第124話 ウーチューバー来る
「やぁ〜〜〜〜〜〜っと帰って来れたぁ〜〜〜〜〜!!!」
人間界での時間はたったの3日だけど、水面様の空間で過ごした時間はナント30年!
妖怪はどおか知らないけど、神様の空間は空間の持ち主が任意で時間の流れを調整出来るみたいだな。
おかげで短期間で膨大な時間を修行に使えたのだけど、やった事と言えば基礎訓練のみ!
「基礎が出来ていないから霊気の操り方にムラが出来る!それが全てに置いて影響していると言うことに気付かないとこの先何をやっても無駄だ!此処に居る間は基礎訓練のみだ!」
ローラ覚醒の後、そう言われて基礎訓練に明け暮れた俺達は10年程経過したところで模擬戦闘と称して水面様が用意した自動人形相手に組み手をしたのだけど、霊気の使い方がシッカリしてきたせいか以前とは比べ物にならない程の力を発揮することが出来る様になっていたことに気が付く。
一応、基礎訓練はしていたつもりだったのだけど、 シッカリとやるとこんなにも違うものなんだと改めて思い知らされた。
それからは、基礎訓練をしつつ、ローラの育成に力を入れていたのだよ。
そして、修行の仕上げと現状の力がどれ程のものか知りたかったのも手伝って、五平殿とタイマンでの練習試合をやったのだけど、結果はカウンターでのワンパンで俺の完敗でした。
いやぁ〜…鮮やか過ぎて笑いしか出なかったよ。
だってよ…俺の攻撃を目を閉じた状態で全て躱した上でのカウンターだぜ?単に格の差を見せつけられたってレベルじゃねぇよ。
ありゃぁ実力の10分の1の実力も出してなかったのじゃないかな。
「既に五平は神へと至っておる
貴様が勝てる道理などあるまいよ」
無駄なことをしおってからにと呆れた様に言う水面様だけど、五平殿の戦い方は大いに役立ったぜ?マジでよ。
そんなこんやで戻って来たのだけど、幽霊屋敷が一番落ち着くよ。
何か「我が家に帰って来た!」って感じでよ。
さぁ〜て幽霊屋敷の方はどおなっているかな…と思った俺はスタッフルームへと行ったのだけど、待っていたのは、またしてもトラブルだった。
スタッフルームへと行った時、頭を抱えて悩んでいた月光に事情を問い詰める俺に良いところに来たと言わんばかりに何があったかを話し出す。
ウーチューバーのステータス
北山明宏 23歳 通称北くん
20歳の頃からウーチューバーとして活動。
当時はゲーム実況や物申す動画を出していたが、約2年半前にナンパで知り合った女性と組んでカップルウーチューバーとしてバカップルぶりを活動していたが、2年前に事故物件に住み込み検証動画を投稿していたウーチューバーの動画を解析したとかでこのウーチューバーを嘘つきだの詐欺チャンネルだの因縁を付け始める。
それだけではなく、心霊スポットへ行っては何も無い事をアピールして心霊系ウーチューバーの心霊スポット動画はシナリオ有りきの嘘動画だと言いまくるある意味、迷惑系ウーチューバーである。
性格は「我が辞書に謝罪の文字はない」を地で行くサイコパス
幽霊の存在自体否定していると言うか、幽霊の話しになると過剰に反応する傾向あり。
現在のチャンネル名はAGチャネル
南原日向 22歳 通称南ちゃん
元々明宏のファンである。
明宏と知り合った後、日向から猛烈アタックにより付き合う事になりそれ以来カップルウーチューバーとして活動開始。
性格は自分さえ良ければ他はどおでも良い典型的な自己中タイプ。
幽霊は信じていない。
板垣勲 23歳 通称イサオ
カメラマン兼動画編集担当
明宏とは親友。
性格は温厚で人畜無害と言ったタイプであるが、怒ると阿修羅化する。
幽霊に対しては信じていないが否定もしていない。
「3日前の夕方に屋敷内を撮影しようとした輩とトラブルになりまして…その時は何とか帰って頂いたのですが…」
話しによると、追い返されたウーチューバーは撮影出来なかった事に腹を立て、自身の動画及びSNSで幽霊屋敷を詐欺商売だ!証拠を抑えて告発するので皆さんご協力をと言った内容で発信し、それを信じた視聴者が程なく幽霊屋敷へ抗議を開始。
事態を重く見た月光達はすぐさま弁護士に相談した上でウーチューブ運営及び該当ウーチューバーに抗議すると同時に場合によっては損害賠償を請求する。既に弁護士に相談していることをSNS上にて抗議文を発信。
幽霊屋敷側の抗議を受けて明宏側が抗議文を晒した上で詐欺をやっていないのなら潔白を証明しろ!幽霊とやらに会わせろとの内容の動画をアップ。
このやり取りを知った者達はバカバカしくなって静観する事にした。
このやり取りを受けて俺はAGチャネルの動画を視ていたのだが…
「・・・・・・!!!コイツ・・・!!!」
「間違いないわね・・・然も本体よ・・・コレ」
「この3人非常に危険です。直にでも引き離さないと」
動画の中にアイツは確かに居た。
然も、本体だ。
この事を受けて俺は全員を集めてウーチューバーとアイツの事を話して対応を検討した。
で、検討の内容だが…
当日は月光とお義父さんとお義母さんと俺達の7人。
それ以外のスタッフ及びN級R級は万が一を考慮して風龍神社へ避難する。
その他は
1・撮影は深夜帯で行う事とする。
2・屋敷内は電波の飛びが悪いので撮影は良いがライブ配信はNG
3・屋敷内の壁や物は絶対に触らない
4・事故防止の観点から当日は当方も監視カメラで監視をする。
5・検証は3人のみとし、野次馬は絶対に参加させてはならない。
以上の5項目を守れるのなら撮影を許可するとウーチューバー側に通告する。
この条件を受けて相手の反応を待っていたのだけど、条件の内3だけに抗議があったが壊された場合「損害賠償を請求するがそれでも良いか!?」とお義父さんが言い返したらしぶしぶ受け入れたけど
「絶対に不正を暴いて破滅させてやる!」
と捨て台詞を吐いていたけど、どおなることやら。
今からワクワクである。
まぁ、アイツ等をヤるのはゆう子と天音なんだけどね。
でもって、決戦は1週間後の深夜2時になった。
………
……
決戦当日の深夜1時
明宏「こんばんは…お世話になります。」
月光「どおぞお気の済むまでごゆっくり」
明宏「ケッ!その余裕何時まで保つ事が出来るか楽しみだ」
月光「そんな事より、あまりの怖さに漏らさないで下さいよ?掃除するの大変なんですから」
明宏「そんな脅しは俺達には通用しないよ」
勲「おい!そこまでにして行くぞ!」
軽い挨拶のつもりが口喧嘩になりそうな雰囲気になってしまった所でイサオが強制終了させてその場を立ち去ろうとする。
恐らくは機材のチェックをした後で突入するつもりなのだろう。
月光の姿が煙のように消え失せた。
今ウーチューバーと話していたのはレイの分身体が実体化し、更に月光に化けた姿だったのだ。
修行の成果の一端で、ただの分身体でも生者と間違われる様な精度で実体化出来る。
奴等はそのことに騙されているのにも気付かないなんてトンだマヌケだよな。
おっと…言いすぎか?
ギンッ!
その時、周囲の空気が変わり綺麗に見えていた星空がボヤけて見える。どおやらお義父さんとお義母さんが対妖怪用の超協力な結界が張ったのが解る。
ウン…!
俺とコヨミは無言で見つめ合い頷きウーチューバーの背中に声を合わせて向けてこう言った。
オイ!
そこの無し無しの変態オカマヤロー!
居るのは解ってる!
隠れてないで大人しく出てこい!
と…