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第25話 兄弟たちは少女に頼る。

また1週間ぶりの投稿です。

最近暇があるとストックを書き続けています。

来週海外なので更新ペースにラグがあります。

25話どうぞお読みください!




店に着いてから兄貴、おれ、ゲルダ、オリバーの4人と食堂で食べている。

ゲルダがおれに何か言っているが辺りがうるさくてよく聞こえない。

とりあえず笑っておくことにしよう。


意識を外へと向ける。

耳へと会話が聞こえてくる。

愚痴の話し、女の話し、褒める話し。数多の喋り声の中から必要な情報をピッグアップする。


「今日も疲れたな。館の見回り。」

「全くだ。警戒すれども早々侵入者なんて来るものでもない。屋敷が広いから警戒するのも骨だ。」

「その通りだ。そのくせ給料も弾まないからここで愚痴を言うしかない。」


なんておれは運が良いのだろう。

店に入ってまず中の人の服装をみた。

ゴロツキから騎士まで居るが、おれは比較的服装がフォーマルな格好しているひとたちがいる端の方へと店員に頼んだ。


今回も前と同じように街で1番金を持っているところに盗みに入るためだ。

この街の規模はそれなりに大きい。

そのため従事している兵士や給仕が居てもおかしくない。

前よりかはあたりはつけやすい。


おれが目をつけた男は2人。細い体型で目つきが良くない男と身体つきがしっかりしている男。

そのうちの目付きが悪い男がもう一方の男へと話しを振る。


「お前、2日後の遠征には行くのか?」

「あぁ。領主様が他国を回るみたいだからな。おれは同行する。普段退屈だから良い時間潰しになる。」

「それは羨ましいな。残る奴もいると聞いていたからお前も俺と留守番かと思ったぞ。」

「へへっ。他の国の女でも引っ掛けてくるぜ。」


なるほど。

やはりこの街の領主に仕えている者だった。

「それと、最近この街でも能力者による被害を聞いたぞ。物騒な世の中になってきたな。」

「俺も聞いた。どうやら会った人大半は殺されるらしい。それも若い男と聞いている。恐ろしいことだ。」


ほぅ?

この街にはやたら物騒な奴がいるのか。

聞いていてもどんな能力を使うのかまでは分からなかったが用心するにこしたことはない。


男たちはそれだけ話すと雑談に終始終わった。

収穫はそれくらいか。

おれは残ったジョッキのビールをグッと飲み干す。

フラフラと覚束ないながらに宿へと戻る。


~~~~~~~~~



宿に帰って寝る支度を済ましている頃にアレンが帰宅した。


「おかえり…て酒臭い。」

アレンは少し顔を赤らめて帰ってきた。


「あ、帰ってきた。」

ヘイマンがさっと水を渡す。動きが手慣れていた。

少しアレンが落ち着くのを待ち喋り始める。


「明日からの行動指針が決まった。今日行った酒場は大いに収穫があった。」

そう言われても私には心当たりがない。


「…ご飯が美味しかったからまた行きたい?」

私は素直に口にする。

するとヘイマンが横から喋る。

「言葉通りに聞いたらダメだよアレンの話は。話の真意を読もう。」

ヘイマンが言う。


「その通りだ兄貴。ゲルダはもっと注意深さが必要だな。おれはただ食事してたわけじゃない。しっかりと情報を得てきた。」

「??…というと?」

私は疑問を口にする。


「酒場はここらの情報を集める上での共通認識だ。浮浪者から街の騎士まで様々な奴が出入りする。その中でこの街の領主へと仕えている話しを聞いた。」


アレンはただ食事をしているだけではなくしっかりと周りにアンテナを張っていたのかと思うと私は驚いた。

…その割にはお酒に酔って辛そうな情けない姿だけど…。


「明日は屋敷に盗むための準備に使う。他にも調べてから2日後に行う。」

「2日後?結構早いね。前はもう少し余裕持ってたでしょ?」

ヘイマンが指摘する。


「あぁ。2日後に街の領主が遠征で居なくなるらしい。この機会を逃すわけには行かない。それにここら辺は平和ボケしている。いつも通りの手筈で行けば大丈夫だ。」

アレンは自信を持ってヘイマンへと視線を交わす。

ヘイマンが頷く。


「ゲルダにも仕事をしてもらいたい。」

急に私へと振られる。

「…え?私??」

動揺する私へとそっくりな兄弟2人が好奇心の目で私を見ていた。


…この流れに既視感しかない。


だいぶ話数も上がってきました。

ノリで書き続けているので本人が1番よく続いてるなと感じてます。

これからもささやかな応援おねがいします!!

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