第17話 少女たちは嵌められる。
「!!!!!」
私やアレンが一斉に金髪男に注目する。
見事に胸元を撃ち抜かれていた。
「狙撃だ!!!伏せろ!!!」
アレンが叫ぶ。
金髪男は苦しそうに顔を変える。
「やばい、嵌められた?」
2人はお互いに背を向けてヘイマンがアレンへと尋ねる。
「いや、金髪男は使い捨てってことだろう。見ろ。」
アレンが遠くを見るように手振りをする。
かなり距離があるが武装した兵士たちが私たちに狙いを定めていた。
「はじめから男に期待してなかった。
きっかけだけ作って奪還。これは相当タチが悪い。まさか予知がここにきて叶うとは。」
確かに。
私が予想していたのは兵士たちに囲まれるものだった。こんなに鮮明には知らなかったが既視感がある光景だ。
「そしてこの命中の精度。着弾と音が離れているからまだ遠くでこちらを覗いている。相手のテリトリーだ。」
「き、切り抜けられる案は…?」
ヘイマンが不安げにアレンへと尋ねる。
「…今演算しているが、限りなく投降しないと命の危険に関わる。」
「え…そうなの?」
私は率直に驚く。
「アレンなら…。アレンならなんとかなるんじゃないの?」
私は思ったことを口にする。
ここまで窮地を脱してきて少なからず信頼していた。
この人ならどうにか出来るんじゃないかと。
「ゲルダ、嬉しいことを言ってくれてるが勘違いしているな。おれは所詮ただの人だ。」
アレンははっきりと、だが悲しそうに私を見つめる。
「…投降しようか。」
ヘイマンが私たちへと呟く。
アレンはその言葉を聞いてもまだ打開策を浮かべているようで困惑した表情になっている。
そこに、金髪男が掠れるような声でに私に喋った。
「…奴隷に…3回……」
それだけ言って動かなくなった。
その様子を横で見ていたアレンの目がなにかを感じ取った。
「ゲルダ!奴隷を助けてやってくれ!!」
「え??この倒れた人じゃなくてそっち??」
戸惑いながらも私は咄嗟に奴隷の男に詠唱を始める。
「今生の世を見据えた我が神。どうかお力添えをお願いします。彼を元の状態に戻してください。」
昨日泊まった宿の時なんかよりも具体的にイメージする。
すると私の手から光が灯る。
ここまでの力は初めてだが動揺している場合ではない。
気を失っている奴隷の頭に手をかざす。
先程の閃光と同じくらいの光量が私を覆う。眩しいながらも私は感覚がある。
眩い中、奴隷の男がすぐに目を開けた。
「アレン!!目を醒ました!!」
私は男に手をかざしながらアレンへと呼びかける。
「…っ3回!!!3回ステッキを叩け!!!!」
アレンは目を開けていられないのか私へと叫ぶ。
その間にも打ち込まれる弾丸。
しかし光が強すぎてか私たちに被弾することがない。
私は言われるがままに落ちていたステッキを拾い叩きつける。
すると、途端に轟音が響き私たちは消失した。
今年ももうすぐですね。
僕は新年から忙しくなるので新年入ると更新ペースが落ちます。
なるべく早く書き上げます!




