第116話 始動 雨音幽霊屋敷
今回は殆ど説明無しのオール会話モードです
入院中の秀一の病室にて
「ねぇ、秀一」
「ン?」
「ワンダーランドってパチンコ屋って覚えてる?」
「エッ?………あぁ…あの違法行為で潰れた…覚えてるけど…?」
「あのパチンコ屋が祓い屋の海野三条さんプロデュースで近々幽霊屋敷としてオープンするって 退院したら行って見ない?」
「幽霊屋敷かぁ…ひょっとしてレイちゃんに会えるかな?」
「レイちゃんって誰なの?」
「ン?幽霊のレイちゃん…僕の命の恩人」
「エッ?…レイさんじゃなくて?」
「うん…綺麗な女性の幽霊のレイちゃん」
「へぇ~…綺麗な女性ねぇ…その幽霊って優香より綺麗な女性なの?」
「うん…綺麗な…って…何?幽霊に嫉妬してる
の?」
「してないもん!」
「思いっきりしてんじゃん!てか、レイさんって事は男の幽霊なんじゃない?」
「そうよ?メッチャイケメンの幽霊よ?優香はその幽霊に助けられたの」
「へぇ〜〜〜〜〜っ!?」
「何?男の嫉妬はみっともないよ?」
「それはお互い様じゃないか」
「秀一には優香だけを見ていて欲しいの!?」
「それ…不公平じゃん?」
「不公平じゃないもん!女として当然の権利だもん!」
「あのねぇ…」(ヤッパリ女はズルい…何でこんな女に好かれたのだろう…)
「何よ?急に黙り込んで」
「いや…今の話を漫画とか小説のネタに使えないかな?と…」(と…ごまかしてみる僕…でも、叶うならもう一度会いたいな。あの時のお礼も言いたいし)
「秀一も好きねぇ…はい、シャーペンとノート」(ごまかした…まぁ、良いけどね)
「ありがとう。これは僕の夢だからね」
「それより、幽霊屋敷に一緒に行くのは約束してよね」
「解ったよ」
………
……
ワンダーランド跡地にて
レイ「此処があの…」
ゆう子「ワンダーランド?」
真智子「見た目はワンダーランドなんだけど中身が…」
三条「だろ?街の議員を動かして造らせたのだ。外観は看板だけ変えただけど、中身は凄いぞ!?」
レイ「あの短期間で…凄いな…」
三条「それと、此方は幽霊屋敷を運営するスタッフの取りまとめ役だ。名前は…知っているよな?」
レイ「はい…月光さんでしたね」
月光「はい、これから宜しくお願いします」
コヨミ「それだけじゃないよね?お母さん?」
命「えぇ…駐車場に在った定食屋さんも改装済だし、ライブハウスも建設中なのよ」
レイ「スゲェな…で?爺さんよ…この幽霊屋敷が俺達に何の関係があるってんだ?」
三条「爺さん言うでない!!お義父さんと呼ばんか!!」
レイ「お義父さんって…」
三条「貴様は娘の旦那だろうが!?」
命「そう言う事よ?」
コヨミ「お父さん…」
レイ「ヘイヘイ…で…改めて質問ですが、この幽霊屋敷と俺達に何の関係が有るのですか?」
三条「単刀直入に言うぞ!?レイ君達にこの幽霊屋敷の一区画を任せたいと思ってな」
レイ「ヘッ!?」
命「生者を弄り倒すのにはピッタリの場所だと思わない?」
レイ「確かにそうだけど…」
三条「なんじゃ?自信がないと言うか?」
レイ「見えるヤツはまだしも、見えないヤツは…」
命「それでも出来るのでしょう?」
レイ「だぁ〜!二人共印を結んで脅さんでくれ!解った解りましたよ!皆はどおする?」(成仏させれない迄も苦しめられるのは敵わん)
「「「「異議なし!」」」」
レイ「とは言え、俺達だけでは飽きられてしまう可能性があるから、何人かスカウトして来る必要があるな」
真智子「例えば?」
レイ「チョロ松みたいなタイプのR級2〜3体とN級寂しがり屋が5〜6体居てくれると助かるかな?俺達が毎度居れるとは限らないし、寂しがり屋が居てくれると客を呼んでくれるからな。」
真智子「だよね。でも、見返りは必要なのでは?」
レイ「見返りは毎日のお供えとある程度の成果を挙げた者から成仏する権利を与えるって事でどおだ?
それと、社長も巻き込めたら良いのだけど」
社長「よっしゃ!!任せておけ!!スカウトの件も俺が何とかしてやるぞ!?」
レイ「ドワッ!!社長何時の間に!!」
社長「なぁ〜にカンですよカン! 是非とも協力させて下さい」
コヨミ「みず乃の方は良いの?」
社長「もう、俺が教える事は何もないのでね。最近は暇を弄ぶ様になって来た所です。それに、俺が現世に残っているのは旦那達をサポートする事ですよ?」
レイ「と言う事だが…どおかな…お義父さん?」
三条「幽霊に関しては任せる。但し、悪霊や怨霊は…」
社長「心得ておりますよ」
三条「それならば良い!では、場所を移動しようじゃないか」
命「次は食事処 黄瑠璃庵よ」
三条「ところで、そこの子供は誰だ?」
レイ「俺とコヨミの娘だよ。名前は天音だよ
天音、お爺ちゃんとお婆ちゃんに挨拶しなさい」
天音「お爺ちゃんお婆ちゃん初めまして天音です」
三条「お前ら何時の間に?」
コヨミ「その話は後でね。落ち着いた所で話しましょうよ」
命「そうね。あの洞窟の中で何があったかも訊きたいしね」
………
……
食事処 黄瑠璃庵にて
命「先ずはスタッフの紹介するわね。
右から総責任者の二ノ瀬神楽ちゃん
それから、調理責任者の関口安奈ちゃん…ホール責任者の林田洋次君…」
スタッフ一同「初めまして宜しくお願いします」
レイ達「此方こそ宜しくお願いします」
コヨミ「見た感じはファミレスみたいな造りだね」
命「まあね…元々ファミレスタイプの店だったからね」
コヨミ「なぁ〜る…」
三条「挨拶も済んだところで早速なんだが…」
レイ「そうでしたね。あの洞窟内で何があったのかでしたね」
コヨミ「実は………………って事があったの」
三条「何と!土地神様を開放しただけではなく、孫の中に風神様が…」
楓夏「その通りじゃ!三条よ!暫く世話になるぞ!」
命「楓夏様も人が悪い…」
楓夏「何か言うたか?」
命「いえ…何も…」
レイ「ところで、幽霊屋敷は何時オープンするのですか?」
三条「今週末にオープンする予定だ」
レイ「じゃあ、ボヤボヤしている場合じゃないな」
真智子「じゃあ、私はやりたい事があるから少し別行動をするね」
コヨミ「へっ?何処に行くの?」
真智子「森田警部の所」
コヨミ「ちょっと!生者の事にあまり首を突っ込むもんじゃないわよ」
真智子「そうなんだけどね…田中貴史ご一行様とはまだ終わっていない気がしてならないのよ」
レイ「それは俺も感じていた…虐めをやって更に人を殺しているのに釈放だろ?別の方向から圧力が掛かっているとしか思えない」
ゆう子「あたいが調べて来ましょうか?」
レイ「それじゃあ、真智子とゆう子で組んで貰おうかな。」
真智子「良いよ。じゃあ行こうか」
ゆう子「はい」
楓夏「妾も行く所が有るから天音を連れて別行動をするが異論は無いな?」
レイ「娘の事を宜しくお願いします。
じゃあ、俺とコヨミは月光さんと打ち合わせがあるから、それぞれ別行動って事で」
命「色々動くのは良いけど、ヤリ過ぎないでよ?」
一同「は〜い」
三条「コレが…」
命「アンテナと言うヤツですか…」
三条「あやつら既に人間の領域を超えておるな」
命「単なる人間の幽霊が何故此処まで…」
三条「そうまでしてでもヤらなければならない事が有ると言事か…」
命「私達も腹を括って事に当たらなければいけませんね、神楽ちゃん達も彼等の事を普通の幽霊と思っていたら怪我だけでは済まないと肝に銘じておいてね」
三条「さて、私達もやる事をやらないとな」
命「そうですね」
レイ達の姿がスッと消えたかと思ったら再び戻って来るが何も言わずにテーブル席に座っているだけで微動だにしない。
その光景を目の当たりして命と三条は驚きを隠せない様子であったが、これからはこんな事が多くなるのだろうなとしか考えなかったのであった。