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第15話 少女と兄弟は話しを聞く。




「兄貴、遅いよ。」

アレンが愚痴る。

愚痴られて謝る手のポーズをするヘイマン。


「ごめんって。なんか二手に分かれされるような状況にさせたかったのが狙い?」

「概ね合ってる。でもとりあえず今そこの土壁の中にいる奴は能力者だった。制圧したからもう平気。」

「えーなになにお手柄じゃん。」


ヘイマンが嬉々として喋っている。

私はまだあの壁から何かしてきそうで目線を逸らすことができない。


「焼夷弾を投げた。しかもただの焼夷弾じゃなくてスーの特製のもの。」

「あぁ…。あのロクでもない発明品の一個ね。効果は?」

ヘイマンが虚ろな顔になっている。


「火薬と一緒に神経ガスの成分が混ざってる。吸い込めば動けない。」

神経ガス!

だから投げた時点で勝負は片がついていたのか。

アレンの落ち着きに私は納得した。

話していると、前方の壁が崩れ落ちて2人の男が地面に伏している。


「さて、事情聴取と行こうか。」

私はアレンに手を連れられて近寄った。


~~~~~~~~~~~


男2人を頭上から見下ろす。

金髪男が悔しそうにこちらを見上げている。ところどころ身体の服は燃えた跡があり、うつ伏せになっている。


「ベラベラ喋ってた割に呆気なかったな。」

アレンは金髪男へと喋る。

「…くっそ!!」

金髪男は分かりやすく悪態をつく。

「さて…こいつらどうするの?」


ヘイマンがアレンへと疑問を呈する。

アレンは質問を返す。

「事の成り行きを聞く。手っ取り早く。だけどその前に兄貴、奴隷の鎖の解除を頼むよ。」

「はいよ。」

ヘイマンは未だ虚ろな表情をしている奴隷の首にある鎖を触る。

そして両手でゆっくりと力技で外す。

その途端力を失ったかのように奴隷の男は倒れる。


私が驚いてその男を見つめているとアレンが察したのか話しかける。

「大丈夫だ。死んで無い、急に外したから気を失っただけだ。」

そうなのか。私は1人安堵した。


「さて、金髪くん。話してもらおう。大方予想はついているが、この襲撃の雇い主は誰だ?」

アレンはこの事件の全貌を聞くために踏み込んだことを質問する。


「…僕が言わないことで、君たちはどうする?」

訊かれたアレンはそのまま笑いながら答える。


「ほぉ、頭が回るようだな。そうだな、話してくれないとおれらも打つ手はない。使い道が無いから鎖をかける。」

アレンは懐から先ほどの男と同じ奴隷の鎖を取り出す。

先ほどの奴隷の男がそうだったように、鎖をされると人の自我を奪い命令されるだけの道具となる。

それだけ奴隷の鎖は強制力が強い。


「…分かった。話すから、それだけは…。」

アレンはニコッと笑いながら鎖を懐へと戻す。


金髪男は話し始める。

「そもそも君たちがその少女を攫ったことが原因だ。」


男は1度区切ってから話し始めた。


いよいよ一連の流れが分かります。

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