まじっく・しょ~?【シルクハット】
なんとな~く、普通ではありえない、ナザリック風にはなったかなと。
これがナザリックの日常風景!(嘘々)
プルチネッラは不人気なのだろうか? ちょっと減った気が・・・
シルクハット。それは何でも出てくる不思議な帽子。
時に鳩を、時にウサギを、時に思わぬものが飛び出す帽子。逆に何でも仕舞える不思議な帽子でもある。
「でわ、次にご覧いただきますは、シルクハットから様々なものを出します。まずわ、マジック・ショー定番の鳩を!」
プルチネッラが片手に持つシルクハットを杖で軽く叩くと、出るわ出るわ、鳩の扮装をした小悪魔がこれでもかこれでもかと「くるっぽぅ、くるっぽぅ!」と口々に叫びながら。嘴を模したマスクを付け、方々へと飛び去っていく。
リュートはあまりの光景に拍手喝采! デミウルゴスは想像の埒外の事態に唖然とした面持ちの後、ニヤリと口角を吊り上げ、拍手。
垣間見える舞台袖では、アシスタントに選ばれたトーチャー達が、飛び去った小悪魔を整列させ、次の準備に取り掛かっている。各々、手に手にウサ耳と尻尾にウサ手足袋を準備中。
マジック・ショーは、常に驚きに満ちたものであることが望ましい。
「さぁ! 次わ何を出しましょうか? 何がいいですか?」
プルチネッラはステッキの柄頭をマイクに見立て、リュートに尋ねる。
「んっとね、お花!」
「お、お花・・・ですか」
プルチネッラはしばし逡巡し、舞台袖をちら見した。
リュートの視線はプルチネッラに釘付けであるため、舞台袖には目が行っていない。気がついていない。
舞台袖では、大わらわでそのリクエストを叶えるべく奮闘している。トーチャー達がバニーな小悪魔達と共に。
その様子を見るともなしに見届けたデミウルゴスは、クツクツと低く笑いながら助け舟を出す。
「では、私はウサギを出してもらうとしよう」
助け舟が出されたものの、ここで折れてはナザリックの道化師の名折れ。どうするべきか、ここは機転を利かせるべき時。そして、はたと気がついた。
「・・・でわ、まずわ、リュート様のご要望にお応えします」
デミウルゴスは、おや、さてどうなることかと窺うことにした。
ドロドロとした効果音と共に、辺りにスモークが掛かり、リュートの目前にまで近づけられたシルクハットは、中が覗き込めないような角度で調整されており、リュートの視線が釘付けにされた。
ドロドロとした効果音に紛れ、デミウルゴスの耳には、なにか大きなモノが這いずるような音が微かに聞こえる。
プルチネッラはデミウルゴスに対しては、懇願するような手振り身振りを繰り返す。
鷹揚に頷いたデミウルゴスの姿を確かめ、プルチネッラは合図を出した。
「でわ、イデヨ!」
その掛け声とともに、リュートの視界にはスルスルと伸びる植物の芽のようなものが見え、それはスルスルと伸び、花が一輪、現れた。その花は、笑顔の花を咲かせた。
遠近法による錯覚で、あたかもシルクハットから生えてきたように見せかける、正に子供騙し。
デミウルゴスの視界には、スモークで見え辛くされた床に伏せた花冠の悪魔が頭をもたげたのが見えた。花冠の悪魔は背を背けるように立ち上がると、その【頭飾り】を動かし、振り返ったその【頭部】は、引き攣るような満面の笑みを浮かべ、光り輝いていた。
万雷のような拍手が巻き起こる。
・・・ ・・・ ・・・
真相は、プルチネッラの視線が彷徨った際、舞台袖で照明を担当していた花冠の悪魔に目が止まったのだ。
幻術魔法を習得したその頭部は、生前の二つ名は文字通り、【輝く笑顔】の名を持つ演出家兼魔法使いだった。
気にしても仕方がない。
次回の【ぷるぷる・ぷるちねっら】はなにか浮かんだときにでも。
ネタはあれど、悪話にまではまだ遠く。




