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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第6章 風神 楓夏
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第107話 洞窟内にて5

えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜っ!!


「どどど…どう言うことなの!?」


依代は完璧だった筈…なのに何で別の魂が?軽いパニック状態になりながらもコヨミが問い掛けるが楓夏も何故こうなったか理由は不明である。


「兎に角じゃ…コヤツは妾をババア呼ばわりしおった!従って、妾が直々に教育を施す事にする!」


良いな!?


年寄り扱いされて怒っているのだろう。

然し、名もなき魂がどんな理由で割り込んで来たのか?そして、これからどんな子供に育つのか楽しみで仕方がない楓夏の口元には笑みが浮かんでいる。

年寄り扱いされたことで傷ついたプライドを名も無き魂をイビる事で修復したいのだろうな。


ババアのワードに左近がプッと吹き出していたのは

敢えて突っ込まないでおこう…お仕置き確定だろうからな。


それはそうと天丸の怪我は大丈夫なのか?思い出した様に天丸を見ると、既にゆう子が手当を試みているけど、上手く行かない様子。


「その傷はこの薬を使わないと治りませんよ

千代、早く行って治療してあげなさい」


妖怪の攻撃は妖気と瘴気を使用している為に傷を負ってしまうとそこから侵食されて死亡する事だってある。

人間が使う薬やヒーリングでは応急処置にしかならず、完全には治らない為に長い間苦しむ事になり、専用の薬が必要なのだ。

嘗て楓夏が負った傷が良い例であろう。

元薬師としての癖だろうか、五平は何時も持ち歩いている薬箱から軟骨が入った坪を千代に手渡すと楓夏に向き直り恭しく挨拶する。


「お呼びで御座いますでしょうか…楓夏様」


「修行中のそなた達を呼び戻して済まなかったの」


「滅相もございません…で…ご要件とは…」


「実はの…」


一通り挨拶を終えた男性と楓夏様が俺達に聴こえない様にと言うか、念で会話でもしているのだろうか暫し無言のまま見つめ合う。

てか、あの男って…マジで五平殿なのか?妖綺譚では楓夏様の従者になったと記されていたけど、見た目のランクはGOD級だぜ?人間がそのランクに上がるとなると、魂を神化させないと無理の筈。

って事は、ゆう子と共に天丸を治療している巫女は千代って事になるけど、此方もGOD級と来たもんだ。


「・・・と言う訳じゃ・・・すまないが暫く祠を守護してはくれぬか」


「承りました」


五平が楓夏様に深々とお辞儀する。

どおやら話は纏まったみたいだな。

って事は楓夏様は本当に俺達と行動を共にすると思って間違いないよな…コレは…

まぁ、子育てをやってくれるのは有り難い事なんだけどミニ楓夏様にならないだろうかと心配だ。

そんな俺の心配を他所に少し考え事をしていた様子の楓夏様であったが、俺達に向き直り名もなき魂の名付けをする様にと言い出す。


「あぁ…名もなき魂は女の子じゃ

間違えても男の名を付けるではないぞ!?」


名付けか…確かにそれは必要だな…この後、俺とコヨミは小一時間程、名付けに四苦八苦する事になったのであった。


………

……


「美枝…里美…遥…う〜ん…どれもシックリこんなぁ…」


「じゃあ、マカロンとかプリンとかココアどお?」


「だぁ〜っ!食い物や飲み物から離れろ!お前の脳内ってどおなってんだよ!」


「だって…カワイイよ?」


「カワイイとか個性的とか…兎に角、キラキラネーム的な名前は禁止!」


「えぇ〜!?何で?」


「そんなの大人のエゴでしかねぇし…将来的な事を考えたら良いわけが無い!アニメや萌系のキャラじゃねぇんだぞ!?」


「・・・解ったわよ・・・」(てか、私達幽霊なのにそこまで気を使う意味あるの?ホント…へんな所で真面目なんだよね…)


俺に怒られ、納得出来ない表情で名前を考えるコヨミ。ふぅ~…何処まで本気なんだろうな…コイツは…ヤレヤレだぜ…

楓夏様は楓夏様で俺達が四苦八苦している様子をニヤニヤして見ているし…


てか、ただ単に俺の記憶を取り戻したいだけなのに、何でこんな厄介事ばかり寄ってくるんだよ〜!!!


心の中で吠える様に叫び声を上げる俺と真面目に名前を考える気があるのか解らないコヨミ…こんなんでまともに名前なんか付けられるのか?


ザァッ…


そんな俺達の耳に聞こえる雨の音。


この洞窟って何故か雨の音だけは響くんだよな…


ン…?まてよ…雨の音…あまね…雨音…


コレ…いけんじゃね?


そう思った俺は雨音でどおだ?と提案してみたのだが、この街と漢字が被るからダメ!とコヨミが却下してくる。


「しかし…あまね…あまね…

ねぇ…天の音と書いて天音でどお?」


あまねと言う名前が良かったのか、漢字を変えた天音でどおだと言い出すコヨミ。


「うん!良い!」


俺もそれが良いと思ったのだけど、本人はどおなんだろう…それが問題だよな。

俺とコヨミは楓夏様の方をジッと見る。


「・・・」


俺達の視線に気が付いた楓夏様が目を閉じてブツブツと独り言を呟く。

何を呟いているのかは解らないけど、恐らくは中にいる魂と会話しているのだろう。


「気に入ったと言っておるぞ

ところで、この子を何歳まで育てたら良い?」


会話を終えた楓夏様が魂からの返事を代弁する。

良かったよ…

ダメ出しされていたら新たに名前を考えなきゃならないところだったよ。

ホッと一安心した所で、またもトンでもない事を言い出す楓夏様。


ヘッ!?今、何と言いました?聞き間違いではなかったら好きな年齢まで成長させると聞こえたのですが?


突然の事に驚く俺に、何を驚いておると言いたげな表情で


「何をそんなに驚いておる

この子はコレから少しの間、妾の空間で成長させるのだぞ?」


あぁ…そうだった…シッカリ忘れていたけど、妖怪以上の存在は自らの専用空間を持っているのだった。

確か、その空間では人間界の時間の概念は通用しないのだったな。


「それで、1年はどれ位の日数になるのですか?」


敢えて年齢を答えずにその事を訊ねてみると、甘いなと半ば馬鹿にしたように1時間との返答が返って来る。

流石は神様の空間だよ。

コヨミにどおする?と訊くと、俺に相談もせずに15歳と返答しやがったよ。


こう言う事はコヨミに任せた方が良いのは解るけど反抗期真っ盛りのクソ生意気な子供に育ってしまうんじゃないだろうな?

それだけが心配だぞ。


「解った!その間、右近はレイと左近はコヨミと天丸はゆう子の相手をせよ!」


まぁ…大佐が予告した日まで、もう時間がないから仕方がないかな…

コヨミの返事を聞いた楓夏様は天音を育てる為に、その間、俺達の修行の相手を言い渡した後、1度自らの専用空間へと消えたのであった。


つまらない小説にお付き合い頂きありがとうございます。

来年もまた、読んで頂けたら幸いですm(__)m

良いお年を

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