第5話 兄弟たちは紹介する。
やっとキャラたちのプロフィールが分かります。遅い紹介ですいません。ストックがあるので10日くらいは毎日掲載します。
朝が来た。
起きるまで寝ているのがベッドだということが理解できないくらいによく熟睡した。
寝る前の記憶と起きた時の景色が合致していなくて動揺する。
確か私は…
「お、起きたんだね。」
目覚めてすぐに扉が開いて声が聞こえてくる。またそっくり男だった。
昨日のことを思い出して身構える。
目の前でとてつもなく強いパワーを見せられて、警戒しないわけがない。
「………」
何を言うわけでもなくじっと見つめる。その視線を感じとって男が距離を取る。
「あ、まぁ驚かせたよね。ごめんね。」
男は素直に謝って扉まで後ろに下がる。
これでは私が不躾な態度をとって悪いみたいではないか。
「いや…昨日はありがとうございました。なんか助けて貰っちゃって。」
話しが通じるのならとりあえずお礼を言っておく。
悪い印象を与えるのは得策では無さそう。
「いやいや、あれはうちの弟が勝手にやったから、お礼なら彼に。もうすぐで来るはずだよ。あ、来たね。」
感覚が短い足音が聞こえる。そして勢い良く放たれる扉。
「やっと起きたか!!!このお寝坊さんめ!!!」
また瓜二つな男が明るい笑顔で指差してくる。
急な声と場違いなテンションに身をたじろぐ。
とりあえず色々とツッコミを入れたい。
「頭が寝ててまだ理解してないか。とりあえず疑問に思うことからクリアにしよう!」
男は続けて言う。
そしてさっきから静かな方の男の肩に手を添えて言う。
「おれらは兄弟!!歳は17!!見てわかる通りに双子!!家はない!この住まいは借りた!」
「それも無断でね。生活してる跡はないし、ここは仮住まいだけどね。」
静かな方が喋る。よく見れば静かな方は目元にホクロがついてる。
「それでこいつが兄貴のヘイマン!!おれは弟のアレン!!区別つかないだろう!!」
自分のことを指して自信満々に言う。ドヤ顔が輝いてる。
「…えっと、お兄さんのヘイマンさんがホクロがついてる?弟のあなたは、なんだろホクロがない?」
私がおそるおそる指摘する。すると弟はハイテンションの調子がトーンダウンした。
「なんだ。もう分かっちゃった。そうだよ兄貴にはホクロ。それが見分けポイントだ。」
なんで露骨に残念がるんだろう。
普通に初見では分からないと思うし私だって騙された。
2人が私をじっと見ている。
なにか顔にでもついていたのだろうか。
「それでおれら名乗ったけど、あんたは。」
「あ…。私は…ゲルダ。歳、は…16。昨日は本当に、ありがとう…。」
2人に頭を垂れる。何はともあれ感謝を表さなくては。
「近くに居たから物も人も盗むのは同じだと思って連れてきたからな!」
「かなり違うでしょ。」
「どちらも高値で売れる。」
「ブラックジョークがガチに感じられるからやめなさい。」
安全ではない言葉を聞いて、私はアレンの方を訝しむ。
この人は良い人なのか悪い人なのかどっちなのだろう。
ヘイマンは固いパンを渡してきた。
「これ、いいの?」
私は恐る恐る聞く。
「うん、食べないと身体があったまらないよ。食べたらここを出るよ。出かける準備はいいかい?」
ヘイマンが私に尋ねる。
「大丈夫だけど。どこに?」
私はそもそもこの人たちに攫われてきたのだ。荷物なんて持ち合わせてない。
「ここから…あれ」
ヘイマンが言葉を止める。
「来た?」
主語も何もなくアレンが尋ねる。
そうすると
「お前たち!!そこに居るのは分かっている!!」
外から怒号が聞こえてきた。
読んでくれてる方ありがとうございます。
少しでも読んでくれて嬉しいです。