第8話 兄弟たちは少女を知る。
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扉から数回ノックが聞こえた。
音に反応してアレンはさっと立ち上がる。
アレンが指を口元に添える。喋るな、ってことかな。
アレンは音もなく腰の拳銃に手をやる。そして扉越しに話す。
「合言葉は。」
少し曇った声が返ってくる。
「合言葉?…お兄ちゃん大好き?」
はぁ。とアレンのため息。
「違うしそんな恥ずかしい言葉にしてたまるか。」
苦虫を潰したような表情をしながら扉を開けるアレン。
外には難しそうに考えているヘイマンが立っていた。
「開いた開いた。やっほ、こんばんは。」
ヘイマンが私に視線を寄越して手を振る。
「あ、こんばんは…。」
やっぱりそっくりだ。2人揃ってると分からない。
「どうやって宿が分かったんだ?」
アレンが疑問を口にする。
「あぁ。宿回って聞いたのよ。僕はどこの部屋だっけって。そしたら教えてくれた。通してない客は憶えてないはずだから。」
確かにぱっと見分からないし、便利(?)な確認の仕方だと思った。
「双子トリックが雑だな。もっと隠してる方がミステリアスな感じがあって良いのに。」
アレンが愚痴る。
「ミステリアス…?これで良かったことより悪かったことの方が多いんだからね。」
ヘイマンが異を唱える。着ている服を脱ぎ始める。
そしてラフな部屋着になった。
あんなに力が強かった割に、見た目には全然現れていないくらい標準な体型だった。
手袋はしたままだった。…違和感あるけど冷え性なのかもしれない。
「で、何を話してたの?」
ヘイマンがアレンに尋ねる。
「鎖のこと。全然口割らないのこれが」
アレンはやれやれのポーズ。
「あなたが言うと犯罪臭がするからやめなさい。」
ヘイマンが諭す。そして、
「僕が外す案はどうなった?」
アレンに聞く。
「まだ仮定だが、無理やり外すと装用者になにかペナルティがあるかもしれない。」
「ふぅん。そもそもなぜ奴隷になったのか気になるよね。」
ヘイマンが私に話しを振ってくる。
私は口を固く閉じる。
「まぁ人に過去話し話すくらいの信用はまだないか。昨日の今日だしな。」
アレンが横からぶっきらぼうに言う。
「そういえば、さっき買い物をしているときに面白い話しを聞いてきた。」
「お!なになに、気になるね。」
ヘイマンが嬉々として聞く。私も黙って追随する。
「良いニュースと悪いニュースどっちが聞きたい?」
アレンが嬉しそうに話す。
「うわぁー。そうだな、悪い方で。」
「ふふ。聞いて驚け。あの館に忍びこんだことが、もうここらで知られている。そして指名手配も出されてる。」
「うわ結構なことじゃん。手配書出されてるのは早いなぁ。」
私も驚いた。昨日のことなのに人の耳はこんなに早いものなのか。
「そしてあの領主は結構な金持ちらしく、兵の規模が他と違う。噛み付いたのはいいが中々手ごわいかもしれない。逃げるときにおいてだが。」
アレンは淡々と報告する。
ヘイマンが頭を抱えている。
「すると僕ら、とんでもないパンチかましたね。あとが怖いね。」
「さらに、その領主は自分にとって害をなすものの体裁が酷いらしい。これは地域住民から話しを聞いていただけでよくわかった。」
うんうんとヘイマンが頷く。
「なるほどね。で、良いニュースは?」
「ふふふ。どうやらその領主はなんでもお気に入りを手に入れたそうだ。
その名も神託の子。自分に起こりうる未来を予知できるらしい。それが最近奪われたらしい。」
神託という言葉を聞いて微動する私。
「へぇぇ。悪いやつもいるんだね。ダメだよ勝手に人攫いなんて。」
相変わらずうんうんと頷くヘイマン。
「まぁその話しを大方聞いて察しはついたが、お前だな?ゲルダ」
ぽろっとアレンが私の名前を口にする。
え?とヘイマンが私を見る。
そっくりな2人が好奇心と嬉しさを浮かべて私を見ていた。
徐々にキャラの個性が分かってきました。
次回もご期待ください!
文章の修正、加筆を少ししています。