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お~ば~ろ~ど・ミニマム  作者: トータス
ティトゥスの魔童書?
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ティトゥスの魔童書5?

赤頭巾ならぬるぷすれぎなチャンのお使い事情?

()を食ったお話

るぷすれぎなチャンのSkip out! =さぼり


 未だ是から、とあるエンリ砦にるぷすれぎなちゃんが()りました。


「ん、ん~! っと」


 ぐぐぅ~っと凝り固まった身体を解す様に伸びをすると、目的のお家へ鼻歌を歌いながら、手に持った軽そうな(・・・・)バスケットをクルクルと指先で振り回しながら歩いて行きます。


   ・・・   ・・・   ・・・


 ちょっと時間を遡ると・・・


「ルプスレギナよ」

「はいっス、ここに。ご用は何でございましょう」


 玉座に座す主の前に膝を付き、次の言葉を待つ。


「リイジーが風邪をひいた様だ。この見舞いの品と、様子を見届けて来るように。もし何か差し障りがある様ならば、お前が判断するように」


 そう言って、バスケットに収まった物を側に控える者がルプスレギナの元へと運んで来た。

 そのずしりと重い(・・・・・・)バスケットからは、一本のボトルと共に(かぐわ)しい匂いがしている。


「はい、では早速行って来るッス」


 そう言って、玉座の間を後にするルプスレギナ。


 いざ、エンリ砦に向かうルプスレギナ。

 先ず、第九層・ロイヤルスイートへ向い、必要とするモノを各種手に入れた。


 第八層を飛び越し、第七層・溶岩で手に入れた溶岩プレート。

 ついでに、暑くて汗を掻いたから塩分補給にと、豚腿を塩漬けにした生ハムをバスケットから丸のまま一本出してむしゃむしゃ、ムシャムシャムシャ、ポイ。ちょっと軽くなった。

「お年寄りには塩がきつ過ぎますね」


 第六層・大森林では・・・黄金のリンゴ(マンダリン)を。

 ついでに、さっき汗をかいたせいか喉が渇いたのでバスケットから葡萄酒を一本取り出してクピクピ、ぷは~。身体に沁み亘りました。更に軽くなったバスケットに瓶を戻した。

「水菓子=果物などが好いでしょう」


 第五層・氷河では・・・氷河の氷、一塊を。

「熱を出されている時用に、氷嚢にしましょう。年寄りの冷や水にならないと良いのですけど」


 第四層・地底湖では石清水(いわしみず)を・・・葡萄酒の入っていたボトルに。

 =侵入者の命の水をこれでもかと絞って、三層まで濾した冥水・・・別名:ナザリックの怖囲C(オイシー)水。


 第三~一層・地下墳墓では、特に何もせず足早に去った。



   ・・・   ・・・   ・・・


「ちわ~す。リイジーさん、元気っすか~」


 ドォンドォンドォン! とドアどころか家が今にも壊れそうなぐらいの力でノックしているルプスレギナ。


「おうおう、るぷ~ (お姉)ちゃん。カギは開いているからはいって来ておくれ」


 なんだかいつもの声とはまるっきり違う気がするが、居る事を確かめ、何かあったとしても問題はないと考えた。


「じゃあ、お邪魔するッス」


 中へ入る前に、一種異様な独特の異臭が立ち込める部屋へと、意を決して一歩踏み込んだ。


『相変わらずッスね。これはアインズ様からのお見舞いの品となります』


 鼻を摘んでいるので鼻声のルプスレギナ。


「おお、これはありがたや。ちょいと身動きが取れなんで、ベッドまでもって来ては貰えんか」

『はいッス』


 ベッドへと近付くルプスレギナは、明らかにサイズの違うリイジーさんに声を掛けます。


『リイジーさん、リイジーさん。随分と縮んでしまったっすね』

「そうともそうとも、新しいポーションを試していたら、こんなに縮んでしまったのさ」


 そう言うモノかと思い、更に。


『リイジーさん、リイジーさん。随分と目がきらきらしてるっすね』

「そうともそうとも、この時を心待ちにしていたからさ」


 ふぅ~ん、じゃあもうちょっと乗ってみるッス。

 とっくになにがおかしいのか気が付いてはいるけれど、それに乗ってみるのも面白そうっす!


『それにリイジーさん、リイジーさん。随分とちっちゃなぷにぷにした子供のお手々みたいっすね。いつもの皺くちゃなお手々はどうしたっすか?』

「・・・んっと、えっと・・・ダメ?」


 こちらを伺う様に、布団から覗き込んでいるイタズラ小僧を見付けた。


『ダメって事はないっす』


 プフ~ッス、これは面白い事になってるみたいっす!


『リイジーさん、リイジーさん。随分と小さい口っすけど・・・それで私は食べられるっすか?』

「んっと、えっと、はぐはぐして食~べ~ちゃ~う~ぞ~!」


 布団を撒き上げ飛び出してきた小さな狼。


『きゃ~! きゃ~! 食べられちゃうっす』


 悲鳴を上げながら部屋の中を笑いながら捕まりそうで捕まらない様に、適度に緩急を付けて逃げ回るルプスレギナ。


 そんなこんなではしゃぎまわり、狼さんが飽きて来そうな気配を察すると。


『きゃ~、つ~か~まった~ッス。食~べ~ら~れ~ちゃ~う~!』

「んっと、えっと、はぐはぐして食~べ~ちゃ~う~ぞ~!」


 狼さんはルプスレギナさんの足を抱擁(ハグ)して捕まえた。

 ルプスレギナさん、捕まった拍子にベッドに倒れ込んだ。


 すると、狼さんは口をパックリ開く。


「はぐはぐ、はぐはぐ」


 狼さん、口ではぐはぐ言いながら、ルプスレギナさんのおみ足を口の中へ。


「あ! ははは・・・は!?」


 最初はこそばゆく(くすぐったく)感じていたが、その感覚が膝裏を通った辺りで様子がおかしいと感じ振り返ると、狼さんの口の中へ文字通りのみ込まれている事実にビックリ!


「ふぇ!? な、なへ・・・は!?」


 すると、どうした事でしょう。さっきまで何ともなかったはずなのに、徐々に舌が、手が、腕が痺れ、身動きが取れなくなって来た。

 呑み込まれた足の感覚はもはや何も感じない事に驚愕した!


 そして、徐々に太腿を呑み込み、腰をもバクリと咥えられ、はやほとんどのみ込まれた。

 ついには、引き攣った笑みを浮かべる頭も呑み込まれ、褐色の両腕も狼の口中へと消えた。


 そうして、身の丈以上の物を呑みこんだ狼さんは、大きな大きなぽっこりを通り越したおなかを抱えてベッドで一寝入りしてしまった。



   ・・・   ・・・   ・・・



 何時までも帰って来ないルプスレギナを心配してか、銃を持った猟師シズがバレアレ家を訪れた。


「・・・・・・・・・・・・ルプスレギナは?」

「んぅ? おぉお、そう言えばぁまだ眠ってぃる様じゃなぁ」


 すっかり元気になった矍鑠(かくしゃく)としたリイジーお婆さん・・・ではなく、エントマさんが応対に出てきた。


「・・・・・・・・・・・・連れて帰る」

「でぇは、こちらぁじゃなぁ」


 そういって。リイジーお婆さん、ではなくエントマさん、が寝室に案内すると、そこには大きな大きなおなかをした狼さんがまだ寝ていた。その大きな大きなおなかの表面には、苦悶の表情が浮かび上がっている。


 すたすたとシズが狼さんの大きな大きなおなかに近付くと、一言。


「・・・・・・・・・・・・反省した?」

「・・・・・・うぅ、食べられたッス。化かされたッス、酷いッス」


 そんな声が返って来た。

 それを聞き、狼さんの大きな大きなおなかを、一文字にジジジッジィ~っと開くと、丸まったルプスレギナさんがコロンとまろび出た。


 すると、狼さんのゆるゆるだったおなかはシュルシュルと縮んで、元通りのぽっこりとしたお腹に戻ったのでした。


「はぁ~、化かされたっす。それもこれもリュートの悪戯っすか」


 じっと狼さんもとい、リュートのぽっこりしたお腹を恨めしく見て、このままだとお腹が冷えるからと前を閉じていき。


 閉じ切って、さあこの匂いの凄まじい場所から連れて帰ろうとした途端、お腹の辺りから人の腕の形が、突然浮かび上がった!


「「・・・きゃぁ!」」


 可愛らしい悲鳴が、上がった!


 その手がもにょもにょと蠢き、ジジッジィ~と内側からお腹を開くと、黒い皮手袋(レザー)で包まれた右手がベッドを掴み、鉄靴(サバトン)脚甲レガースに覆われた左足が天に向かって伸び、膝甲(ポレイン)に包まれた曲げた右足が抜け出で、スリットの深いミニスカート(フォールド)とバックルに包まれた腰が、巨大なジッパーで押さえつけられた胸部と共に、得も言われぬ笑みを浮かべたソリュシャンが姿を現した。


 そして、倒立の姿勢のままジッパーを下げ、右手を差し込むとあるモノを取り出した。


 右手には、てってれぇ~! とでも音がしそうな看板を手にした。


 そこには、ドッキリ大成功! と描かれていたとか。

人狼が狼さんのお腹に収まった・・・

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