第22話 少女たちは和解する。
また少し期間が空いての投稿です。
大体1週間に1度?くらいのペースで更新していきたいと思っています。
これからも読んでくださる方応援おねがい致します。
私たちは話しがまとまって、おじさんは出掛ける準備をするため外に出て行った。
私たちはすることがないのでそのまま席に座って待っている。
とりあえずなんとかなった。
オリバーはまだ後遺症か会話することはままならないがなんとか街に行ったら然るべき処置はしてくれる。
事態が明るくなって良かったけど、少し釈然としない。
私はアレンへと視線だけ向ける。
するとアレンはバツが悪そうに私に向かって言う。
「あ…。ごめん、話しをあんたにしてなかった。」
アレンが分かりやすく謝る。
「…はぁ、いいよ。前まではヘイマンと一緒に行動してたから相談する人はヘイマンしか居なかったんでしょ。少しでも申し訳なく思ったのならそれでいいけど、次からもっと詳しく話して欲しい。」
私は思ったことを愚痴る。
けど一緒に行動するメンバーと思ってくれているのは素直に嬉しい。
アレンは頭が回りすぎるから、何を考えているか分からない。
だから事前に相談をしてくれると安心感が違うとは思う。
アレンは一言、分かったと言った。その一言だけ貰えれば十分だ。
そうしているとおじさんから準備が出来たと言われ、私たちは馬車へと乗り込んだ。
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「痕跡からみて強盗に入られたようです。」
屋敷では私の父が殺されたことを聞いて状況の検分に入った。
荒された棚、引っ掻き回された本。以前までの整理整頓されていた書斎の面影はない。
そして下には冷たくなった父親の亡骸。
幼い時に入った記憶のままに、見覚えのあるものが壊されているのを見て私は悲しくなる。
横たわっている父親に自然と目がいく。
幼少の頃の父の思い出と重なる。
もっと父と話したいこともあったのに、なんて感傷的な考えがよぎる。
思い入れがあるものを見ていて辛くなったので、私は部屋を後にしようとする。
しかし私は父が横たわっていた遺体の傍に、割れた弾丸が落ちていることに気づく。
「シャルル様。それは…?」
検分をしていた部下が私へと尋ねる。
「…妙だわ。こんなに荒されていて、…この弾はなに?これは父上の使ってるビンテージの銃と同じものだわ。」
私は弾丸を拾い上げて半分になったそれを注意深く観察する。
捻れたような痕跡が残っていた。
「父さんはてっきり反撃せずに刃物で殺されたと思ったわ。けどしっかり抵抗したことは分かった。けどこんなに不自然に割れることがあるかしら?いえ、あり得ないわ。」
「あの…シャルル様…?」
護衛の部下が私に呼びかけるが聞こえない。
私はしばし長考する。そしてある結論に達する。
「これは強盗に襲われたのではないわ。相当な手練れの襲撃よ。どうやったか分からないけど、銃弾を弾くくらいの力量があったと踏むべきだわ。」
私はまだ他に何かあるのではないかと酷い有り様な部屋を見渡す。
その光景は、か弱い少女が打ちのめされているときとは違った。
部屋を見回してみる。
荒れた物たちが散乱していて、物が壊れているものしか状態が分からない。
私は歩き回って、自分の歩いた跡が水滴として残っていることに気づいた。
「ねぇ。この書斎に華は生けてあったかしら?」
「…華ですか?いえ、ここには多くの書物と紙などの文房具くらいしかありませんが…?」
この書斎に華は生けていない。
父さんは虫が好きではなかったのもあって部屋には華すら置いてなかった。
「…それならこの水は説明がつかないわ。きっと最近出回ってる能力者の仕業よ。」
私は自分で能力者と言って、1つ心当たりがあった。
「ちょっと前にこの館に入ってきた能力者が居たわね。私にとって能力者なんてそいつらしか思い当たらないわ。」
男2人が、うちの奴隷を盗んでいったのは知っている。父さんがそいつらを追わせるために人員を割いたのも知っている。
「手掛かりは少ないわ。前に話していたのはアスパルの街だったわね。今すぐその付近で侵入者を洗い出しなさい!街の関所の門番に手配書を見せることも忘れずに!」
「…はい。すぐに調べさせます。」
アレンたちの知らぬ間に、周りが大きく動き始める。




