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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第6章 風神 楓夏
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第103話 洞窟内にて1

?「おい、ヤツとのリンクが切れたぞ!?」


??「ン〜・・・?俺より上位の者の領域に入った様だな

妖怪…いや…神…か?」


?「大丈夫なのか?」


??「問題ないだろ…ノー・プロブレムってやつだ」


?「後で後悔しても知らんぞ?」


??「大丈夫だって…そんな事で起こすなよ…」


?「・・・また寝やがった・・・」


………

……



洞窟の通路は人一人が楽に通れる程の広さが有り、下へ下へと真っ直ぐと伸びている様だ。

入口から500m程進んだだろうか、そこにはだだっ広い空間が広がっており周囲には篝火かがりびを灯す為の籠が数か所、更に空間の奥の方には祭壇と祠が置かれている。

妖綺譚の記述によると、此処こそが楓夏様と緑発が祀られている場所なのだろう。


「先ずはゆっくりと話をしようではないか

着いてまいれ」


結界を解き俺達を促す楓夏様がスッと消えたかと思ったら祠の上に座ってこっちへ来いと言わんばかりに手招きしている。

無視しても良かったのだけど、天丸が俺達が逃げるのを許さないだろう。俺達は仕方なく祭壇の方へ行き、楓夏様と話をする事となったのである。


楓夏様は風を操る事で街であった事の全てを知る事が出来るとの事だけど、何故か俺の事は解らなかったらしい。


「気が付いたらあの場所で何やらブツブツと呟いていたのじゃ」

 

楓夏様でも俺がどおやって殺されたか、何で俺の事を知っている者がいないのか解らないそうだ。


・・・って・・・それ・・・本当か?

本当に知らないのか?

俺の事を揶揄からかっているんじゃないだろうな?

神様相手に不敬かも知れないけど、どおも俺と同類の匂いがしてならないんだよ。

もし俺ならこの状況は間違いなく弄りに行くパターンだもんよ。


俺…弄られてる?若しくは何かを試されている…?


そんな気がしてならない俺は、態と神様でも知らない事が有るのですねと言ってやると「それについては私からお話しましょう」と祠から優男が出現して事情の説明をしてくれた。

この優男の名は右近。たぶん五平と千代の事を1番知っている者だろうな。


「・・・てな訳で、楓夏様は約100年サイクルで眠りと覚醒を繰り返しているのです。そして約30年前に覚醒した時は、既に貴方様はあの場所に居たと言う事です」


・・・納得・・・

楓夏様が最近覚醒したのは約30年前で、その時には既に俺は死んでいたと…

死んだら肉体の年齢に関わらず、魂はその者の1番全盛期の姿になると言われているが、それは本人の意思でどおとでもなるんだよな。

死んだ事に気が付けなかったら死んだ時まんまの姿をしている事になるからさ…その事を踏まえて、見た目まんまで判断すると俺は30歳前後で殺された事になるが、幾ら調べても事件・事故で死んだとか自殺していたとか俺らしき者が死んだとニュースにも話題にもなっていないんだよ。

ここまで来たら考えられる事は唯一つ!


俺は妖怪の固有スペースに引きずり込まれた挙げ句殺され、その時に魂に呪いをかけられ、更に死体はその妖怪の餌になったって事だ。でも、それなら何で俺が妖怪に狙われたのかと言う事と魂があの場所に居着いたかって謎が残るが…


それでも、俺と関わった事がある人なら覚えている人がいても良さそうなものだが、誰一人として俺の事を知らないと言っていた。

あの記憶力バツグンの社長でさえ、会った事がある筈なのに思い出せないと言っていたし…


まてよ…?


その時に俺の…俺を知る者から俺のみの記憶を食らってしまったとしたら…………


だとしたら、何で魂ごと俺を喰らわなかった?


態々呪いをかけてこの世を彷徨う存在にさせた意味って何だ?


「強欲なら…」


その時、楓夏様の口から漏れ出た固有名詞。

強欲と言えばあの魂喰や色魔とかの親玉だろ?そんなヤツが人間である何で俺を狙った?


てか、生前の俺って…いったい…


クシャミが出そうで出ない…そんな気持ち悪い気分になる俺。


「おっと…長話し過ぎた様じゃ…」


楓夏様の1言で結界の外を見ると、10体もの幽霊が出現し、結界の外をウロついているのが見えた。然も、全員コヨミとゆう子を舐め回す様な目をしてニタニタと気持ち悪い笑みを湛えているぞ。


「お…女だ…美味そうな女だ…邪魔な男を排除して輪姦すぞ!」


「おい!女!こっちへ来て俺達の相手をしろや!」


「そんな所にいるより此方へ来て良い事しようや

俺達が天国へ行かせてやるぜ!?」


う〜わぁ〜…こいつ等…あの色魔より質が悪いじゃねぇかよ!お約束の様な展開にブチ切れそうになるコヨミとゆう子。

コヨミは兎も角ゆう子はマジでヤバないか?今にも飛び出して戦闘開始しそうな勢いの2人を宥めて俺一人で何とかしようと思ったのだけど…

LR級下位レベルの集団では勝ち目がないのは間違いないか…


「しゃあねぇ…危なくなったらこの中に逃げ込めよ!?」


「解っています」


俺達は突如として降り掛かった火の粉を払うべく結界を出て戦闘を始めたのであった。


……


ツェェ…こいつ等、一体一体が黒尾最終形態より数段強いじゃねぇかよ…黒尾が融合に融合を重ねて手に入れた力より強いってどんだけだよ…

でも、強いだけで食欲と性欲に支配された狂戦士バーサーカー状態とでも例えたら良いのかな?連携攻撃どころか力任せに襲い掛かってくるのは単純バカとしか言いようがない。

まぁ、身体の至る所を千切って攻撃してくるのはホラー映画でも見れるかどおか解らんが…てか、間合いが詰められないからって首から千切って頭を投げ付けてくるのは止めてくれよ…マジで怖いから!!


「・・・楽しそうじゃの・・・」


「えぇ…格上を相手に善戦しているどころか、戦いながらどんどん強くなっています

それに、あの男の中にもう一人居ますね」


「フム・・・アレは・・・?!何故アレがあの者の中に居るのじゃ?」


「楓夏様?」


「右近よ

直ぐに水面様の下に行き、五平と千代を連れて参れ」


「何故?」


「妾があの者達と行動を共にするからじゃ」


「正気ですか?」


「正気じゃ!早く行って参れ!」


「ぎ…御意」


さて…どお切り抜けるか見物だのぅ…天丸よ何時でも助っ人に入れる様に準備しておけ


バウッ


レイ達の戦いを見て勝利を確信している楓夏ではあるが、不測の事態が起きるのはいつの世も変わらない。万が一に備え、天丸を臨戦態勢にさせておくのを忘れずに成り行きを見守る事にする。


楓夏様と右近の間でそんなやり取りが成されていたとは知らない俺達は10体のLR級と戦闘を繰り広げていた。


不動妖縛陣 改!


コヨミお得意の妖縛陣が炸裂し、5体のLR級がその範疇に捕まったと思ったら、3体が難なく陣を抜け出してゆう子を狙う。


「うへへ…ムッチリフトモモ…プリプリオッパイ…たまらん…」


まさかとは思うがこいつ等…スケベ根性だけで陣を破ったのか?

そんな事があるんだな…コレが…陣を破った幽霊の視線はゆう子の首から下しか見ていないしよ。アッサリと逃げられたもんだからコヨミが怒ること怒ること。

引っ掛かった2体を一瞬で消した直後、背後から抱きつこうとした幽霊が不動明王に真っ二つにされていた。


で…肝心のゆう子はと言うと…


「あ〜らお兄さん方

そんなにあたいとエッチな事をしたいの?」


って…艶っぽいしぐさをしてノリノリで誘惑しているよ。そのしぐさを見て、我慢の限界を迎えた3体の幽霊は獣の雄叫びを轟かせ我先にと襲い掛かる。

一見バラバラに見える3体の動きではあるが、お互いの動きをカバーしあい、確実に獲物を捕らえると言った完璧な連携攻撃だ。


待って!


最悪の結末しか想像出来なかった俺は即座にフォローに入ろうとしたのだけど、その俺を真智子が止める。

何で止める!?と抗議する俺にゆう子を指差してゆう子ちゃんを良く見てと返事をする。


ヒラッ…


目前まで迫った幽霊共の目の前に舞う大量の桜の花弁が敵の視界を塞ぎ、まるで乱舞するかの様に飛んで行き敵を切り刻む。


乱れ花吹雪!


うーむ…桜の花弁では大したダメージは与えられないだろうと思ったのが正直なところだが、一枚一枚が霊気で作られた桜の花弁はどんな刃物より切れ味が鋭く抜群の威力を誇り、敵を切り刻む。然も、自身が生み出す風の力が強ければ強い程、その威力も増して行くと言ったある意味恐ろしい技だ。

これは後で実験した時の結果だが、厚さ3cmの鉄板を軽々と切り裂く事が出来る程の威力がある事が判明している。


てか、そんな技を何時習得したんだ?


と…2人の事を心配している場合じゃないな。

アッという間に6体殺られて残る4体が本気で俺に襲い掛かってくる。


アッ…そこ…ダメェ…!!


襲い掛かってくるのは良いけど、戦闘開始直後に仕掛けて置いたゴミ箱トラップに3体の幽霊が引っかかり速攻で消える。

いやぁ〜アレに気付かないと言う事はオツムの方は黒尾と同等だったって事だね。

真智子相手に繰り返してきた地獄の特訓の成果が出たぜ。

残るは後一体!コイツも速攻で消して…っと…行きたいところだけど、最後の幽霊…なんか変だ。

何が変かと言うと、雰囲気と言うか霊気の質が幽霊とちょっと違うんだよ。

なので、俺は霊気刀ではなく対幽霊用のハリセンを使用して思い切りひっぱたいでみた。


「テメェ!幽霊じゃないな!?」


幽霊ならハリセンの一撃で消滅しないまでもかなりのダメージは与えられた筈なのにほぼノーダメージ。

それでも一定以上のダメージはあったらしく、思い切り痛がってはいたけど、弱った感じではない。


「痛いなぁ〜もぉ〜!完璧に偽装していた筈だったのに何でオレ様が幽霊じゃないと解った!?」


ダメージから回復した幽霊モドキは幽霊の姿から軍服姿の男に変化したかと思ったら疑問を投げかけて来た。


「単なる感だよ カ・ン!」


「なっ・・・感だけで見破ったと言うか!」


「俺…こう見えても色んな幽霊や妖怪と戦っているんだぜ?相手が幽霊か妖怪かなんて考えなくても見分けられらぁ!」


「ほぉ?もしやお主が提督を倒した村岡とか言う幽霊か?」


「ブッブー!大ハズレ!俺の名はレイ!言っておくけど、俺はアイツより強いぜ!?」


「村岡ではない…?

まぁ良い…俺の名は少佐!提督の眷属なり!」


この少佐は他の眷属と別行動をしている者みたいだな。

格闘戦を仕掛けて来る少佐の攻撃を躱しつつカウンターをブチかまし、畳み掛ける様に連続パンチを繰り出したまでは良かったが全て躱され反撃の一撃を貰ってしまう。


一進一退の攻防は暫く続くのであった。


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