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気が付いたら幽霊やってました  作者: 京子
第6章 風神 楓夏
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第102話 そりゃないぜ楓夏様!

風龍神社…この中にさえ入れれば…


風龍神社の鳥居を見上げるレイ達。

何とかして神社の中に入れないかと周辺を捜索していた。

中に入れさえすれば妖綺譚の裏付けが取れる筈と考えての事だが、どおやら花岡玉斉がよく使う手法とは違う結界の様だ。


と…するなら…


結界を張る為の物は神社の本殿の中又は神社に祀られている風神か龍神が張っている事となるのだが、中の様子が伺い知れないので確かめる術は無い。

生前、何度かこの神社に訪れた事のあるコヨミの話によると、結界を張っている物は存在していないとの事だ。


と…なると、可能性は後者の方になるのだが…


結界の件に関しては、妖綺譚にも記述が無い為にどおしようもなく、入れない=諦めるしかないと言った結論に達するレイ達は別の入口が無いかと気持ちを切り替えて探す事にしたのであった。


その時…


「その神社はそなた達の様な人ならざる者達が入って良い場所ではない 即刻立ち去るが良い!」


突如として聞こえて来る男性の声。

レイとゆう子には初めて訊く声であるがコヨミと真智子には懐かしいその声に一同振り向くとそこには


「お父さん!」


そう、そこに居たのは海野三条と弟子の月光がニコやかな表情を浮かべて立っていたのである。


「ほお?何故、玲奈がそこに居るんだ?何を血迷ってこの世に残っておる!?」


「エッ…あ…お母さんから何も訊いていないの?」


「知らんなぁ…私だけ除け者にして何をしていると訊いているのだが?」


「あっそ!あたし達が何をしようとお父さんには関係ないから黙っててよ!」


「そうはいかん!どおせそこのクソ幽霊と関係あるのだろうが!」


「あたしの旦那をクソ幽霊扱いする!?!?」


「旦那とな…私は許した覚えはないけど?」


「子供じゃあるまいし、何でお父さんの許可を貰わないといけないのよ!?死んでも娘を縛ろうなんて頭おかしいんじゃない!?」


「そこまで言うか!?死んだらあの世に逝って転生の準備をするのが自然の流れだろうが!?」


「・・・メンドクセ・・・」


「レイ?」


「オレはオレの目的の為に動いているだけだし、その為にはコヨミもゆう子も俺の中にいる真智子も必要だ!何にしても俺はコヨミを愛してるんだよ!邪魔しようってんなら爺さんと言えどタダじゃぁ済まさねぇぞ?」


「そうかい!!」


ウグッ!!


「冥界葬送陣!怨霊ですらあの世に強制葬送する陣だ!大人しく旅立つが良い!」


突然地面に陣が発生し、そこから発生した光が俺を包み込んだと思ったら身体が金縛りになった様に動かなくなる。すると周囲から大量の白い手が俺をあの世…つまり、霊界へといざなおうとする。


うーん・・・この陣って・・・


動けないが、何故か冷静で居られた俺はこの陣について考えていた。

そして導き出された答えは閻魔の劣化版だって事だ。

てか、この陣に閻魔を上書きしたらどんな効果が獲られるんだろうとか考えていたのだが、こんなの破る必要もないね。

真智子の様子を伺うとサッサと脱出したら?と言った表情をしている。

俺は近くに設置してあったアンテナと入れ替わり、どおなるかを観察する事にした。

案の定、白い手はアンテナを捕まえた迄は良かったが、その時点でアンテナが崩れてしまったからそのまま消えてしまった様子。その様子を見て爺さんまでもが勝ち誇っているよ…

うーむ…光に耐え切れずに消滅したか地獄に落ちたかと思ったか?

そんな事はドオでも良いけど、爺さん相手に攻撃するのも気が退けるよなぁ…


と…言う事で…


俺は分身体と共に瞬間移動で爺さんと弟子の月光の目の前に出現し、喉元に霊気刀を突き付ける。


「チェッメイトだ!」


消えた筈の俺が出現し、あまつさえ喉元に刀を突き付けられたとあって狼狽える2人。


「あの陣からどおやって抜け出せたと言うんだ!?」


信じられないと言った表情の2人にネタばらしなんか出来るかい!とツッコミを入れた後で刀を納めてアレが最大級の技なら俺には勝てんよと言ってやった。

いきなり攻撃してきたら驚いたけど、伊達に妖怪やSSR級相手に戦闘を繰り返してないやい!


「お父さんの負けよ!?コレ以上続けるのならあたしも相手になるけど覚悟は良い?」


俺の力に驚愕しながらも何か納得いっていない様子の爺さんに対して背後に不動明王を出現させて威嚇するコヨミ…てか、コヨミさん…幾ら何でも実の親相手にそれは大人気なくね?


と…その時…


「先程からドタバタと喧しいわ!此処を何処と心得ておる!妾の領域ぞ!」


凛とした女性の声が突如として周囲に響き渡る。妙に聞き覚えのある声の主を探して辺りを見回すと、鳥居の内側に10歳位の少女が巨大な三つ首の犬と共に俺達を睨みつけていた。


まさかこの少女は…いや…いやいやいやいやいや…まさかこの少女が風神 楓夏様だとか言わないよな?

確かに歳に似合わない偉そうな物言と傲慢な態度はそうとしか言いようがない。然も、少女から立ち昇る神々しい程のオーラは人でも妖怪でもなく、間違いなく神のソレだよ。

それに、三つ首の犬って…天丸か?


「貴女様は・・・風神 楓夏様・・・?」


思わず出てしまったその名前に少々驚いた表情になったけど、直ぐに傲慢な態度に戻り


「五平が残したあの書物を解読したと見えるの…では問おう

何故お主は正義の味方みたいな真似をしてまでこの世に残ろうとしているのじゃ?」


ウェッ!?何でそれを知っているんだ?コヨミ達も首を傾げてるよ。

俺の…いや、俺達の疑問を知ってか知らぬか詰め寄る楓夏様。

俺が何であんな事をやっているかって?そんなの彼奴等がムカつくからに決まってんジャン!

そう言ってやると、そんなものは祓い屋とかに任せておけば良いではないか?生きている者の事は生きている者達に任せておけば良いと言い出す楓夏様。

確かにそれが正解かも知れないよ?

でもさぁ…俺達の事を知っている癖に浦川学園の事や黒尾みたいに生前の快楽が忘れられないが為に生者を使い悪事を働く幽霊や人間の事を単なる餌としか見てない妖怪が出没している事は知らんのか?彼奴等は真綿で首を絞める様にジワジワネチネチと生者を苦しめて殺すんだぜ?確かに幽霊が関与していない事もある。そう言う事こそ楓夏様が言った通り生者に任せたら良いと思う。

ふと気がつけば、真智子が俺を怖がっている様子。


あ・・・俺・・・知らない内に怒りマックスだったみたいだな…全く…出会う奴皆口々に同じこと言いやがる…然も、何で知っているのか知らないけど悪事を働く幽霊や悪妖怪を退治している事まで知ってやがる・・・ン?マテヨ・・・?

俺の事を知っていてレッドとかあの5人組の事を知らない?


何で?


ひょっとして…何かを試されてる・・・のか・・・?


ンなこたぁどおでも良いや…俺はこの傲慢な態度の神様にありったけの想いをぶつけてやった。


「輪廻?転生?ンなこたぁドオでも良い!俺は俺の記憶を取り戻したいだけだ!それからの事はそれから考える!

こいつ等はどぉ考えているか解らんけどよ

俺にとって生者は遊び相手なんだよ!脅かしてビビらせて悪戯心満載で遊ぶのよ!

悪意満載で生者を貶めて命を奪う奴らが気に食わねぇ!

だからぶっ潰す!

それだけだ!」 


俺は想いの丈をこのお子さ…いや…楓夏様にぶつけてやった。


すると…


「だ…そうじゃ…三条よ…どおじゃ?合格か?」


何やら楓夏様が面白そうな表情を浮かべてじ…三条を問い質す。


「はい…この者達は確かな覚悟を持って行動している様子…私はこの者達の意思を尊重したいと思います。」


この2人…グルだったのか…やってくれるぜ…まったくよぉ…

まぁ、風神 楓夏様がこの神社に祀られていたのが確認出来た事で、妖綺譚の裏付けが取れた訳だから俺の目的は果たしたと同然だし、何だか気が抜けたのでコヨミ達を促して首塚の調査にでも行こうと思ったのだけど楓夏様ってば


「待て!妾の話はまだ終わっておらぬぞ!?」


とか言って俺達を風の結界に閉じ込めやがった!神気が込められた風が俺達の身動きを封じる。

クッソ!この結界は俺でも脱出不可能だぞ!


「これ位の結界に閉じ込めなければお主達は抜け出てしまう様じゃからの

三条よ

暫しこの者達を妾の監視下に置くが文句はあるまいな!?」


「有りません…」


三条の返事を受け取った楓夏様は結界ごと俺達を神社の奥へと連行する。

オイオイオイ!俺達をいったい何処へと連れて行くつもりだよ!

神社の奥にポッカリと開いた洞窟の中へと連れ去られた俺達はトンでもない事実を知る事となる。

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