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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第6章 風神 楓夏
121/218

番外編 漫画王決定戦〜予選の結果

7点…8点…5点…コレは…

山のように積まれた応募作品をパラパラと捲っては点数を付けたポストイットを貼り付けて行く10人の審査員達。


応募作品総数2022作品…こうして眺めると壮観だなぁ…

うんざりする程の作品に辟易するも、これは仕事なのだと割り切って審査に没頭する。


何故此処までして作品が集まるかと言うと、賞金は勿論の事、入賞すると、連載のオファーが舞い込んで来る仕組みになっていて未来の人気作家を目指す者から賞金目当てで応募するプロの作家までと幅広い。


因みに

1位200万円

2位100万円

3位 50万円

審査員特別賞 30万円

の賞金が用意されていて入賞作品は専門誌にて掲載と副賞として協賛する出版社から連載のオファーがある。

協賛する出版社は6社で、それぞれ1名の者が担当が選出され、その他に有名な漫画家3名そして審査委員長である箕浦和歌子が審査に当たっている。


「目…目が…死にそうです…毎回こんな量を熟しているのですか?」


応募総数の半分程読み込んでこんな事を言い出したのは今回初めて審査に当たる室田猛。

この室田猛と言う男は何人もの新人作家を人気作家へと押し上げた実績を持ち、漫画を見ただけで作者の実力を看破出来ると豪語している。

ならばと今回の審査員に抜擢されたのだが、短期間でこの膨大な量を審査しないとならないとあってこうして音を上げてしまったのだ。

それでも作品に目を通すのは止めないのは、漫画家にとって画王決定戦がどれだけの意味を持っているのか理解しているからであろう。

予選の審査基準は作画やストーリーと言った基本的ものがメインであるが、それだけに作者の技量が高くないと通過出来ないだろう。

作品は公平を期すために、どの作品の作者が誰かと解らない様に申請順で決められたエントリーナンバーで管理されていて箕浦和歌子しか知らない。


「今回は何時もより多いのは確かね。

あまり根を詰めすぎるのはダメよ?適当に休憩を挟んでやったら良いよ」(エッ・・・!?このストーリー組み立てってまさかモモちゃん?・・・きっと気のせいよね)


室田のボヤキに応募作品に目を通すのを止めずに箕浦が返事をしていると、懐かしく感じた作品が出て来た。

エントリーナンバー2000 作者 TEAM.T

とあったし作画は記憶にあるものとは全く違うし此方の作品の方が断然にレベルが高い。

では、何で懐かしさを感じたかと言うと、物語の構成とか作画以外の全てが記憶にあるものと一致していたのが理由であるが、彼女は天国に召されている筈。

それに、TEAMと言うことは誰かが中心となって複数人の人間が関わっていると判断した箕浦はこんな事もあるのかとしか考えていなかった。


そして…


「終わったぁ〜!!」


膨大な量の作品の評価をし終えた審査員達から達成感から来る歓喜の声が沸き起こるが此処から一悶着することになる。


どおしますかコレ…


9位迄は良いのだけど、10位がなぁ…


本戦出場基準は合計点数で上位10位迄であるが、今回は10位の点数が同点で3人並んでいたので誰を落とすかと云う事で会議は揉めに揉めた。

本戦出場枠は10名で、本戦出場基準を満たす作者は現状12名。

10位の3名の内誰を落とすか、そのまま12名で本戦を開催するか、はたまた10位を切り落として9名で開催かで意見が割れたのだ。


「切り落として10名でやるのも気が引けるし、ここは12名で本戦を開催しましょう」(本戦のお題でモモちゃんが絡んでいるかどおか解るかも)


それが箕浦の出した答えであった。


「それでは、本戦のお題の確認ですが…」


かくして予選を突破した12名の作者に予選突破の知らせと本戦のお題が発送され、その他の作者には落選の知らせが発表された。


予選突破の知らせは誰が受け取ったのか


………

……


「まだ届いてないの?」


正午


画王決定戦予選の結果は毎回郵送されて来るので、結果を今か今かと心待ちにしている俊也に心配そうに声を掛けるミキ。

何時もと同じなら予選〆切から2ヶ月後の今日辺りに予選の結果が届く筈であるが、残念ながら午前中には届かなかった。


俊也が仕事場にしているマンションへの郵便物の配達は午前11時と午後15時の2回と決まっているが、どおやら午前中には届かなかった様子。

今後の事を占う意味も有るので早く結果が知りたい俊也。

それは勿論、俊也だけではなくミキやコヨミ達も同じなのだが、何故か俊也でもコヨミでもなくミキが一番ソワソワして落ち着いていないのだ。


「少しは落ち着けよ

てか、何でミキがソワソワしてんだよ

少しはレイ達を見習って大人しくしていろよ」


先程からリビングと玄関を行ったり来たりと落ち着かない様子のミキを嗜める俊也に


「何でそんなに落ち着いて居られるのよ

信じらんない!?」


と、逆ギレしてくる始末。

勿論、俊也とて内心ではミキと同じであるのは間違いないが、レイ達の分身体の前でみっともない姿を晒しては後でどお弄られるか解らないとあって平静を装うしかないのである。


15時30分


一向に到着しない郵便物を心待ちしていた俊也達であったが、この時間迄に配達しなかったとあって明日の配達になるのかと諦めかけた時


ピンポーン


インターホンが反応し、呼び出し音が部屋中へ響き渡ると緊張した面持ちで俊也が応対する。


「届いた?で?結果は?」


何故か俊也より結果が気になっているミキ。

そんなミキの態度に反応したのか、レイとコヨミの分身体が動き出してしまった。

こうなってしまえばどんな抵抗をしても無駄だ。

コヨミの分身体が俊也の中に入って封筒の中身を確認する。


「・・・・・・ガクッ」


中身の書面を確認したコヨミが俊也から出てきて落ち込むコヨミの姿を見て察したのか一緒になって落ち込むミキ。

その姿を見てレイまでが釣られて落ち込んでしまう始末。


然し…


「3人揃って何で落ち込んでいるんだ?予選は突破したのに」


何で落ち込んでいるのか解らないと言わんばかりの表情で俊也が通過したと報告すると、驚きの表情になるレイとミキ。然しそんな二人と真逆の態度を取るコヨミが


「確かに予選は突破出来たわよ!

でも、アタシが落ち込んでいるのは点数よ!?順位よ!解る?10位よ!?10位!!

アタシがストーリーを組み立てたのに10位なんて信じらんない!」


コヨミが落ち込んでいた理由は、予選突破ではなく順位であったのだ。

そんなコヨミを宥めるレイに、元漫画家であった時のプライドが許さないのか怒りが収まらない様子。


「じゃあ、その怒りを本戦にぶつけましょうよ…

で、本戦のお題なのですが…」


そう言った俊也は、困惑したように本戦のお題を皆に見せる。


エェ〜ッ!?

何そのお題…


お題に驚愕する一同…


お題には

主人公 楠木コヨミ 幽霊

享年 29歳

生前の職業 漫画家件霊能者


以上のお題を元に100ページ以内で読み切り漫画を描け


コレだけであった。

このお題、他の漫画家なら意地悪いお題だなぁと思うかも知れないが、俊也達にとっては驚愕のお題であった。


「なんなの…このお題は…?」


「てか、何で主人公がお前?」


「知らないわよ…」


「審査員の中に箕浦さんが居たりして」


「有り得ない事ではないけど、何だか気味悪いわ」


お題を見ながら困惑する一同

中でもコヨミが驚いていたのは間違いない。


とは言え〆切は1か月後なので、そんなに猶予は無く余計な詮索をしている場合ではないと言うことで早速本戦へ向けての話し合いが行われる事になったのである。


2日後


「じゃあ、その路線で行って最後は…」


「・・・ですね

では、早速ネーム作成を始めます」


「ミキさんにお願いなのだけど、此処に行って今から云う物を買ってきて欲しいのだけど良い?」


「解りました」


「で、レイとゆう子はキャラクターのイメージを掴む為のモデルをお願いね。後、真智子はアシスタント宜しく」


「エッ!?」


「エッ!?じゃないわよ!ベタ塗りくらいは出来るでしょ?」


「ハイハイ…」


「それじゃあ皆宜しく!目標は優勝よ!」


意見が衝突して言い合いになったりとスッタモンダの挙げ句ストーリーが纏まり本戦へと向けて動き出した一同。


果たして本戦の結果は如何に…

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