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第44話 兄弟は次の街を目指す。



私たちは結局無事に屋敷を出られた。

アレンたちの手錠はしっかり外して貰ったけど私の首の鎖は依然としてそのままだった。

そのことに関してヘイマンは強く抗議したが

「鍵がないのよ。」

と一蹴された。

どうやらこの鎖は本当に特別製だったらしく前の領主が詳しく知っていただけでシャルルは分からないそうだった。


本当にそうなのかアレンはずっと疑っていたけど。

おかげ様でまだこの首輪は外れそうにない。


そういえば…

「予知のことだけど、どうしてアレンは切り抜けられたの?」


私が1番気になっていたことを聞いた。今まで私の予知を覆したのは良くも悪くもなかったからだ。


「簡単ではなかったさ。仮定の話しだっただけだ。無茶をしたけどなんとかなって良かった。」

「相変わらず凄い考察…お陰でみんな無事で良かったわアレン。」

褒められてゴホゴホとわざとらしくお腹をさするアレン。

いや、そこは確か怪我してなかったよね?

調子だけはいつも変わらないらしい。


「あれ、スーたちは?」

ヘイマンは屋敷を出てメンバーの少なさを感じた。

「あぁ。問題ない。次の街で合流だ。」 


「え合流って、私たちトラブル続きだったのにいつの間に?」 

私たちあんなに大変だったのにいつの間にそんな話ししてたのか。


「"ゲルダが攫われたら次の街へ、ゲルダが攫われなくても次の街へ"と伝えてある。」

淡々とアレンは話してくる。

この人さっきまでボロボロだったし危なかったのに。

私が横からツッコミを入れようとするとそれを察したのか、

「アレンは先の事を考え過ぎているからね。将来絶対禿げるよ。」

とヘイマンが嬉しそうに話す。

うるせーとアレンが小突く。


そんな光景を見て私もホッとした。

とりあえずは追われることはしばらくなさそうだ。この人たちと一緒に居ると息をするのも忙しく巡るましい。



次の街までは馬車の乗り換えをして2日ほどで着いた。

その間に他の街も通りがかったけど手配書も全然なかった。

いや手配書自体はあったけどアレンやヘイマンの顔が描かれていた手配書はなにもなかった。

それを見ていたのを察したのかアレンは

「統制が早すぎるよな。」

と横で呟いた。

「前の領主はまだ可愛げがあったというか。そこまで危ないやつではなかった。だがあのシャルル、本当に有能みたいだな。」


私はアレンの話しを聞いて訊ねる。


「シャルルって人、そんなに有名なの?」

私はまだそこまで危ない人には見えなかった。

「僕もそこまで知らないな。アレンはどこで知ったんだい?」

ヘイマンも話しを聞いてたのか身を乗り出す。


「まぁウワサだ。とにかくそこまで仲良くならない方が良い。」

アレンは横目にそう言った。

「なんかふわっとしか教えてくれないね。珍しい。」

ヘイマンはもっと聞きたいと更に身を乗り出す。

「あまり知り過ぎたら良くないこともある。」

アレンはそう言ってはぐらかした。

とにかくおっかないらしい。


私たちはその後次の街である所へ着いた。


まず先に宿を取って荷物を置いた。

私も小さくない荷物を整理していると

ヘイマンが喋りかける。

「ゲルダ、ここの街を折角だから散策しない?来たことないだろう?」

ヘイマンが気を遣って提案してくれる。こういう優しいところはヘイマンの良い所だ。


「そうね、珍しい機会だから行こうかな。アレンは?」

私はアレンも誘おうと振り返る。

しかし当のアレンは

「パス。寝る。」

と横になって寝始めた。

羽根を伸ばすために提案したけど疲れていたのかもしれない。



やって来た街はノーランドという所だった。

商人が行き交う街で人の往来が激しい。

アレンがこの街の良い所を言っていたのは

「よそ者にも理解がある。」という点だった。

私からしたらへぇ、くらいにしか思わないけど。

考え事をして黙っていたらヘイマンが察したように話す。

「この街はよそ者に関心をそこまで寄せないってアレンが言ってたの憶えてる?恐らく僕らの状況を鑑みてここが過ごしやすい街だと目星をつけたんだと思うよ。」


「どういうこと?」


「つまり、前追われていたことを考えると姿を眩ませたかったはず。アレンはそれを見越してこの街を選んだはずだよ。スーたちも身を隠しやすいしね。」



「あ、すごい。そういうことだったんだ。」

度々アレンの考える先はまだ私には追いつかない。

いや追いつこうとは思ってないけど深く考えすぎて脱帽する。


「着いたよ。」

考え事をしていたら目的地にたどり着いたようだ。

私たちは食堂に着いた。


ここで腹ごしらえをすることにした。

「ていうよりもここはスーが好きな食堂なんだ。ここで待ち合わせをしているんだよ。」


適当に注文をオーダーする。


出てきたのは豚肉のアイスバインだった。

あまりこういうのは食べ慣れてないので食べ物を見つめる。それを見ていたヘイマンが話す。

「あまり見かけない料理だよね。異国の料理らしいよ。」

熱いお肉ではなく温度を感じさせない。しかしお腹が減っているので美味しそうに見えた。どうやら香辛料が入っているようで食欲をそそる。玉ねぎとじゃがいもも盛り付けられていた。スープにもなっていてスプーンで掬う。

塩味がしっかり効いていてあれだけ動いた身体に馴染むのが分かるくらいには疲れていた。


美味しくて無我夢中で食べる。


「ここの店主が小さい子を見るとよくサービスをしてくれるんだ。」


ヘイマンが食べながら教えてくれる。

そうなんだと相槌をしながらかぶりついて食べた。

スーでもそこまでガッついて食べないけどねとヘイマンに苦笑いされた。

お腹が減っている時は見逃して欲しい。

私たちは満足行くまで他の物も食べた。

アレンは宿に泊まっていたけどこんなに美味しい物を食べないで良かったのかと少し心配した。

来ない選択をしたのはアレンだから仕方ない。あとで持ち帰ってあげよう。


私たちはスーたちを待った。

しかし、しばらく待っていてもスーたちは現れなかった。




面白いと思った方!その右手をブックマークに添えてください!


ここまで初期の構想で書きたかった部分は書き切れました。ここから自分がこの物語を書いていて楽しくなるストーリーがどんどん思い浮かぶのでこれからも更新してまいります。

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