第23話 少女たちは馬車に揺られる。
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まず私は偵察に行っていた部下の報告を聞いた。
「…なんですって?いきなり光って消えた?」
「はいシャルル様…。雇った男は捕まっていたので吐かれる前にこちらで抹殺しました。」
意味が分からない。私は頭を抱えた。
あの奴隷の女が能力を使った話しを聞いていなかった。
「逃げるためには盗賊にも協力する、ね。厄介だわ。」
私は独りごちた。
「もしかしたらあの女に移動できる能力があるのかもしれない。周辺を捜索して大体の移動できる距離を割り出しなさい。いくら能力といってもそんなに規格外な距離には行ってないはず。」
「はい。分かりました。」
護衛は答えるそして
「…残虐姫シャルル様の本領発揮…。」
恐れるように部屋を後にした。
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下山はつつがなく順調だった。
頂上付近には多くの人が居たにもかかわらず下山していても他の人に会わない。
私達は馬車の後方の荷物と一緒に揺られていた。
私は馬車に乗るのは不慣れで酔っていた。
「分かりやすくぐったりしているね。」
「こんなに揺られるのは初めてなの…。」
ヘイマンやアレンはなんともなさそうだ。
これが旅の慣れってやつなのだろうか。
私は後方の開けた景色をずっと見る。
山道なこともあって視界が上下する。
すると横からヘイマンが何か渡してくる。
「…これは?」
「酔い止め。一般的に普及してないものだけど、多分平気。」
ニコッと笑顔で渡すヘイマン。
「一般的に普及してないって、新薬?危険じゃない…?」
「大丈夫だよ。信頼なるツテからの贈り物だから。今よりずっと良くなるよ。」
私はその言葉の誘惑に負けて、その薬を飲み干す。
すると数分も経たぬうちに酔いが治った。
「なにこれ。凄い。」
「効果はてきめんだったね。良かったよ。」
ヘイマンはそう笑うと同じように後ろを見る。
どこか遠くを見据えて、何か回顧しているように見えた。
薬を渡してくれた人でも思い出しているのだろうか。
「うん?ゲルダ、後方から何か向かってきてるように見えるんだけど見えるかな?」
ヘイマンは私に目線を合わせないままに尋ねてくる。
言われて私も確認するが、確かに見えるかもしれないが遠過ぎる。
「うーん。私には見えないかな。アレンは?」
アレンに尋ねるが返事がない。
アレンは馬車にオリバーと共に揺られながら寝ていた。
普段トゲしかないアレンが寝ている様は天使のような顔になっていた。
ありえない。
「同じような行商人だったら心配いらないけど、山賊かもしれない。もう少し様子を見てみようか。ヤバそうならアレンを起こすよ。」
「う、うん…。」
この人たちと一緒に行動してから、警戒というものを常にしている気がする。
大丈夫だと思いたいけど、そうでもなかった時の方が多いことが残念なところ。
「おじさん!後方から同じような馬車が来ている!ここら辺は通交の便によく使われているのか聞かせてほしい!」
ヘイマンは土を踏む車輪の音に負けないような声量でおじさんへと聞く。
「うん?ここら辺は裏道みたいなもんよ!!大っぴらに来れない者たちが通る道だ!この山はそもそもが荒道を倒したようなところしかない!!」
なんだか事件が起こりそうな言葉しか出てこない。
何故この道を選んだのだろう。
「ゲルダはここら辺の地理に疎いかな?そもそもこの山は街を挟んで二分しているところにある。山から街に行くと遠回りになる上に危険が伴う。それによって他のルートから行く人がいるのは明白だよね?そこで通行料をとったりするんだ。アレンから僕も教わったよ。」
ヘイマンが分かりやすく解説してくれる。
なるほど。
そういうことだったのか。
オリバーはとんでもなく立地として不便で恐ろしいところに移動してくれたのかと今頃になって気付く。
ヘイマンが言っていた人が近づいて来るのが分かる。
「ゲルダ。身構えなくていいよ。」
ヘイマンはそう言ったが目を伏せた。
その正体の人たちが今後ろに付いた。
馬車に荷台を載せて走らせている。注目してみると、馬を扱っている人は身なりの服装がどことなく洒落ていた。
そして少し向こうの馬車が加速させてぴったりと横に付く。
そして荷台の正体がすぐに分かった。
荷台に運ばれていたのは奴隷たちだった。




