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第4話 兄弟たちは逃亡する。

4話投稿です。短めです。



闇夜の中紛れる2つの影。

フード付きの外套を被り人目を凌ぐ男2人。そのうち1人の背には少女が背負われていた。

走りながら男が喋る。


「実際連れ出したのいいけどどうするの?」

「…?知らないよ?」

「知らないってあなたね…。」

「これからどうするか、この子が決めるんだよ。おれらじゃないんだよ兄貴。」

「それを無責任と人は呼ぶけどね。」

男が呆れている。そして続けて

「選ぶ道が少ないこの世界に決めるとかあるのかこれ。」


とぶっきらぼうに言った。

「まぁとりあえず目醒めたらって話し。」


そう言って少女を背負い直す。

会話はそこで終わり、足早に目的地へ着く。林の中に家が1つあった。

ある程度広く、ただ中は埃一面で覆ってあり、ある程度の生活感が出てる部屋であった。

そこに比較的綺麗なベッドへと、男は女を下ろす。


「あー重かった。兄貴やってくればよかったのに。」

「僕がやると骨とか折ったら取り返しつかないからね。」

手袋をはめながら兄貴と呼ばれた男は苦笑い。

「それを言われたらおれがするしかないやつ。」

弟は手を挙げて降参のポーズをした。

2人は慣れた手つきで着ているものを脱いでいく。


「…側から見たらこれから男2人に食べられる図って思われてもおかしくない。」

「やめなさい不謹慎な。無防備でしょうが。」

「分かってる。無抵抗な人にそんな趣味はない。」


そうして1人は寝袋を取り、1人は毛布を持ちながらスコープ付きのライフルを取り出す。

「そんなら見張りは2時間交代ね。」

「いや短い、2時間半!!」

「…はぁ、優しいお兄さんに感謝するんだぞ。」

「うん兄貴大好きおやすみ。」


言い終わると一瞬の内に睡眠に入った。

すやすやと寝ている安心しきった目で寝袋に包まる弟は、悔しいが可愛かった。

その横で疲れきった表情で寝ている女。


「…不憫だなこの子も。どうなるんだろう。まぁ奪った以上どうにかしなきゃ。…さぶい。見回りするか。」


女に喋りかけるわけでもなく、外に向かいながら独りごちた。


外は冷え切っていた。



~~~~~~~~~





少し前の時間帯にて、領主館の書斎で聴取が行われていた。


「…それで、この檻から逃げられて奪われたと?」

今しがた帰ってきた領主が事の顛末を聞いたばかりであった。

赤服を着たガタイの良い男に報告されて、大変不機嫌になっていた。

大柄な男は額に汗が止まらない。


「はい…流れるように侵入してこの檻のロックを一瞬で…応戦したのですが。」

赤服を着た男は自分の行ったことが軽くならないか必死に説明する。


しかし領主はその言葉を聞いて眉が釣り上がる。


「…応戦したのか?誰の許可を得た?」

「いえ…私の独断であります。主の所有物に手を出そうとしていたので…」


領主は机に拳をぶつける。

いかにも大きな音を立てて、赤服の男は肩をすくめる。

「確かに私の所有物をとられまいとした行動は良い。だが応戦して私の所有物を傷つける可能性を含めるのは好ましくない。」

領主は男を目で詰った。


「あの子は特別なのだ。なんとしても取り戻せ。行方がわからない等は聞かない。早く行け。」


そう言われると即座に赤服の男は足元を揃えて右手で敬礼をした。

そして一礼垂れて足早に扉から退出した。

足音が遠ざり、静まりかえった頃、領主は椅子に深く座り直す。


そして思い返す。

「あの牢は特注のギミックにしてあったのに、どうやって外したんだ。一瞬で外すなんて人の為せることではない。」


誰に聞かせるのでもなく疑問の念を吐かずにはいられなかった。

「だが絶対にまた取り戻してみせる。首輪があれば追いかけられる。」


領主は薄汚れた笑みを浮かべた。

彼らへと追っ手は差し迫っている。

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