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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第7章 激突!魂喰
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第128話 珍客万来

「やっと出てきた

遅いのよこの鈍間のろま!クズ!」


そう、コヨミが呟いたと同時に魂喰の腹が裂け、裂け目から光が漏れる。


「ふぅ〜…危ないところだったぜ…

てかそれ、モラハラだかんな!!

好き勝手言いやがって後で覚えていろよ!」


裂け目から飛び出てきたレイがコヨミを睨んで悪態で返すと「やれるもんならやってみな!この変態!」と返して来る。

売り言葉に買い言葉…まぁ、軽い夫婦喧嘩みたいなもんなのだけど、俺の意図に気付いて時間稼ぎしていた筈なのに悪口を口にしたのだから怒るのも仕方がないだろう。

とは言え、奥の手である不動明王を出さざる負えなかったのだから悪口の1つも出ると言うものか?

そんな俺とコヨミのやり取りを見ながら傷の修復を試みながらボー然として見ていた魂喰が直にチャンスと見たのか猛烈に襲いかかって来た。


オット…


魂喰の攻撃を軽々と躱しながらも俺とコヨミの口論は止まらない。そんな俺とコヨミにブチギレたのかいい加減にしろと喚きながら、より激しく攻撃をして来る。


「テメェ等…何処までこの俺様をコケにするつもりだ!!

夫婦喧嘩なら俺様の腹の中でしろや!!」


魂喰が生み出した妖気弾が俺達の周囲に出現して襲い掛かり爆発した。


「フン!俺様をコケにした罰だ……………って………ハァッ!?!?!?」


全方位からの妖気弾爆撃を食らっては完全に仕留めた筈だと思っていた魂喰は弱っている筈の俺達を取り込もうとして近寄ろうとしたのだが…此処で驚愕の声を上げる。

ギャグ漫画かよと思う様な顔で驚いた魂喰に思わず笑いそうになるのを必死で堪えていると「あり得ねえ…あり得ねえよ」と言い出した。

それもその筈で、俺は二身合一の姿でコヨミに至っては女性版の不動明王(そう言う表現がシックリ来る)と化した姿になっていたから驚くのも仕方がないだろう。

俺の方はまだしも、コヨミの方は完全に融合した状態だ。

たかだか人間風情がそんな姿になる事が出来るなんて思っていなかったらしく、それ故に驚いたと言った方が良い。

てか、食った魂の性別でそこまで変化しているテメェが何を驚いているのかと思っていたのだが、普通はそんな姿になるのは無理らしい。それ故に先程の言葉になったとの事だ。


「そっちがそう来るなら

こっちはこうするまでだ!」


そう言いながら自らの手足を切り離し都合8体のコピーを作り出して襲い掛かって来た。


「喧しいわ!!」


一瞬の出来事だった。

襲い掛かる8体のコピーを殴り蹴りそして斬り捨てて葬り去る。

コヨミとの口喧嘩のせいでいい加減頭にきていた俺は一瞬で6体コヨミは2体のコピーを倒して見せ、更に魂喰の側頭部に蹴りを見舞ってやった。

コピーは本体の強さの90%である。

勿論、能力はそのままなので厄介極まりない。

そんなコピーの集団を一蹴して見せたレイとコヨミだったが、レイが6体も倒してしまった事にご立腹の様子で「こういう場合は半分こでしょうが!」と文句を言っている。


「知らねぇよ!早いもの勝ちだろうが!」


口論しながら魂喰へ向かう俺とコヨミを迎え撃つ魂喰であったが、此処で異変に気付いた様だ。


「ち…力が…」


そう、急速に力が抜けたのだ。

勝ち目が無くなった魂喰がその場から脱出を試みるも、力が入らないから何も出来なくなっている。


「ちっ…ちっくょ〜!!」


俺とコヨミが魂喰の脇を通り抜けると一呼吸置いて8つに斬り裂かれてその場に崩れ落ちたのであった。


「あ…アレッ?核が無い…逃げた?」


魂喰の残骸を調べていたコヨミが核が無い事に気が付きオレを見る。


「ン?核…?あぁ〜忘れてたよ…」


そう俺が言うものだから思い出した様な声を出すものだから俺が核を持っていたのかと思ったらしく驚いたけど、俺が出したのは…


「ワリぃワリぃ…窮屈だったよな」


魂喰の中で保護した魂だ。

俺の中から出て来た10の魂を見てガッカリした様子のコヨミを横目にもう捕まるなよと言った後であることに気が付く。

保護した魂を開放したのは良いけど未だに結界は解除されてないんだよ。

なので、黄瑠璃庵に避難させることにした。

そう言われた魂はそれぞれに俺に御礼の言葉を言った後で黄瑠璃庵へと入って行く。

それを見届けた後、俺の中からローラが出て来て何かを吐き出す。

それは結界に包まれた魂喰の核だった。

妖斬刀で魂喰の腹を掻っ捌こうとした直前、何かを見つけたローラが俺から飛び出して直に戻って来たのだ。

その時は何をしていたのか解らなかったけど、まさか核を見つけていたとは思っていなかったよ。


「か…返せ…俺の核…」


頭だけの状態の魂喰が息も絶え絶えで叫んで来る。


しぶてぇ〜

まだ意識有ったんかい!

返せと言われて返すバカが何処にいんだよ!


俺は吐き捨てる様に言って核を壊そうとしたのだが…


「悪いがそれを壊される訳にはいかねぇ!」


聞いたことが有る声が黄瑠璃庵の方向から聴こえて来た。


「レッド…と?」


うぅ〜わぁ〜…妖戦隊 怪レンジャー勢揃いかよ!てか、5人勢揃いの姿なんて初めて見たんだが?

5人揃うと壮観だなぁ〜と思っていたのだが、更に別の方向から


「申し訳ありませんが、その核は私共に引き渡して貰いましょうか」


と、声が聴こえて来る。

声に反応した全員が声の方向に顔を向ける。

声の主は幽霊屋敷の屋上。つまり、何時も俺達がお客を見ている場所に声の主と他4名が立っていた。


鬼…か…


大小様々ではあるが、それぞれに頭から生えている立派な角が彼等の正体を物語っている。


「魔王軍幹部とその筆頭が雁首並べて何の用だ!

人間界は俺達が担当の筈だろ!?」


叫ぶレッドとの距離なんか無かったかの様に一瞬で詰めた5人の筆頭と思しき鬼が二言三言言った後、俺に近付いて来て


突然の無礼をお許し下さい私は魔王軍近衛隊長を努めております超獄丸と申す者。

以後、お見知り置きを

と丁寧に挨拶をして来た後で魔王勅命で大食(魂喰)の核の回収に参上致しましたとの事だった。


鬼と言えば、ゴツいイカつい見るからに粗暴な印象を持っていたのだけど、この超獄丸と言う鬼はその真逆でイケメンで優男。更に近衛隊長と言う肩書きから想像出来ない程に執事服を着こなし、それに見合う様な優雅な身のこなしときたもんだから厭味ったらしい事この上ない。

そんな鬼達が魂喰の核を渡せと迫って来ている。


「悪いがそれは聞けねぇなぁ…」


超獄丸の要求を却下する俺。

だってそうだろ?そもそもコイツの存在がなければ和樹も死なずに済んだしローラだってあんな事をしなくて良かったんだ。それに、コヨミだって漫画家を辞めることも無かったかも知れない。

全ての元凶である魂喰を始末する権利は俺に有る!

そう伝えたのだが、超獄丸は聴く耳持たず引き渡しを要求してくるのみ。

そして、肝心の怪レンジャーの面々も事の成り行きを見守る姿勢になっている。


「どおしても渡さないと申すなら力ずくになりますが?」


要求を拒否し続ける俺に対して最後通告を突き付ける超獄丸に対して観念した俺は抵抗すること無く核を引き渡した。何故抵抗しなかったと言うと、超獄丸の威圧により身体が動かなかったと言うのが正解だ。

圧倒的な実力差そして、底知れぬ恐ろしさを感じ取った俺の身体が意思と反して金縛りにあったかの如く動かなくなったのだ。


「まぁ、コレが自由に行動出来ない様にして頂いた事に関しては素直に礼を言いますし、後日日を改めてお礼に参ります」


俺から核を受け取った超獄丸はそう言い残して仲間と共に魔界へと帰還して行った。

勝手に怪レンジャーと呼んでいたが、魔界での立場は秘密警察で近衛隊長の超獄丸の方が立場が上との事。

更に、今回は魔王の勅命との事なので逆らう事が出来ないとの事だ。


「何か消化不良になっちまったなぁ…」


核を破壊してスッキリしたかったけど、それが叶わずに奪われたのだから仕方がないし諦めるしかない。


然し…


「アレは本物であって本物ではない!コレが正真正銘の本物じゃ!」


そこに現れた楓夏様とお義父さんとお義母さん。

どおやらウーチューバの方も片付いた様だな。

でも本物であって本物じゃないとはこれ如何に。

訳が解らず思わず問い質した俺に対して


「コレがヤツの本物の核じゃ

ホレッ!」


そう言いながら赤黒い色で染まった直径1cm程の小さな玉を出してホレッと言いながら俺にほおって寄越す。


「悪いがそれは俺達が貰い受ける」


そう言って核を横取りするレッド。

お…オイ…超獄丸と良いレッドと良い何でソレに拘るんだ?元はと言えばソレは俺達の獲物だぞ!?

違和感を感じつつもレッドに問い質すと


「コイツは魔界に置いても第一級の犯罪者でよ

指名手配が掛かっているんだ」


との返事。

妙に納得したのだけど、では先程の超獄丸が持ち去った核は一体…

疑問に思った俺は楓夏様にその事を問い質すと


「アレはソレをコピーした核にトラップを仕掛けた偽物じゃ。」


トラップ?

俺はトラップの事を訊くと楓夏様は仕掛けられていたトラップについて話し出した。


曰く

トラップは触れただけでは作動することは無いが傷つけようものなら大爆発を引き起こす代物なのだそうだ。


て、事は…


「今頃アイツ等…」


トラップを作動させてもさせなくてもタダでは済まない事は想像に難くない俺達は堪えきれず笑い出してしまったのであった。


………

……


「シッカリしろよ!帰るぞ!」


幽霊屋敷のトリックを暴いて暴露動画をアップする予定があんな事になるとは思いもしなかった俺は動画をアップするかどおか迷いながらも二人に活を入れて撤収するべく駐車場へ辿り着いた。

まぁ、此処まで来たら大丈夫だろ。

幽霊を見てしまったと言うショッキングな出来事からよく復活出来たもんだと思いながらも、どおやって映像を編集しようかと考えていたのだけど、その時…


「よお、楽しんでくれたか?」


不意に現れた男が馴れ馴れしい態度で近寄って来た。

誰?と思いながらも二度と来たくないと思うほどに堪能しましたと返事をすると、項垂れている明宏に向かってこんな事を言い出した。


「なあ、動画をアップすることによってメッチャ儲かるんだろ?俺達にも出演料くれよな」


そう言って深々とオジギをする男に「あ…あぁ…」と生返事をする明宏であったが、次の瞬間、「ヒィッ」と情けない声を挙げる事になる。

なんと、90度に折れ曲がった姿勢から首だけを180度回転させて再び出演料はくれよなと言い放ったのだ。

モロに見てしまった明宏は勿論、日向までもが腰が抜けたのかその場にへたり込んでしまった。

まぁ、2人にとって今夜のことはトラウマ決定だろうな。

これも散々幽霊を馬鹿にした報いだろうなと思ったのだけど、俺には関係のない事だ。

然し、此処で絡んで来た男の要求を無視する事は出来ないと思った俺は動画のアップと今回の収益の半分を出演料として渡す事を約束した後、2人を車に押し込んで幽霊屋敷を後にしたのであった。


途中で見付けたドンピーで2人の下着とボトムを買ったのだけど、どんな状態になったかは2人の名誉の為、敢えて言わないことにする。


第1部はこれにて終了です。

番外編を挟んで第2部に突入致します。

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