第2話 少女は出会う。
夜道の中、少女が屋敷へと戻ってきた。
屋敷に戻ってきてまず迎えられたのは、折檻だった。
パンも持って帰れない奴隷など休むに値しない。領主の考えそうなところだとそこらへんだろうか。
暗所の一室に、背が低い鉄牢があった。
そこに少女が佇んで居た。
鉄格子のついた窓から月の光が差し込んでいる。いまは真夜中だった。
屋敷の領主は、自身の大事な物を厳重に保管する癖があった。
それは人にとて同じことであり、 この堅牢も頑丈に作られており勿論人の力でどうにかできるものではなかった。
時間は深夜になった頃、少女は疲れて自分の腕を枕代わりにして横になっていた。
丁度そのとき、隣の部屋から物音が聞こえてきた。眠りが浅かった少女は耳を澄ます。
この時間帯に出歩く人は滅多にいないはず、さらにその隣の部屋はここの屋敷の宝物庫の様な倉庫になっており人は普段入らない所であった。
少女はただ疑問に何故聞こえるのか思いながらじっとしていた。
そうしてると話し声が聞こえてきた。
「ここだよね?」
「そうそう、ほらたくさん置いてある。」
若い男性の声、あまり大きくない声が聞こえる。屋敷ではこんなに若い男性はご子息の息子くらい。
ということは屋敷以外の侵入者?ここが領主の館というのを分かって入ってきたのだろうか?
少女は横になった身体を起こす。
しっかりと立てるくらいの天井はないが、膝をついて隣の部屋を見据える。
「おおお、凄いな。財宝があるある。」
「あんまり大きいやつは持って行くなよ。邪魔になるし足がつく。」
「分かってるよ。…あこっちの部屋もあるぞ。見てみる。」
「…あバカ!!余計なことするな!!」
そう聞こえて前の扉が開く。
明るい光が差し込んで少女は目を瞑る。
「…!!!人がいる!!!」
そう聞こえるとすぐにその男は腰を低くして臨戦態勢に入った。
後ろの男もそばにあった台に隠れる。
「……人が収監されてるのか。」
まだ目が慣れておらず瞑ったままの少女の前に、男が立つ。
男が影を作ってようやく少女は視界を開ける。
「…あなたは…」
男の顔を視認する。
若い黒髪の男性、20歳いっていないようなまだ若くしかし大人しい顔つき。
当然見覚えはない。
「…危険ないなら早く言ってよ。」
そう言って後ろの男も少女の前に出てきた。
そして驚く。
2人の顔はそっくりだった。
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