第30話 少女は末っ子の可能性を見出す。
1週間に一度のペースでも大変なのに他のなろう作者さんの更新ペースに驚いてる今日この頃です。
今回でやっと30部超えました!
しかもアクセスも1100回突破という!!めでたい!!
今回地味に1番長いです!!(なぜ)
私たちはスヴィンを連れて宿へと戻ってきた。
帰ってくるまでスヴィンはヘイマンにべったりだった。
その様子を遠巻きに、私とアレンは並んで歩く。
「ところでゲルダ、さっきはスーに会って驚かせたな。おれからもすまない、危険な目に遭わせた。傷が出来ているがどうだ?」
アレンが私の怪我を心配してくれる。
今日はなんだか優しい。
「うん。傷は浅いし大したことないわ。ありがとう。」
「そうか。それにしてもお前もおれたちと居て変わったな。さっきは人質になっていたのにもう落ち着いてる。胆力の塊だな。」
アレンが茶化したようなことを言う。
「む。そんなことない。本当に驚いたんだから。というか本当にアレンたちの弟なの?もうこれ以上弟とかお兄さんとか出てくるんじゃないの?」
「待て待て、もう弟も兄貴も居ない。そんなにたくさん居ても困る。」
アレンは分かりやすく嫌そうな顔をするが、どこか嬉しそうだ。
「これで兄弟は揃った感じかしら。」
「そうだな。スーも中々癖があるから多めに見てやって欲しい。」
アレンに言われなくてもそのことは察していた。
今後私に危害が増えなければいいけど。
「ゲルダ、お前は小さい頃遊んだ記憶とか憶えているか?」
歩きながらアレンが急にそんなことを尋ねる。
私は少し動揺して嘘をつく。
「え?そうね…。遊んで楽しかったところとかは所々憶えているけど全部覚えてるって言うのは無茶よ。」
私は無難な回答を答える。
アレンから見られる真っ直ぐな瞳が辛い。
「だよな。いや、ちょっと気になって。」
アレンからそんな話しを振られるとは思ってなかったので意外だった。
今の誤魔化しはバレてないかな…?
昔のことを聞くなんて、もしかしたらスヴィンを見て昔を懐かしく思ったかもしれない。
「ゲルダ、あんたは兄弟とか居たのか?」
アレンが珍しく踏み切った質問をする。
そういえば、私はこの人たちに自分のことをほとんど話してない。それなのに私を助けてくれたり慕ってくれる。
「ええ。いるわ。弟がいる。」
私は真実を答える。
「ふぅん。ゲルダは年の割にしっかりしているとは思ってたからなんとなく想像はついていた。」
私たちの会話を前で聞こえてたのか、ヘイマンが割って会話に入る。
「年の割ってそんなに変わらないし。」
私は分かりやすく膨れる。
「まぁそうだな。だがお陰でやりやすかったのはあるな。今は弟はどうしているんだ?」
アレンは何気なく聞いてくる。
私はその質問を返すのを少し戸惑う。答えは出ているが、なんて伝えようかと。
うーん。
「…確かに"弟はいる"わ。けど前に亡くなったのよ。」
アレンには正直に話すことにした。アレンの前では分かってしまうだろうから。
少し間が空く。私はここまでの流れと合わせて、その間に疑問を覚えた。
「あ、そうか…。嫌なこと思い出させて悪い。」
「ううん。平気。もういつぐらい前だったのかも憶えてないから。」
私は話しながらアレンを注意深く観察する。
特にアレンからの反応がない。
「こういう時にフォローして。」
私は柄にも無く茶化す。
「こういう重たい話は苦手なんだ。言葉にしようがない。それだけだ。」
アレンはバツが悪そうな表情を浮かべる。
アレンにも気を遣うということが出来るんだと少しの関心と疑問を抱いた。
それからアレンは考えこむように黙って歩いた。
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宿に着いてから改めて自己紹介をした。
見かけは少年だがこの子に拉致されてたなんて思えない。
「おねーさんって、まほー つかえる?」
スヴィンが私に振ってくる。
「魔法?そうなんじゃないかな?なんか使えるし能力とか。」
私は手を開いたり握ったりしてみる。特に何か出てくるわけではない。
「魔法なんてない。ゲルダは能力者だ。だがおれの知ってる能力者っぽくない。ゲルダは毎回詠唱を必要としている。無詠唱で使っているところを見たことがない。」
「え?まぁ確かにそうだけど、ほら。唱えないとイメージが湧いてこなくて難しいのよね。」
「そうなんだ。僕らも今まで能力者と会ったことないからまだサンプルも無いし無理もないと思うよ。」
ヘイマンがフォローを入れてくれる。
「ね、スーのベットない?しらないひとが、ねてる。」
スヴィンが寝ているオリバーを見て不満をぶつけてくる。この子は見た目通り思ったことを口にしやすいのかな。
何しろ診療所に行って襲われてそのまま宿へと戻ってきたのだから落ち着いたところだ。オリバーは安静にさせている。
「その子はオリバー。歳はスーと同じくらいか。」
アレンがふと思いついたかのように言う。
「スー、お前に聞きたいことは色々あるが1つ確信に分かることがある。」
「なぁにあーちゃん。」
「お前最近かまた以前に能力者に目覚めただろう?」
アレンがスヴィンへと促す。
それに対してスヴィンはあっけらかんと話す。
「そうだよあーちゃん。わかってたの?」
「ああ。だからここにいるのかと思っているくらいだ。どんな能力だ?」
そう聞かれてスヴィンは嬉しそうな表情をする。
「ふふ。スーはね、つくったり ぶんり したりなんでもできるの。」
スヴィンはドヤ顔で顔を上に向けて偉そうにしてる。私からはしゃくれてるにしか見えない。
「スーは元々作ることに関して優れているんだ。前にゲルダに酔い止めを飲ませたことがあったよね。あれはスーの自作だよ。」
「酔い止め?兄貴何の話しだ?」
アレンは話しが分かっていないのか疑問の表情を浮かべる。
「あー…。あ、あった。」
私もやや遅れて思い出す。ここに来るまで下山する時に飲んだのをすっかり忘れていた。
あの酔い止めを飲まなきゃ3人の前で酷い有様を垂らしていたかもしれない。
今になって思い出すとこわい。
そして思い出すのと同時に1つ思いついたことがあった。
「もしかしてスヴィンなら、ここにいるオリバーをなんとか出来るんじゃない?」
私の発言にスヴィンはきょとんとしていた。
いかに飽きさせないかという趣向を凝らして日々終わる。
そんな毎日。
日々見てくださってる人ありがとうございます。




