第6話 兄は追っ手に立ち向かう。
やっとバトルものらしい展開になりました。今後増えていきます。
先ほどより外が騒がしい。
ここを回り込めと声が聞こえる。
「え。もう追いつかれてるの?」
ヘイマンがアレンへと尋ねる。
「いや予想よりずっと早く追い付いてる。そこまで数は多くないだろうけど囲まれてる。」
アレンが疑問を感じずにはいられない表情になっている。
そして続けて口にする。
「ここの出口は2つ。正面玄関と勝手口。呼びかけがあった方向が玄関だけど、勝手口は見張られていると思う。」
ヘイマンだけに言うのではなく、私にも目配せする。
冷静に言っているが私まで緊張してきた。
「大人しく女を引き渡せば命まで取らない!!!危害を加えないと保証しよう!!」
外からの警告が続く。
「だってさ。どうする?アレン」
アレンがにやりと笑う。
「大人しく降参?ないね。兄貴、ここの中で戦闘になるとして、勝算ある?」
ヘイマンが口に手を添えて考える。
「人数による。でもゲルダと一緒に居て守っていくのは難しい。でも多分平気。とりあえず僕が時間を稼ぐから2人は3つ目の出口から出るといいよ。」
「え?3つ目?」
私は声を上げる。
玄関と勝手口しかないのにどうするつもりだろう。
「…安全策はそれしかないもんな。やろう。」
2人は了承する。
そしてヘイマンは一度呼吸を整えると、壁に向かって思いっきり突きを放った。
大きな轟音。
それと一緒に回りが揺れて、家全体も軋む。
「さぁて、脱出口確保。家主さんごめんなさいって感じだけど僕らの安全には代えられない。先行きな。」
ヘイマンは私の肩を叩いてさぁさぁと押す。
前に同じものを見たけど、やっぱり人の力ではなくて動揺が隠せない。
「急ぐぞ。さぁ。」
アレンが私に言い手を引っ張る。右手には小型の拳銃が握られていた。
私たちは外へと駆けた。
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2人の後を視認して、ある程度小さくなったところで後ろを向く。
「さぁて。後始末か。」
僕はグローブをはめる。
少し年季を感じる茶色のグローブだ。
部屋を出て、辺りを確認。
どうやら大きな音を立てたのは威嚇となったのか、踏み入ってこないようだ。
玄関側のキッチンに、人の気配を感じる。
「5人…?くらいかな?」
キッチンに続く廊下を横歩きで移動して、奥を窺う。どこにいるんだろう、あ、男と目が合った。
「…!!居たぞ!!!廊下側!!!」
即座にアサルトライフルを突きつけられる。予想してた通りの行動で身を低くして駆け始める。
急な移動で照準が定まらないのか、僕が移動した後に銃痕が刺さる。
「遅いよ。」
発砲した男の横に滑り込むように入り、手刀で首を叩く。
悲鳴もあげずに倒れ込む。
その音に反応して隠れて居た3人が僕に向かって発砲。
すぐそばのブロンズのオブジェに身を隠す。
「敵はまだいるかもしれない!!そいつをそこから固定しろ!!」
ほぉ。案外頭が回る。こうなったら確かに出ずっぱりになる。
僕は懐からあるものを取り出し、外へと放った。
そして目と耳を強く塞ぐ。
それは閃光弾だった。
甲高い音と、眩しい光によって相手の視覚と聴覚を奪う。
僕は5秒と待たずに像を出て彼等へと向かう。
1人を蹴りで薙ぎ倒す。
その薙ぎ倒した方向は目元を押さえてる2人へと直撃。
中々な力で蹴ったから気絶は免れない。
…静かになるキッチン。
「…終わりかな。」
戦闘態勢を落ち着ける。
そして倒れた人たちの荷物を物色する。僕と同じような閃光弾をいくつか持っていた。
他には弾の補充キット。
「こういう狭いところだったらもっと小型の銃の方が良いんだよ。覚えておくといいよ。」
そう言って僕は彼らの銃口を手で握り潰す。これで銃は使えない。
「4人だったか。さて、合流しよう。」
僕はアレンたちに合流するため走り出す。
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「はい。そうです。壊滅です。男が東の街へと走り始めました。」
草むらから無線で男が交信する。
「男だけで驚異的なパワーを持っているようです。もう1人の男にも同等な力があるかもしれません。」
男は続けて報告する。
すると交信が入る。
「分かった。尾けられるのがバレないように徹底しろ。そして相手が落ち着いたところで強襲をかけろ。単独で行くな。定時の連絡を欠かさぬように。」
それだけ受信が入って無線が切れる。
漏れ残りの男が1人、ヘイマンに連れられる形でアレンたちへと密かに迫って行った。
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