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第12話 少女と弟はピンチに陥る。

今日分挙げました!

アレン視点お楽しみください。



まずいな。おれは内心焦っていた。

目の前にいる未知の敵と金髪の遭遇。

状況を把握させるために頭を冷静にする。


まず朝方宿を出て一本でここまで来た。

しかし予想通り襲撃があった。ここまでは予想の範囲内。

だが兄貴と分散してここに来たのが誤算だった。

基本的に兄貴は戦闘、おれが参謀のスタイルだ。何故なら俺は戦闘能力として価値があまりないと自身で自覚しているからだ。なにより能力者には勝てない。


そして今目前にいる敵の男は十中八九、能力者だ。じゃないと何もないところから出現したりしない。


現れたのは若い男のようだ。俺たちよりも若い。とにかく喋ることで相手の意識を外へと向ける。俺は兄貴が来ることを待つしかない。


「その男はなんだ?奴隷のつもりか?」

分かりやすく首元に奴隷の鎖があるのでそれを指摘する。俺たち兄弟は初見だとそっくりだ。俺に能力が無いことを悟られてはならない。


「ふふ。よく聞いてくれたね。この彼は君達がその子を盗み出したときの近くに居た子でね。能力を使えるみたいなんだよ。だから僕のペットにしたのさ。」


金髪はステッキを機嫌良く握っている。相手の行動におかしな点はないか一心に、だが全体を見通す。


「へぇ。おれらと同類ってわけか。」

やはり能力者らしい。ここで強さを煽ると躍起になってくるかもしれない。

戦闘になっても捌ける自信は無い。

この奴隷について聞いて探りを入れよう。


「その奴隷はどうした?喋ることすら出来ないのか?」

「ん?…あぁ、これはうるさかったからね。薬で静かにさせたよ。お陰で従順な犬になったよ。」


金髪は嬉しそうに喋る。

奴隷を人以下に扱う姿勢は共通認識になっているようだな。

おれは後ろにいるゲルダを守るように背を向け近寄る。

武器の確認を頭の中で反芻する。

守りながら戦うのは難しいが、どこまで出来るか。


「さて、いいか。ターゲットは女。その前に男を制圧しろ。殺さなくてもいいが成功を優先させろ。」


金髪の男は調教師のようにステッキを地面に叩きつけながら奴隷の男に言う。

奴隷男は身なりが若干汚れていて傷も負っている。

しかし命令が聞こえると首だけは頷いた。目に生気を感じられない。

奴隷男はこちらへ向かって歩き出す。おれは警告する。


「その男がこれ以上来ると発砲する。」

おれは先ほどより語気を強く言い呼びかける。

しかし男は意に介さずこちらへと歩く。おれは引き金に指を掛けて撃った。


ドスンと大きな音を立てて前方の男に着弾したのが音で分かる。

しかし目の前に見たのはおれが予想していた倒れた姿ではなかった。


着弾した相手の周りに砂埃が舞った。

まだ朝方で風が強いからだと思ったがそうではないらしい。

なんと、奴隷男の目の前に土で形成された壁があった。

兄貴が前に即席で用意した床の壁よりも厚みがあり土の粘土が硬いのが分かる。


「……っくそ!!」

おれは立て続けに3発発砲するがまるで意味を成さない。

相手の前方にしか壁が無いのならとおれは考え、横に逸れて相手の横っ腹へと数弾撃ち込む。


しかし相手は手の平を突き出したと思ったら土の壁を作り出し銃弾を防いだ。


「なるほどな。こいつは土を自在に操ることが出来ると。それにしても硬いな。おれが使っている銃も玩具ではないくらいの威力があったんだがな。」


今撃ち込んだ弾丸は45口径相当のものだ。

人体に撃ち込むものならかなりの威力になる。

気持ちを切り替えておれは男に向かって喋る。

相手の意識はなさそうだが何か話しが通じるきっかけがあるならそこに漬け込める。


こいつの想定される動きや能力はなんなのか。それに起因されたことでゲルダをどう守るか。

全く、思考が散漫されて仕方ないから戦闘は嫌いなんだ。


ゲルダと少し距離が空いたのでゲルダを見てみるが、相手の男を注目している。

この男が能力を使っている様子を見てもパニックにならないだけ胆力があるなと関心した。


「ゆっくりでいいです。捕まえなさい。」

金髪は苛立っているのか、ステッキを地面に叩きながら男に命令する。

そして男は頷く。

こいつ主人しか話を聞くなと命令されているのか?

奴隷の男もとい土男は、手を広げて突き出す。


その途端下から響く振動。そして横から声が聴こえた。目をやると、ゲルダが土の堅牢に囲まれて出られないようになっていた。


「…くっそ!!」

まずいな。状況が不利になりつつある。


これだと昨日言っていたゲルダの予知が現実になってくる線も否定出来なくなる。

おれはゲルダに近づいて土の牢の状態を確認する。


材質は土そのものだが、何か他の粘質と混ざっているのかおれの力ではどうにもできないのを悟る。


そして胸騒ぎがする。こいつの切り札はこれで終わりではない。

もしおれなら、相手がこちらの技を分からないときに仕掛ける。

こんな丁寧に物事を運ぶわけがない。


とにかく今は、おれがこの堅牢に閉じ込められたらチェックメイト。


兄貴、早く来てくれ。


もうすぐ年の終わりになりました。

新年迎えるために小説のストック作り頑張ります。

来年の抱負はパワーバランス良く過ごしたい。

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