様にしているので警察が動いた所で何の問題も無いと判断する紺野。

それよりは今すぐにこの廃工場から出て二度と近付かない様にするのが得策と考えた紺野は須藤を促して廃工場から出ようとしたのだが…


「君達此処で一体何してる!?」


急いで工場を出ようとした二人は先程は居なかったグレーのスーツを着た3人の男に呼び止められてしまう。


「おやぁ?良く見たら紺野君と須藤君じゃないですか!?元気してました?www」


ゲッ!スッポンの森田!!


声を掛けて来た男の顔を見た途端、顔を青ざめさせたと同時に逃げようとしたけど直ぐに取り押さえられ連行されてしまう。勲はまた後でと言い残して紺野の中に入り込んで憑いて行く。


「あーぁ…もっと苦しめてから捕まらせようと思っていたのにな」


一瞬の事で呆気に取られていた私は物足りなさを感じながらもボソりと呟いてその場から移動しようとしたのだけど…


「あー…そうそう、君にも少し話を聞きたいのだけど良いかな?」


と私の方を向いて言い出す刑事さん。

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