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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第7章 激突!魂喰
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第117話 楓夏の決断

「それじゃあ、幽霊屋敷の中を紹介します」


黄瑠璃庵で皆と解散した後、俺とコヨミは月光の案内で幽霊屋敷の中を案内して貰っていた。

屋敷内の通路は蛇行する様になっていて、大人2人並んで歩いても少し余裕が有る程の広さがある。

室内は3つのエリアに別れていて最初は電動の幽霊達が相手をするエリア。

見た感じでは何処にでも有るような人形やセンサーで反応して動く仕掛けが設置されているだけ。

言うなれば、子供騙し的な要素しかないエリアを想像して貰えれば良いかと思う。

それを通り過ぎるとエリアを仕切る扉が在り、その扉を開けると妖怪やモンスターに扮したスタッフの脅かしエリアだ。

扉を開けると何処からか現れるスタッフが叫び声や唸り声を上げてお客を追い掛けると云った仕掛けになっている。

それだけで良いのではないかと思ったのだが、この幽霊屋敷の目玉は3つ目のエリアだと月光は言う。


「此処は…?」


「何もない通路じゃん」


その通路には何も無かった。

一見、無意味な通路と解らない様にスタッフ部屋と繋がる隠し扉が存在しているのみであったが、月光がドヤ顔で


「このエリアを貴方方にお任せしたいと思います。要はこのエリアがこの幽霊屋敷のキモにしたい考えています。」


と、言い出した。


「うーん…このエリアでか?出来ない事は無いけど…」


通路を見ただけの感想としては、色々な事が出来そうだと思うのだが、それだけに何から手を付けたら解らないレイを他所に姿見サイズの鏡とか小さなテーブルと椅子そして人形が欲しいとコヨミがリクエストしていた。

まぁ、鏡は強制的に立たせる様な文言を付けて置けば立ってくれるだろうし、そこで鏡に映ってやったりお客の姿を変えて映し出しても良いし、テーブルの上に人形を置いてそれを動かしたり椅子を動かせばビビる可能性もあるわな。

後は、速攻でお客の守護霊と話を着け、一時的に憑依をして俺達の目を通して俺達の姿を見せて脅かしてやれば良い。

と、言うのがコヨミの考えたプランだ。

物を動かしてとか鏡とかは信じていない人達に何かしらトリックを疑われてヨシだろうから、あまりオススメ出来ないけど、やらないよりは良いだろうと俺も思うけど、守護霊様を説得するのは難儀だと思うぞ!?勝算は有るんかいな!?


「後は、各エリア毎に温度計を設置すると警戒心や恐怖心を煽る事は出来そうだな。」


俺が追加でこんなことを言うと、怪訝な表情で月光が訊いて来た。


「俺達のエリアは他のエリアと比べればグッと室温が下がるし、そう仕向けるつもりだ。それをお客に配る案内に記載して周知させておけば否が応でも警戒するんじゃね?と思ってよ」 


と、月光に提案するとすんなりと受け入れられたよ。

まっ、幽霊の事は幽霊が1番よく解るから下手に異論反論はすべきではないと云った理由からなんだと思う。

如何に祓い屋が幽霊が見えて会話が出来ると言っても幽霊の事を1〜10迄知っている訳ではない。解るのは、その幽霊が悪意を持って生者に接しているかそうではないか。

それによって祓いの対象になるかどおかなのだ。


「場合によっては第一エリアに出没する可能性もあるって事ですか?」


温度計の説明を聞いて気が付いたのか、その事を尋ねる月光にその可能性も有るよと言うだけに留まるレイに、くれぐれもヤリ過ぎない様にして下さいよと返すのみに留まる月光。


「旦那ぁ〜!取り敢えず、5名の希望者を連れて来ましたぜ!」


俺達が打ち合わせしている時、タイミング良く現れた社長と5名の幽霊達。(社長 仕事ハヤ!!)

内訳はR級2体とN級3体。

俺はその幽霊達にお礼を言うと、R級の2人は成仏出来るなら、全力で協力させて頂きますと気持ちいい程の返事を貰ったよ。

N級の3体は男1人女2人で、殆ど記憶が飛んでいるとの事なのでエイジ・リョーコ・ランと呼ぶ事にすると、ペコリとお辞儀してそそくさと自らの居場所を探しに行った。

R級二体なんだけど、一人目は松崎圭佑と名乗る温泉歌手で地元ではかなりの有名人だったらしいが全国区ではダメだったらしい。

死因は、酒の飲みすぎによる急性アルコール中毒。

死後、歌への未練が残った為にこの世を彷徨う事となり某歌手に取り憑いた迄は良かったが、コンサートで雨音に来た時に緑発の範囲固定に捕まってしまった様だ。

社長との出会いは緑地公園に住み着いた圭佑を社長がスカウトしたとの事。

二人目は笠島佳奈と名乗るJKで2年の時に病死。

まだまだやりたい事があり、それが未練となってこの世を彷徨う事となる。

少し前にもろタイプの男性に出会った事が切っ掛けに取り憑いていたが、その男性がみず乃に行った事により社長と出会い説得され男性から離れ、以後は社長と行動を共にしていた。

もう少しホシイところだけど、いちおうは面子は揃ったが、圭佑と佳奈はあまり能力は高くない。

取り憑く事は出来てもそれ以上の事は出来ないときたもんだ。

最低でも壁抜けと憑依そして分身体を作り出す事をマスターして貰わなければならんぞ。

と、言うわけで、コヨミが先生となりスパルタ訓練が開始される事となったのであった。



………

……


レイとコヨミが幽霊屋敷でそんなことをやっていた頃、妾は浦川学園の元理事長の所へとやって来ていた。

気付いている人もいるかと思うが、元理事長と妾はカナリ前からの知り合いじゃ。

出会いは元理事長が若い頃、風龍神社お祓いにやって来た時。

生まれつきなのかは解らないが、元理事長は憑依体質みたいで取り憑れる度にお祓いに来ていた。

お祓いの頻度は数ヶ月に一度訪れる程度であったのが、浦川学園理事長に就任してからはほぼ毎月来ていたので、気になって左近に見張らせたのじゃ。

結果として、浦川学園は怨霊の巣窟と化し元理事長では身が持たない事が判明した事によりお祓いに神社へ訪れた元理事長に「学園には近寄らず校長とやらに任せた方が良いのではないか」と助言をする事にしたのじゃ。

そんな事があって以後、元理事長の所に遊びに行く様になったのじゃが、あの助言が裏目に出るとは思いもよらなかった。


「これはこれは楓夏様…お姿を拝見するに漸く自由に動ける様になったようですね」


家のリビングに設置してあったアンテナと入れ替わって唐突に出現したのにも関わらず、驚きもせずに草薙庵の栗羊羹と玉露を出してくれた。


「うむ…漸くな…ところで学園やあの時の子供はどおなったのじゃ?」


「あの時の…?三上秀一君の事かな?あの子は退学届を出して来ました。事情が事情なので引き止めたのですが意志が固くて…学園の方は何とか落ち着きをとりもどしつつあります」


「そうか…で?子供を殺そうてしていた犯人達はどおなったのじゃ?」


気になっていた田中貴司一味の事を尋ねたのじゃが、三上秀一と斎藤優香が被害届を出した事で自殺教唆(未遂に終わっても本人にその意志が無ければ処罰される)や強姦や脅迫やら複数の罪で再逮捕され、再び連行されたとの事。

余談じゃが、レイは田中貴司一味にお仕置きを企てようとしていたのじゃが、再逮捕された事によりそれが出来なくなってしまったが諦められなかったらしく勾留中にお仕置きを決行しようとした。

然し、それを森田警部とやらに全力で止められてしまう。

それから暫し口論に発展したのじゃが、高級日本酒と高級和牛ステーキを奢らせる事で落ち着いた。

然し、田中貴司は三上秀一を自殺に追い込もうとした少し前に本当に社会人の同性愛カップルを性奴隷として扱い、挙句の果てには自殺に追い込んで成功させていたのが発覚した為に有罪は間違いないらしいとの事じゃ。

悪い事は出来ないのぅ…ホントに…

この事を受けて不動産会社の社長でもある田中貴司の父親である義昭は息子を庇おうと金に物を言わせて動いたのだが、ことが事だけに庇いきれず、更に過去の悪事までもが発覚してしまい逮捕されたとの事。

まぁ、自業自得じゃて…


「まぁ、いろいろと収まるところに収まったって事で…亡くなられた生徒や被害に遭われた教師にはどお償っていけば良いかと…そればかりですよ」


それは理事長のせいではないかと思うのじゃが、事態を把握していても何もしなかったのじゃから致し方あるまいの。

で、以前より依頼していたレイの生前についての調査の結果を問い質したのじゃが…


「申し訳ありません…まるで彼の存在自体が何者かと書き換えられたか削除されているかの様に思い出せません。そして、幾ら調べても彼の事が解らないのです…」


項垂れて謝罪する元理事長。

そして、妾の中で驚き混乱する天音。

混乱しているのは妾も一緒なのじゃが、此処で取り乱しても何も変わらないじゃろうから努めて平静を装いみず乃の社長が話していた事を伝えたところ


「確かに私もあの幽霊の生前の姿を知っている筈なのです。これは断言出来ます!ですが…何も思い出せないし、何処をどお調べても特定出来ないのです…本当に申し訳ありません」


との事じゃ…


ウ〜ム…


ヤツを殺した後にヤツを知っている者全てからヤツのみの記憶を奪い去る。或いは別人と書き換えた?

まさか…イヤ…こんな事が有り得るのか?そんな事が出来るのは、人間では考えられない。

そう、こんな芸当が出来るのは妖怪しか居ない!

然も、ほんの一握りの…魔王側近の幹部クラスの妖怪じゃぞ!?

然し、魔王側近クラスとなれば、人間界への干渉は一切禁止されている筈…奴等が人間界へ本気で干渉したのならば、国の1つや2つは簡単に滅ぼせる程の…魔王に至っては一瞬で人間界の半分を破壊出来る力を有しているのじゃからな。


嫌な予感がしてならぬのぅ…


「それはそうと例の件ですが…」


そうだった…妾は元理事長にレイの他にもう一つの調査を依頼していたのを忘れておった。


「ほぉ?山海寺にのう…人間界からも行き来出来ると訊いておったが、そんな所から行けるとは

三条め…黙っておったな?」


「何だかとても嬉しそうですね。」


「そう見えるかの?」


「はい…」


現状でレイは強い。

それも、トンでもなく。

じゃが、上位妖怪を倒したおかげで本格的に妖怪に狙われる事になるじゃろうし、それらを跳ね除けるには更に上を目指して貰わねばならない。

然し、妾では強くなるどころか弱くなる可能性だって有り得る。

一か八か連れて行くしかあるまいな…


水神 水面みなもの下へ…


意を決した妾は、雲海経由で水面と話を着ける事にした。


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