第14話 弟は奮闘する。
世間ではクリスマス明けました。
そんな忙しい中このページを開いていただきありがとうございます!
楽しんでください。
ヘイマンが居ない中で戦闘が始まった。
というより一方的に私が閉じ込められてるだけだけど。
今私は土の牢に閉じ込められてて身動きができない。
こんなあっさり捕まる自分が申し訳なく感じる。
さっきまで形勢は良くなかったけどアレンの動きが変わった。
私は何もできなかったが相手の技を見切っている。
アレンが私にそっと話しかける。
「目を閉じておけ。」
アレンが薄笑いをしながら走り出す。
相手の技を把握したと言っても近くに行くのは危険だが、それを承知で勝機を見つけたのかもしれない。
私は何も出来ないので傍観するか目を閉じる(?)しかない。
アレンは大回りに相手の背後に迫りながら発砲する。
しかし相手も壁を使いダメージは無い。
アレンは走りながら片手で発砲しつつ、1つの投擲物を左手で放る。
その途端に閃光が走る。
私はアレンの身を案じて見つめていたために目くらましを喰らう。
だから目を閉じておかなきゃいけなかったのかとそこで分かった。
視界が閉ざされる。
~~~~~~~~~~~
相手の仕掛けはほぼ把握した。
壁が出てくるタイミングは、あの金髪のステッキの音で攻撃を仕掛けて来る。
だが単純なものしか使ってない。
2回叩いたら土の牢が出てくる。
モールス信号にしては単調だ。
範囲は目測で15メートルくらい?まぁ気休めだろう。
先程もステッキを地面に叩いた。
回数は2回、これで根拠はついた。
想定されうる事態として、先程までの距離感が1番リスクがあった。だから詰めた。
おれは走り出す。
敵はおれを拘束しようと下から牢を出すがステッキにさえ注目していたら、躱すタイミングになんら問題はない。
おれは相手が守りのために土壁を出してくるのを見越して発砲する。
そして走りながら撃ってるので当たることは気にしない。
威嚇程度しか考えてない。
予想通り壁が出現する。
しかし前方にしか壁を作らない。
その慎重さと緩慢さに敬意を払いおれは相手の脇へと投げる。
これは閃光弾。
相手の目くらまし用の物でよく多用する。
というよりこれが無いと凡人は何も出来ない。
投げる前に両目で距離感を掴み片目を瞑る。右目は閃光をもろに喰らって何も見えないがそれでいい。
金髪男たちも眩しさで目を瞑ったのは確認できた。
おれはそのままもう1つ投げる。
今度は左目でしっかりと見据えて相手にぶつける。
そしておれはそのまま伏せる。
伏せてすぐに目前で爆発が起きる。
今のは閃光弾ではなく擲弾。
しかしただ爆発力に優れたものではない。
「…熱い!!!!」
そう。これは焼夷弾。
爆発力よりも火薬に優れたものだ
。相手の土壁の威力を殺すものよりも、状態を悪くする方につけ込む。
金髪男はパニックになっているが、頭が回るのか自らを覆うように男に土の壁を作り出す。
炎は酸素を取り込まないと燃えないことをよく理解しないと出さない一手だ。
強引だが炎を鎮火させるのはこれしかない。
側から見たら相手に焼夷弾を投げたが負傷して籠られる。膠着することは目に見えているがそれでいい。
準備は整った。
おれは安全のためにゲルダの元に一時戻る。
すると、ゲルダの壁の拘束が溶けてただの土へと瓦解した。
やはり奴隷の男を弱らせないとこれは解除されないらしい。
こっちは賭けだったがなんとかなった。
おれは弾を装填し直してゲルダへと向く。
「大丈夫か?」
「うん。だけどもう敵は倒せたの?どうなの?」
ゲルダが困惑した表情でこちらを見る。
瞬きの回数が多いことから、がっつり閃光弾を喰らったことが伺える。
無理も無いか。
「大丈夫だ。もうおれらは勝ちだ、それに…」
おれは言い淀む。
「あとはお兄ちゃんに任せなさい。」
後ろに兄貴が立っていた。




